靴下の重み

ねえ、一日のうちで、いちばんバランスのことを考えるのっていつだと思う？
あたしはね、洗濯物を干す時だと思うの。
角型ハンガーにね、タオルとか下着とか干すでしょう。
重い物を端に干すと、どちらかに傾いちゃうのよね。
バランスが難しいの。

だからね、重い物から順番に干すの。
重い物を内側から干して、あとはタオルをバランスよく干していくの。
そうするとね、角型ハンガーがまっすぐになって気持ちがいいの。

だけどね、最近ダメなの。
どうしても傾いちゃうの。
バランスが上手く取れないの。
なぜだかわかる？

あなたの、靴下がないからよ。
洗濯ものにも定位置があってね、あなたの靴下の場所が、ぽっかり空いてるの。
洗濯バサミが、ちょうどふたつ空いてるの。
他の物じゃ代わりにならないの。あなたの靴下じゃなきゃダメなの。
洗濯バサミがそう言うの。

あなたの靴下がないせいで、バランスが上手く保てない。
本当に、困っているの。

ねえ、お願い。
帰ってきて。




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コメント 10

リンさんさん おはようございます。
大切な人はいなくなって初めて、その重さに気が付くことが多いですね。そんなことを思い出させてくれるストーリです。角型ハンガー確かにバランス考えながら干していきますね。
by SORI (2014-12-10 06:55) 

洗濯ばさみがそう言うのですね～
なんでいなくなっちゃったのか気になるなぁ。」
by みかん (2014-12-10 21:12) 

うちハム色重たい方を思い切り重くして斜めにほしてます。ってあんまりストーリーに関係ないけど。靴下持っていなくなっちゃったんだ。てことは生き別れだな。
by さきしなのてるりん (2014-12-11 16:16) 

不思議な物語です。バランスはあなたの靴下でしか取れない。
って洗濯ばさみがいうのですから。
あなたはどうしていなくなったのか....私も知りたいです。
by dan (2014-12-11 19:28) 

＜SORIさん＞
ありがとうございます。
そうです。まさに言いたいことはそれです＾＾
洗濯物を干しながら、考えたお話です。
by リンさん (2014-12-12 17:09) 

＜みかんさん＞
ありがとうございます。
なんでいなくなったのか…。
そういうのを想像するのは楽しいですね。
些細なことでケンカになって…と、そんな感じ。
想像力、乏しい～（笑）
by リンさん (2014-12-12 17:15) 

＜さぎしなのてるりんさん＞
あえて斜めに干すんですか。
ダイナミックだな～＾＾
もちろん彼は、生きてますよ～
by リンさん (2014-12-12 17:17) 

＜danさん＞
ありがとうございます。
この女性は素直じゃないですね。
洗濯バサミに代弁させて。
意地を張りあって、ケンカになっちゃったんでしょうね。
仲直りしてほしいです。
by リンさん (2014-12-12 17:21) 

僕もたまには洗濯物を干します。
やっぱり小物を干す角型ハンガーはバランスは気になりますよね。
靴下やなんやかやの小物も、その日によって種類が違うので、バランスを保つようにそんなに意識せずに振り分けて干して行きます。
こっちに一つ重い物を干したから反対側に軽いものを三つとか、無意識のうちにやっていますね。

この主人公が「あなた」の靴下がないから毎日の洗濯物をバランスよく干せないと言うのはなんか違うような気がするんですよね。
そんなことがずっと続くことはないと思います。
「あなた」がいなくなってから初めて靴下を干したときに、ふとバランスが取れないのに気が付く。
それは「あなた」の靴下がないからだとわかって急に寂しさがこみあげてくる、なんて言う感じだったらすんなり心に入って来たと思います。
たぶん次の日からは無意識の内にバランスを取って干していると思うんですけどね。
それとも、主人公はどんくさい人なのかな（笑）

by 海野久実 (2014-12-13 23:42) 

＜海野久実さん＞
私は毎日洗濯物を干すたびに、バランスを考えます。
真っ直ぐじゃないと気持ち悪い＾＾

この人は、帰ってきてとなかなか言い出せずに、ずるずると洗濯物の話なんかしているんじゃないでしょうか。
人間、素直がいちばんですよね＾＾
by リンさん (2014-12-16 18:04)