そら君のお仕事 [競作]
僕は「そら」。
人間界では、ネコっていう分野に属しているんだ。
北海道っていうところに住んでいて、ご主人様は「はるさん」だよ。
「そら君ったらまたキーボードで寝てる。パソコン出来ないじゃん。もう!ふて寝してやる」
やれやれ、はるさん、また寝ちゃったよ。
さて、はるさんが寝たところで、ひと仕事さ。
カシャカシャカシャ。
すごいでしょ。僕、ブラインドタッチも出来るんだよ。
動画を作るのもお手の物。
ミュージックは、その日の気分で。
カシャカシャカシャ。
「あ、ちょっと寝すぎちゃった。春ってホントに眠いわ。ブログアップしなきゃ。まずは動画を…あれ?出来てる。音楽も…いい感じに仕上がってる。あれ?あたしいつの間に作ったんだろう。寝てる間に幽体離脱?それとも超能力?いずれにしても、あたし天才かも」
はるさん、本当におめでたい人だな。
いつもね、僕が作っているんだよ。
「にゃ~♪」
「あら、どうしたの、そら君。なに甘えてるの?かわいいなあ。そうだ!写真撮ってブログにアップしよう」
よしよし。作戦成功! これでまたアクセス数が増えるぞ。
僕、人気者だから。
色んなポーズでキメテやる。
はるさんが、コーヒー飲んでる間に、僕はもうひと仕事。
カシャカシャカシャ。
『こちら、コードネーム:クリスタルスカイ。ネコブログ増進プロジェクト、順調にゃり。世界中がネコブログ一色になる日は近いにゃり』
「あ~、そら君またキーボードで寝てる。可愛いからいいか」
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人間界では、ネコっていう分野に属しているんだ。
北海道っていうところに住んでいて、ご主人様は「はるさん」だよ。
「そら君ったらまたキーボードで寝てる。パソコン出来ないじゃん。もう!ふて寝してやる」
やれやれ、はるさん、また寝ちゃったよ。
さて、はるさんが寝たところで、ひと仕事さ。
カシャカシャカシャ。
すごいでしょ。僕、ブラインドタッチも出来るんだよ。
動画を作るのもお手の物。
ミュージックは、その日の気分で。
カシャカシャカシャ。
「あ、ちょっと寝すぎちゃった。春ってホントに眠いわ。ブログアップしなきゃ。まずは動画を…あれ?出来てる。音楽も…いい感じに仕上がってる。あれ?あたしいつの間に作ったんだろう。寝てる間に幽体離脱?それとも超能力?いずれにしても、あたし天才かも」
はるさん、本当におめでたい人だな。
いつもね、僕が作っているんだよ。
「にゃ~♪」
「あら、どうしたの、そら君。なに甘えてるの?かわいいなあ。そうだ!写真撮ってブログにアップしよう」
よしよし。作戦成功! これでまたアクセス数が増えるぞ。
僕、人気者だから。
色んなポーズでキメテやる。
はるさんが、コーヒー飲んでる間に、僕はもうひと仕事。
カシャカシャカシャ。
『こちら、コードネーム:クリスタルスカイ。ネコブログ増進プロジェクト、順調にゃり。世界中がネコブログ一色になる日は近いにゃり』
「あ~、そら君またキーボードで寝てる。可愛いからいいか」
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父変える [競作]
「ただいま」
「お帰り…え?あなた誰?」
「誰って…おまえの亭主だよ」
「顔がちがうわ」
「整形したんだよ。びっくりした?」
「じゃあ、海外出張って嘘だったのね」
「そう。みんなを驚かそうと思ってね。どう?おまえの好きなキムタクにしてみたんだけど」
「はあ?どこがキムタクよ」
「目だよ。目をキムタクにしてもらったんだ」
「さっぱりわからないわ」
「お父さんお帰り…あれ?お父さんじゃないの?」
「お父さんだよ、ミホ。整形したんだ」
「マジで?」
「ミホの好きなマツジュンみたいだろう?」
「はあ?どこが?」
「マユゲをマツジュンにしたんだけど、わからない?」
「マユゲだけマツジュンでも意味ないじゃん」
「お父さんお帰り…あれ?お父さんじゃないの?」
「お父さんだよ、ユキ。整形したんだ」
「マジで?」
「ユキの好きな羽生結弦みたいだろう?」
「はあ?どこが?」
「鼻を羽生結弦にしてみたんだ」
「やめてよ。羽生君に謝って!」
「父さんお帰り…あれ?父さんじゃない」
「父さんだよ、ケンジ。整形したんだ」
「すげえ」
「ほら、ケンジの好きなマユユみたいだろ」
「どこがマユユだよ」
「ほら、顔の輪郭をマユユにしてみたんだ」
「気持ちわりーよ」
「おかえり。はっ?おまえは誰じゃ」
「おじいちゃん、ただいま。僕だよ。あなたの息子だよ」
「顔がちがうぞ」
「整形したんだよ」
「なんじゃと?」
「ほら、この口見て。おじいちゃんの好きな、いかりや長介の口にしたんだ。ついでに頭はカトちゃんのハゲヅラにしてみた」
「わしが好きなのは島倉千代子じゃ」
「あ、そうだっけ。じゃあ、やり直してくる」
一同 「もう帰ってくるな!」
*****
これは、矢菱虎菱さんのブログから始まった競作です。
矢菱さんが「父帰る」3部作を書き、その後海野久実さんが「父孵る」を書き、雫石鉄也さんが「父替える」を書きました。
どれもそれぞれ面白い。
私も思わず便乗です^^
どなたか、参加しませんか。競作って楽しいですよね。はるさん!
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「お帰り…え?あなた誰?」
「誰って…おまえの亭主だよ」
「顔がちがうわ」
「整形したんだよ。びっくりした?」
「じゃあ、海外出張って嘘だったのね」
「そう。みんなを驚かそうと思ってね。どう?おまえの好きなキムタクにしてみたんだけど」
「はあ?どこがキムタクよ」
「目だよ。目をキムタクにしてもらったんだ」
「さっぱりわからないわ」
「お父さんお帰り…あれ?お父さんじゃないの?」
「お父さんだよ、ミホ。整形したんだ」
「マジで?」
「ミホの好きなマツジュンみたいだろう?」
「はあ?どこが?」
「マユゲをマツジュンにしたんだけど、わからない?」
「マユゲだけマツジュンでも意味ないじゃん」
「お父さんお帰り…あれ?お父さんじゃないの?」
「お父さんだよ、ユキ。整形したんだ」
「マジで?」
「ユキの好きな羽生結弦みたいだろう?」
「はあ?どこが?」
「鼻を羽生結弦にしてみたんだ」
「やめてよ。羽生君に謝って!」
「父さんお帰り…あれ?父さんじゃない」
「父さんだよ、ケンジ。整形したんだ」
「すげえ」
「ほら、ケンジの好きなマユユみたいだろ」
「どこがマユユだよ」
「ほら、顔の輪郭をマユユにしてみたんだ」
「気持ちわりーよ」
「おかえり。はっ?おまえは誰じゃ」
「おじいちゃん、ただいま。僕だよ。あなたの息子だよ」
「顔がちがうぞ」
「整形したんだよ」
「なんじゃと?」
「ほら、この口見て。おじいちゃんの好きな、いかりや長介の口にしたんだ。ついでに頭はカトちゃんのハゲヅラにしてみた」
「わしが好きなのは島倉千代子じゃ」
「あ、そうだっけ。じゃあ、やり直してくる」
一同 「もう帰ってくるな!」
*****
これは、矢菱虎菱さんのブログから始まった競作です。
矢菱さんが「父帰る」3部作を書き、その後海野久実さんが「父孵る」を書き、雫石鉄也さんが「父替える」を書きました。
どれもそれぞれ面白い。
私も思わず便乗です^^
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ベルを鳴らして [競作]
イブの夜、バー海神のランタンが灯ると、それを待っていたように勢いよく扉が開く。
「メリークリスマス」
陽気に入って来たのは、赤い服に白い髭の老人だ。手にプレゼントを持っている。
「ウイスキーをロックで」
早口で言うと、カウンターの椅子にドスンと腰を下ろす。
「あまりゆっくりできないんだ。なにしろトナカイを外で待たせているからね。駐車違反の切符を切られたりしたら大変だろう」
鏑木は、思わずクスッと笑いながら、
「日本の警察もそんなに野暮じゃないでしょう」と返した。
彼は「そう願いたいね」と豪快に笑った。
ウイスキーを飲み干すと老人は、「さあ、仕事仕事」と立ち上がる。
そして、たったひとつしかないプレゼントを持って店を出て行く。
愉快な人だ。
老人は毎年クリスマスイブに現れて、ウイスキーを一杯だけ飲んで帰る。
鏑木は、このせっかちなサンタクロースが好きだった。
プレゼントを待ちわびる小さな子供のように、鏑木はイブの夜を楽しみにしていた。
その年のクリスマス、いつもの時間に扉が開いた。
入って来たのはいつもの老人。
白い髭は健在だが、赤い服は着ていない。
「水割りをくれないか。今日は少しゆっくりできそうだ」
いつもの陽気さはなく、静かに椅子に座った。
「おや、プレゼントを待っている子供たちがいるんじゃないですか?」
水割りのグラスをそっと置いて、鏑木が言うと、彼は小さく笑った。
「マスター、あんたはいい人だな。こんな老いぼれの遊びに最後まで付き合ってくれて」
「最後…とは?」
「サンタクロースはもう引退だ。必要なくなったのでね」
「どういうことです?」
「この夏に、妻が亡くなったんだ」
彼の妻は、数年前に体調を崩しふさぎ込んでいた。
妻を元気づけようと、クリスマスイブの夜にサンタクロースに扮装して帰った。
妻は思いのほか喜び、子供のようにはしゃいで元気を取り戻した。
それから毎年、彼はサンタクロースになった。
「シラフじゃさすがに恥ずかしいからな、ここで一杯ひっかけて帰ったというわけさ」
「そうだったんですか」
「もう待ってる人もいないし、サンタクロースは廃業さ」
寂しいような、どこかほっとしたような呟きだった。
「それで、トナカイはどうしました?」
「トナカイか…。トナカイは、森に帰したよ」
老人が、いつものように豪快に笑った。
老人は、三杯の水割りを飲んで席を立った。
椅子にリボンがかかった箱が置いてある。
「お忘れ物ですよ」
鏑木が声をかけると彼は、振り返って目を細めた。
「あんたへのクリスマスプレゼントだよ」
箱を開けると、ベルが入っていた。サンタクロースの鈴ではない。
扉に取りつける、カウベルだ。
「ありがとうございます」
顔を上げると、老人はもういなかった。
数年が過ぎた。カウベルは、今でも優しい音で客が来たことを知らせてくれる。
クリスマスが近づくと、鏑木はランタンを灯すたびに願った。
陽気でせっかちなサンタクロースが、ベルを鳴らして入ってくることを。
「いらっしゃいませ」
「メリークリスマス!」
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「メリークリスマス」
陽気に入って来たのは、赤い服に白い髭の老人だ。手にプレゼントを持っている。
「ウイスキーをロックで」
早口で言うと、カウンターの椅子にドスンと腰を下ろす。
「あまりゆっくりできないんだ。なにしろトナカイを外で待たせているからね。駐車違反の切符を切られたりしたら大変だろう」
鏑木は、思わずクスッと笑いながら、
「日本の警察もそんなに野暮じゃないでしょう」と返した。
彼は「そう願いたいね」と豪快に笑った。
ウイスキーを飲み干すと老人は、「さあ、仕事仕事」と立ち上がる。
そして、たったひとつしかないプレゼントを持って店を出て行く。
愉快な人だ。
老人は毎年クリスマスイブに現れて、ウイスキーを一杯だけ飲んで帰る。
鏑木は、このせっかちなサンタクロースが好きだった。
プレゼントを待ちわびる小さな子供のように、鏑木はイブの夜を楽しみにしていた。
その年のクリスマス、いつもの時間に扉が開いた。
入って来たのはいつもの老人。
白い髭は健在だが、赤い服は着ていない。
「水割りをくれないか。今日は少しゆっくりできそうだ」
いつもの陽気さはなく、静かに椅子に座った。
「おや、プレゼントを待っている子供たちがいるんじゃないですか?」
水割りのグラスをそっと置いて、鏑木が言うと、彼は小さく笑った。
「マスター、あんたはいい人だな。こんな老いぼれの遊びに最後まで付き合ってくれて」
「最後…とは?」
「サンタクロースはもう引退だ。必要なくなったのでね」
「どういうことです?」
「この夏に、妻が亡くなったんだ」
彼の妻は、数年前に体調を崩しふさぎ込んでいた。
妻を元気づけようと、クリスマスイブの夜にサンタクロースに扮装して帰った。
妻は思いのほか喜び、子供のようにはしゃいで元気を取り戻した。
それから毎年、彼はサンタクロースになった。
「シラフじゃさすがに恥ずかしいからな、ここで一杯ひっかけて帰ったというわけさ」
「そうだったんですか」
「もう待ってる人もいないし、サンタクロースは廃業さ」
寂しいような、どこかほっとしたような呟きだった。
「それで、トナカイはどうしました?」
「トナカイか…。トナカイは、森に帰したよ」
老人が、いつものように豪快に笑った。
老人は、三杯の水割りを飲んで席を立った。
椅子にリボンがかかった箱が置いてある。
「お忘れ物ですよ」
鏑木が声をかけると彼は、振り返って目を細めた。
「あんたへのクリスマスプレゼントだよ」
箱を開けると、ベルが入っていた。サンタクロースの鈴ではない。
扉に取りつける、カウベルだ。
「ありがとうございます」
顔を上げると、老人はもういなかった。
数年が過ぎた。カウベルは、今でも優しい音で客が来たことを知らせてくれる。
クリスマスが近づくと、鏑木はランタンを灯すたびに願った。
陽気でせっかちなサンタクロースが、ベルを鳴らして入ってくることを。
「いらっしゃいませ」
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青いピアス [競作]
お気に入りのピアス。深い海のような青。
「きれいな色ですね」
マスターが、すべてを包むような優しい声で言った。
初めてひとりでバーに入った。慣れないハイヒールで足がボロ雑巾のようだった。
明るいカフェの気分ではなかった。
まだ時間が早いせいか、客はあたしひとりだ。。
何を頼んでいいかわからなくて、とりあえず注文したビールをゴクゴク飲んだ。
「就職活動ですか?」
「わかります?…って、わかるよね。似合わないリクルートスーツ着てるんだもん」
カウンターの椅子でハイヒールを脱いで足をぶらつかせる。
こんな行儀の悪い客にも、マスターは優しく微笑む。
面接官が、この人だったらよかったのに。
「変な話よね」
「何がです?」
「みんな同じようなスーツ着て、マニュアル通りの自己紹介して、本当の自分を見せないまま内定もらってバカみたいに喜ぶんだよ」
「そうですね」
「まあ、あたしも髪を黒く染めて『御社が…』とか言ってるんだから笑っちゃう」
「では、そのピアスは、ささやかな抵抗といったところですか?」
「そうね…」
あたしは、青いピアスを指先でつついた。
耳ではなく、鼻に付けられたピアス。すべての面接官に渋い顔をされた可哀そうなピアス。
見たこともないきれいなカクテルが、カウンターに置かれた。
「ブルーラグーンです」
青く澄んだ湖のようなカクテル。
「きれい…」涙がでそうだ。
きっとどこかに、あたしの鼻ピアスをわかってくれる人がいる。
このマスターのように。
「もう少し頑張ってみようかな」
青いカクテルを一口飲んで、たぶん今日初めて、あたしは笑った。
「面接官みたいなことを聞いてもいいですか?」
「なに?」
「どうしてこの店を選んだのですか?」
あたしは、背筋をぴんと伸ばした。
「はい、お店の名前が気に入ったからです。『海神』っていう名前が。私はずっとバンドのボーカルをやっていて、そのバンドの名前が『ポセイドン』です。それで、何となく運命みたいなものを感じてこの店に入りました。私、たとえ社会人になっても、すごく楽しかったバンドのことや、トレードマークの鼻ピアスを、なかったことにしたくないんです」
「よくわかりました。ありがとう」
やっぱりこの人が面接官だったらいいのに。
クスッと笑って心の中でつぶやきながら、あたしは初めてのカクテルを飲み干した。
「おかわり下さい」
********
雫石さんのブログから生まれたバー『海神』
はるさんがサイドストーリーを書いて、素敵だったので私もお仲間に入れていただきました。
みなさんも、一緒に飲みませんか(笑)
雫石さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/e/f9682c60e8bdeae270e37dc31675f8fc
はるさんのブログ
http://haru123fu.exblog.jp/22728126/
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「きれいな色ですね」
マスターが、すべてを包むような優しい声で言った。
初めてひとりでバーに入った。慣れないハイヒールで足がボロ雑巾のようだった。
明るいカフェの気分ではなかった。
まだ時間が早いせいか、客はあたしひとりだ。。
何を頼んでいいかわからなくて、とりあえず注文したビールをゴクゴク飲んだ。
「就職活動ですか?」
「わかります?…って、わかるよね。似合わないリクルートスーツ着てるんだもん」
カウンターの椅子でハイヒールを脱いで足をぶらつかせる。
こんな行儀の悪い客にも、マスターは優しく微笑む。
面接官が、この人だったらよかったのに。
「変な話よね」
「何がです?」
「みんな同じようなスーツ着て、マニュアル通りの自己紹介して、本当の自分を見せないまま内定もらってバカみたいに喜ぶんだよ」
「そうですね」
「まあ、あたしも髪を黒く染めて『御社が…』とか言ってるんだから笑っちゃう」
「では、そのピアスは、ささやかな抵抗といったところですか?」
「そうね…」
あたしは、青いピアスを指先でつついた。
耳ではなく、鼻に付けられたピアス。すべての面接官に渋い顔をされた可哀そうなピアス。
見たこともないきれいなカクテルが、カウンターに置かれた。
「ブルーラグーンです」
青く澄んだ湖のようなカクテル。
「きれい…」涙がでそうだ。
きっとどこかに、あたしの鼻ピアスをわかってくれる人がいる。
このマスターのように。
「もう少し頑張ってみようかな」
青いカクテルを一口飲んで、たぶん今日初めて、あたしは笑った。
「面接官みたいなことを聞いてもいいですか?」
「なに?」
「どうしてこの店を選んだのですか?」
あたしは、背筋をぴんと伸ばした。
「はい、お店の名前が気に入ったからです。『海神』っていう名前が。私はずっとバンドのボーカルをやっていて、そのバンドの名前が『ポセイドン』です。それで、何となく運命みたいなものを感じてこの店に入りました。私、たとえ社会人になっても、すごく楽しかったバンドのことや、トレードマークの鼻ピアスを、なかったことにしたくないんです」
「よくわかりました。ありがとう」
やっぱりこの人が面接官だったらいいのに。
クスッと笑って心の中でつぶやきながら、あたしは初めてのカクテルを飲み干した。
「おかわり下さい」
********
雫石さんのブログから生まれたバー『海神』
はるさんがサイドストーリーを書いて、素敵だったので私もお仲間に入れていただきました。
みなさんも、一緒に飲みませんか(笑)
雫石さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/e/f9682c60e8bdeae270e37dc31675f8fc
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極楽ツアー(空見の日) [競作]
今日は、もぐらさんの呼びかけで、「空見の日」となりました。
みんなで空を見上げましょう。
今日の空は、雲一つない青空。こんなさわやかな気持ちで空を眺めることが出来るなんて、幸せですね。
空に因んだ話を書こうと思ったら…こんな話になりました(汗)
『極楽ツアー』
アテンションプリーズ。
本日は、当社の『極楽ツアー』にご参加いただき、まことにありがとうございます。
極楽は、空のずっとずっと上にございます。
超高速運転でまいりますので、シートベルトはしっかりとお締めください。
所要時間は7時間、極楽での滞在時間は3時間でございます。
それ以上いたら、帰りたくなくなりますのでご注意ください。
なにしろ極楽でございますから、居心地がいいのでございます。
それから、食事は機内かターミナルでお済ませください。
極楽には、レストランもファーストフードもございません。
ご存知かと思いますが、故人は食事をとりませんので。
それから、故人との写真撮影はご遠慮ください。
心霊写真になってしまいますので。
故人との面会をご希望の方は、到着後名簿にて確認の上、お申し込みください。
もしも名簿に名前がなかった場合、極楽ではない他の場所にいらっしゃる可能性がございますのでご了承ください。それはどこか…わたくしの口からは申しかねます。
はい?質問でございますか?どうぞ。
どの時代の祖先まで遡って会えるか…でございますね。
お答えします。せいぜい明治時代まででございます。それ以前の方は、もう生まれ変わっております。
まれに、織田信長や聖徳太子に会いたい目的で参加される方がいらっしゃいますが、到底無理な話でございます。徳川埋蔵金の在り処を聞き出そうとしても無駄ですよ。
他に質問はございますか?
はい?お土産でございますか?
極楽にはお店はございません。もちろんコンビニなんて皆無でございます。
でも、ターミナルに少々のお土産を置いてあります。
人気のお土産は、「極楽浄土水」安くて美味しいお水でございます。
あとは「天国のタルト」「蓮の葉せんべい」「釈迦に豆鉄砲」がございます。
「釈迦に豆鉄砲」は、ただの豆菓子でございます。あ、このネーミング、ウケましたか。
ありがとうございます。わたくしが名付け親でございます。
他に質問は…あ、ただいま機体は、かなりの上空に上がってまいりました。
この先は、ほのかなお線香の香りに包まれて、眠っていただきます。
極楽が近くなりましたら、またご案内させていただきます。
では、みなさま、安らかに…失礼いたしました。ごゆっくりお休みくださいませ。
南無阿弥陀仏…。
本当に青い空でしょう。
もっとさわやかな話にしたかったけど…もぐらさん、ごめん(笑)
こんなツアーがあったら、ちょっと行ってみたいですよね^^
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オー、ソラミヨ [競作]
もぐらさんの呼び掛けにより、本日「空見の日」となりました。
みんなで空に向かって黙祷。
そして空の写真をブログにアップしましょう…という企画です。
もぐらさんのブログはこちらです。
まだつぼみの桜と空。 本日8:00の空です。
黙祷。。。
こちらは小説ブログなので、短いお話をひとつ。
****
幼稚園の卒園式。
みんなで風船を空に飛ばした。
園児の夢を載せた風船は、空に吸い込まれるように、ぐんぐん昇って行った。
『パテシエになりたい』 アヤちゃんの夢。
『デザイナーになる』 みーちゃんの夢。
『サッカーせんしゅになりたい』 ケンちゃんの夢。
風船にくくりつけた夢は、空の神様に届くでしょうか。
みんな、笑顔で空を見上げていた。
「今年もたくさんの風船が来たな。しかし大人になっても同じ夢を持っている子が何人いるだろう」
「神様、そんなことはどうでもいいですよ。ほら、子供たちの笑顔を見てください」
「うん、キラキラしてるな」
「あ、神様、『せかいへいわ』って書いている子がいますよ」
「ほー、将来大物だな。その願いだけは、何としてもかなえてあげたいものだ」
「そうですね。空は世界中に繋がってますからね」
*****
空見の日にふさわしい、よく晴れた日でした。
世界平和を、そして1日も早い復興を祈って黙祷しました。
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チキンの約束2 [競作]
みなさん、メリークリスマス!
おいら、コタロウです。
あれ?忘れちゃった?1年ぶりだもんニャ~
おいらの活躍が見たい人は1年前にワープニャ!
http://blog.so-net.ne.jp/rin-ohanasi/2009-12-24
さて、今年もクリスマスがやってきた。
その日は、珍しく朝から雪だった。
ふたりの子供たちは大はしゃぎだけど、ママさんは外を見ながら曇り顔だ。
「困ったわ。チキンを買いにいけないわ」
お昼を過ぎても、雪はやみそうにない。
「仕方ないな。今年はチキンなしのイブだわ」
おいらは、絶え間なく降る雪をながめて、何とか役に立つことはできないかと考えていた。
その時、雪だるまがこちらに向かって歩いてきた。
なんニャ?
雪だるまは、おいらにメッセージを伝えた。
『裏のガレージに行け』
『ガレージに何があるニャ?』
『行けばわかる』
おいらは、ママさんに「外に出たい」と訴えた。
「まあ、コタロウどうしたの?この寒いのに外に出たいの?
ネコはコタツで丸くなるものだと思っていたわ。お前はイヌみたいなネコね」
ママさんは呆れ顔でドアを開けてくれた。
「寒いからすぐに戻ってくるのよ」
外はすごく寒かった。
ひゃ~!冷たい!雪って冷たいんだニャ。
ガレージに行くと、籠に入ったチキンが置いてあった。
『チキンだ』
『ああ、その通り。オレはチキンだ』
チキンがしゃべった。あれ?1年前もこんなことがあったニャ。
『どういうことニャ?』
『去年オレの仲間があんたに世話になっただろう。いつか恩返しがしたかったんだ』
『でも、おいら君を食べちゃうよ』
『いいさ。食べられるために来たんだ。焼くなり揚げるなり、好きにしてくれ』
『わかった。ママさんは料理が上手だから、きっと美味しいローストチキンになるよ』
おいらはチキンを持って家に帰った。
だけどママさん、喜ぶどころか怒り出した。
「ちょっとコタロウ!それどこから持ってきたの?
まさか、よそのお家から?ダメじゃないの。ああ、困ったわ。どうしましょう」
ちがうニャ~。もらったんだよ~。
どうすれば信じてくれるかな。
そう思っていたら、雪だるまがトントンと窓を叩いた。
「あら…」
ママさんは、途端に笑顔になった。
雪だるまは、いつもまにか赤い服を着ていた。
「サンタからのプレゼントってことね。まったくお前は、ときどき不思議なネコね」
ママさんがそう言って、おいらの頭をなでたから、「にゃー」と甘えた声で鳴いてみせた。
実はおいらは甘え上手なんだ。
その夜、賑やかな食卓に、美味しいチキンが並べられた。
『チキンさん、ありがとう』
いい匂いのローストチキンに生まれ変わったチキンさんは、家族の笑顔に囲まれて、しあわせかも…
って、おいらは思った。
雪は、いつのまにかやんでいた。雪だるまも、いつのまにかいなくなっていた。
おいらはフカフカの絨毯で丸くなりながら、雪の日には、二度と出かけたくないニャー…と思っていた。
クリスマス競作作品です。
競作、盛り上がりました。
いったい何人の方が参加したでしょう。
とても楽しかったです。
みなさんのお話はこちらから↓
http://blog.goo.ne.jp/kyosaku1224
*今回私は、自分の1年前のお話とコラボしました。
出前おそ!あ、間違えた… 手前味噌ですみません(笑)
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おいら、コタロウです。
あれ?忘れちゃった?1年ぶりだもんニャ~
おいらの活躍が見たい人は1年前にワープニャ!
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さて、今年もクリスマスがやってきた。
その日は、珍しく朝から雪だった。
ふたりの子供たちは大はしゃぎだけど、ママさんは外を見ながら曇り顔だ。
「困ったわ。チキンを買いにいけないわ」
お昼を過ぎても、雪はやみそうにない。
「仕方ないな。今年はチキンなしのイブだわ」
おいらは、絶え間なく降る雪をながめて、何とか役に立つことはできないかと考えていた。
その時、雪だるまがこちらに向かって歩いてきた。
なんニャ?
雪だるまは、おいらにメッセージを伝えた。
『裏のガレージに行け』
『ガレージに何があるニャ?』
『行けばわかる』
おいらは、ママさんに「外に出たい」と訴えた。
「まあ、コタロウどうしたの?この寒いのに外に出たいの?
ネコはコタツで丸くなるものだと思っていたわ。お前はイヌみたいなネコね」
ママさんは呆れ顔でドアを開けてくれた。
「寒いからすぐに戻ってくるのよ」
外はすごく寒かった。
ひゃ~!冷たい!雪って冷たいんだニャ。
ガレージに行くと、籠に入ったチキンが置いてあった。
『チキンだ』
『ああ、その通り。オレはチキンだ』
チキンがしゃべった。あれ?1年前もこんなことがあったニャ。
『どういうことニャ?』
『去年オレの仲間があんたに世話になっただろう。いつか恩返しがしたかったんだ』
『でも、おいら君を食べちゃうよ』
『いいさ。食べられるために来たんだ。焼くなり揚げるなり、好きにしてくれ』
『わかった。ママさんは料理が上手だから、きっと美味しいローストチキンになるよ』
おいらはチキンを持って家に帰った。
だけどママさん、喜ぶどころか怒り出した。
「ちょっとコタロウ!それどこから持ってきたの?
まさか、よそのお家から?ダメじゃないの。ああ、困ったわ。どうしましょう」
ちがうニャ~。もらったんだよ~。
どうすれば信じてくれるかな。
そう思っていたら、雪だるまがトントンと窓を叩いた。
「あら…」
ママさんは、途端に笑顔になった。
雪だるまは、いつもまにか赤い服を着ていた。
「サンタからのプレゼントってことね。まったくお前は、ときどき不思議なネコね」
ママさんがそう言って、おいらの頭をなでたから、「にゃー」と甘えた声で鳴いてみせた。
実はおいらは甘え上手なんだ。
その夜、賑やかな食卓に、美味しいチキンが並べられた。
『チキンさん、ありがとう』
いい匂いのローストチキンに生まれ変わったチキンさんは、家族の笑顔に囲まれて、しあわせかも…
って、おいらは思った。
雪は、いつのまにかやんでいた。雪だるまも、いつのまにかいなくなっていた。
おいらはフカフカの絨毯で丸くなりながら、雪の日には、二度と出かけたくないニャー…と思っていた。
クリスマス競作作品です。
競作、盛り上がりました。
いったい何人の方が参加したでしょう。
とても楽しかったです。
みなさんのお話はこちらから↓
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*今回私は、自分の1年前のお話とコラボしました。
出前おそ!あ、間違えた… 手前味噌ですみません(笑)
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不吉なイブ [競作]
街はすっかりクリスマスムードに浮かれている。
僕も浮かれている。
何しろ明日のイブは、彼女と過ごす初めてのイブなのだ。
プレゼントも買った。レストランも予約した。
明日のことを考えると、自然と顔がゆるんでしまう。
そんな夜、街角にホタルのような灯りを見つけた。
見ると、ひとりの少女がマッチを擦っては消し、擦っては消しを繰り返していた。
何をしているんだろう。21世紀にマッチ売りでもあるまい。
「何をしてるの?」僕は話しかけた。
「占いです」と少女は答えた。
「占い?」
「マッチ占いです。マッチを1本擦ると過去が見えます。
2本目を擦ると現在が見えます。
そして3本目を擦ると未来が見えるのです」
「へえ…おもしろいな。占ってもらおうかな」
少女はにっこり笑うと籠から新しいマッチを取り出した。
「何を占いましょうか」
「そうだな。彼女とのことを占ってもらおうかな。とりあえず明日のイブがうまく行くかどうか、見てもらおう」
「はい」と少女はマッチを1本擦った。
「ふーん」と言いながら、2本目を擦った。
「なるほど…」と言いながら3本目を擦った。
3本目を擦った途端、少女の顔がたちまち曇った。
「いやだ…」とつぶやき、座りこんでしまった。
「え?何?何が見えたの?」
僕が聞いても少女は答えず、青い顔をしてため息をつくばかりだ。
「そんなに悪いことが起きるの?」
少女は頭をかかえながら、「出かけない方がいいかも…」とひとりごとのようにつぶやいた。
いったい何が起こるんだ。事故にでも遭うのだろうか。
まさか命を落とすなんてことになったりして。
僕は急に怖くなった。
僕はイブの予定を全てキャンセルした。
彼女には会えないことを告げ、レストランもキャンセルした。
当然彼女はすごく怒ったけれど、命に関わることだから仕方ない。
ひょっとしたら彼女に不幸がふりかかるかもしれないのだ。
僕は膝を抱えてじっとしていた。
恐怖におびえながら、寂しいひとりのイブを過ごした。
長い長い、孤独なイブだった。
***
そのころ占いの少女は、母親にこっぴどく叱られていた。
「まったく、高校生が夜遅くまで何やってるんだ。もっとまともなアルバイトを探しなさい」
「は~い」
「あんたには、クリスマスプレゼントも、お年玉もなしだよ」
「そんな~」
そうなのだ。
少女はあの時、3本目のマッチの炎に、母親に叱られる自分の未来を見ていたのだ。
「やっぱり出かけなければよかったわ…」
クリスマス競作作品です。
これは、haruさんの「クリスマス定番のお話」の、もうひとつのお話です。
huruさんのお話はこちらでどうぞ
http://haru123fu.exblog.jp/15140302/
他の競作は、こちらでお楽しみ下さい。
http://blog.goo.ne.jp/kyosaku1224
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僕も浮かれている。
何しろ明日のイブは、彼女と過ごす初めてのイブなのだ。
プレゼントも買った。レストランも予約した。
明日のことを考えると、自然と顔がゆるんでしまう。
そんな夜、街角にホタルのような灯りを見つけた。
見ると、ひとりの少女がマッチを擦っては消し、擦っては消しを繰り返していた。
何をしているんだろう。21世紀にマッチ売りでもあるまい。
「何をしてるの?」僕は話しかけた。
「占いです」と少女は答えた。
「占い?」
「マッチ占いです。マッチを1本擦ると過去が見えます。
2本目を擦ると現在が見えます。
そして3本目を擦ると未来が見えるのです」
「へえ…おもしろいな。占ってもらおうかな」
少女はにっこり笑うと籠から新しいマッチを取り出した。
「何を占いましょうか」
「そうだな。彼女とのことを占ってもらおうかな。とりあえず明日のイブがうまく行くかどうか、見てもらおう」
「はい」と少女はマッチを1本擦った。
「ふーん」と言いながら、2本目を擦った。
「なるほど…」と言いながら3本目を擦った。
3本目を擦った途端、少女の顔がたちまち曇った。
「いやだ…」とつぶやき、座りこんでしまった。
「え?何?何が見えたの?」
僕が聞いても少女は答えず、青い顔をしてため息をつくばかりだ。
「そんなに悪いことが起きるの?」
少女は頭をかかえながら、「出かけない方がいいかも…」とひとりごとのようにつぶやいた。
いったい何が起こるんだ。事故にでも遭うのだろうか。
まさか命を落とすなんてことになったりして。
僕は急に怖くなった。
僕はイブの予定を全てキャンセルした。
彼女には会えないことを告げ、レストランもキャンセルした。
当然彼女はすごく怒ったけれど、命に関わることだから仕方ない。
ひょっとしたら彼女に不幸がふりかかるかもしれないのだ。
僕は膝を抱えてじっとしていた。
恐怖におびえながら、寂しいひとりのイブを過ごした。
長い長い、孤独なイブだった。
***
そのころ占いの少女は、母親にこっぴどく叱られていた。
「まったく、高校生が夜遅くまで何やってるんだ。もっとまともなアルバイトを探しなさい」
「は~い」
「あんたには、クリスマスプレゼントも、お年玉もなしだよ」
「そんな~」
そうなのだ。
少女はあの時、3本目のマッチの炎に、母親に叱られる自分の未来を見ていたのだ。
「やっぱり出かけなければよかったわ…」
クリスマス競作作品です。
これは、haruさんの「クリスマス定番のお話」の、もうひとつのお話です。
huruさんのお話はこちらでどうぞ
http://haru123fu.exblog.jp/15140302/
他の競作は、こちらでお楽しみ下さい。
http://blog.goo.ne.jp/kyosaku1224
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ハイテクサンタ [競作]
「あ~あ、すっかり遅くなっちまった」
「サンタさんがナビに頼ってばかりいるからですよ。
ナビなんてあてにならないですよ。わたしの知り合いなんて、ナビが曲がれって言う方に曲がったら、その道が一方通行で罰金払ったんですよ(うちのダンナだったりする)」
「さて、急いでプレゼントを配ろう。
え~と、ここは日本だったな。日本で人気のおもちゃをネットで調べよう。
なになに…セーラームーンとポケモン?」
「それ、古くないですか?今はプリキュアですよ」
「ああ、そうか。プリキュアか。男の子には戦隊ヒーローものでもあげておくか」
「まあ、無難なところですね」
「あれ?そりが動かない」
「もしかしてガス欠ですか?もう、だからあれほどハイブリットにしようって言ったじゃないですか」
「仕方ない。おまえがそりを引け」
「いやですよ。ぼくは心臓にペースメーカーが埋め込まれているんですよ。
激しい運動はできません。ドクターストップがかかってるんです」
「しょうがないなあ。じゃあJAFを呼ぼう」
「それがいいですね」
「JAFが来るまで、少し休もう。見ろ、トナカイ、星がきれいだぞ」
「ええ、冬の星座は特にきれいですね」
♪ 君って 君って 泣いたりしないよね ♪♪
「あ、サンタさん、ケイタイ鳴ってますよ(プッ!着ウタ、西野カナって…似合わね~)」
「いかん、プレゼントの催促だ。
―はい、もしもし、あっ、今出ましたー」
「サンタさん、星見ててもヒマですから、オンラインゲームでもやりますか?」
「うん、ちょっと待って。ブログチェックしちゃうから.。
あれ?おまえペースメーカー入れてるのにケイタイ大丈夫なの?」
「あ、やべえ…」
クリスマス競作 調子に乗って3作目を書いてみました。
今回ちょっとコラボが難しくて… お許しを~
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「サンタさんがナビに頼ってばかりいるからですよ。
ナビなんてあてにならないですよ。わたしの知り合いなんて、ナビが曲がれって言う方に曲がったら、その道が一方通行で罰金払ったんですよ(うちのダンナだったりする)」
「さて、急いでプレゼントを配ろう。
え~と、ここは日本だったな。日本で人気のおもちゃをネットで調べよう。
なになに…セーラームーンとポケモン?」
「それ、古くないですか?今はプリキュアですよ」
「ああ、そうか。プリキュアか。男の子には戦隊ヒーローものでもあげておくか」
「まあ、無難なところですね」
「あれ?そりが動かない」
「もしかしてガス欠ですか?もう、だからあれほどハイブリットにしようって言ったじゃないですか」
「仕方ない。おまえがそりを引け」
「いやですよ。ぼくは心臓にペースメーカーが埋め込まれているんですよ。
激しい運動はできません。ドクターストップがかかってるんです」
「しょうがないなあ。じゃあJAFを呼ぼう」
「それがいいですね」
「JAFが来るまで、少し休もう。見ろ、トナカイ、星がきれいだぞ」
「ええ、冬の星座は特にきれいですね」
♪ 君って 君って 泣いたりしないよね ♪♪
「あ、サンタさん、ケイタイ鳴ってますよ(プッ!着ウタ、西野カナって…似合わね~)」
「いかん、プレゼントの催促だ。
―はい、もしもし、あっ、今出ましたー」
「サンタさん、星見ててもヒマですから、オンラインゲームでもやりますか?」
「うん、ちょっと待って。ブログチェックしちゃうから.。
あれ?おまえペースメーカー入れてるのにケイタイ大丈夫なの?」
「あ、やべえ…」
クリスマス競作 調子に乗って3作目を書いてみました。
今回ちょっとコラボが難しくて… お許しを~
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トナカイの反乱 [競作]
トナカイの鼻はどうして赤いか知ってるかい?
まさか、夜道を照らすため、とか思ってないよね。
懐中電灯じゃあるまいし、どれだけ明るいんだよ。
寒さで鼻が赤くなった?うん、そういう説もある。
でも父さんは、本当の理由を知っているぞ。
トナカイは、とても真面目で勤勉なんだ。酒は飲まない、博打はやらない。
ひたすらサンタに遣える働き者だ。
クリスマスにそりを引くだけが、トナカイの仕事じゃないぞ。
シーズンオフにサンタの身の回りの世話をしたり、必要経費の計算をしたり、言ってみれば、敏腕マネージャーってところかな。
文句ひとつ言わないトナカイに甘えて、サンタは遊んでばかり。
それでもふたりの関係は、なかなかうまくいってたんだよ。
ところがある年、クリスマスの前日に、サンタが風邪をひいてしまったんだ。
日ごろの不摂生が祟ったんだな。
「クリスマスの前日に風邪をひくとはどういうことですか。
うがい手洗いをしないからですよ。まったく、いい大人なのに自己管理も出来ないんですか?」
いつも温厚なトナカイが、珍しく怒ったんだ。
「ひいちまったものは仕方ないだろう。そう耳元でガンガン言うな。うるさくて眠れん」
「明日のクリスマスはどうするんです?」
「ああ、もう面倒くさい、おまえが配れ」
「何言ってるんですか。トナカイがプレゼントを配るなんて、聞いたことないですよ」
「ああ、じゃあ中止だ。プレゼントはなしだ」
「はあ?」
「どうせ世間は不況なんだ。プレゼントがなくても、誰も不思議に思わんだろう」
「バカ言わないでください。こういう時こそ、夢を与えるのがあなたの仕事でしょう」
「ああ、うるさい、うるさい!おまえの顔見てたら治るものも治らん。出て行け!」
よくよく頭にきたトナカイは、初めてお酒を飲んだんだ。
そりゃあもう、浴びるほど飲んださ。
「トナカイさん、もうやめなさいよ。明日仕事でしょう」
「うるさい!だいたい何なんだ。クリスマスだからって、ミニスカサンタの衣装なんか着やがって!サンタなんか大嫌いだ!」
トナカイは、そう言って泣いたんだ。そして泣きながら、寝てしまったんだと。
目が覚めたのは、クリスマスの昼過ぎだった。
「おい、やっと起きたか、寝ぼすけ」
すっかり仕度を整えたサンタが、トナカイを待っていたんだ。
「あれ?サンタさん、風邪は?」
「そんなの気力で治したさ。おまえに怒られて、ちょっとは反省したんだ」
サンタは照れたように笑ったんだ。
「さあ行くぞ」
「あの、すみません…フラフラで飛べません」
「二日酔いか。仕方ないな。目をつぶれ」
トナカイが目をつぶると、サンタはその鼻めがけて強いパンチを食らわせたんだ。
「どうだ?目が覚めたか?」
「は…はい!」
こうして、無事にプレゼントを配ることが出来たんだ。
「はあ、今年もよく働いた。どうだ、酒でも飲みに行くか?」
「いえ、遠慮します…」
「ところで、おまえ何故鼻が赤いんだ?」
「……」
『あんたが殴ったからだろ!』という言葉を、トナカイは飲み込んで
「きっと赤ワインの飲みすぎですよ」と笑ったんだと。
***
「どうだ、赤鼻のトナカイの話、面白かったか?」
「うん、面白かった。ところでお父さんの鼻は、どうして赤いの?」
「ああ、これか、これはゆうべ母さんに…。あ、いや何でもない。きっとほら、あれだ、ボジョレーヌーボーの飲みすぎだ」
ミニスカサンタのハルカちゃんからの写メールを、妻に見られて顔面パンチされたとは、死んでも言えない父親であった。
クリスマス競作企画の、第2弾を書いてみました。
気が早いな~と思っていたら、クリスマスまであと1ヶ月をきりましたよ。
今回コラボしたのは、雫石鉄也さん『かぜひきサンタ』 星鉄さん『クリームシチューは食べられた』 つとむューさん『美少女探偵ハルカ・変身』 です。
これらのお話は、こちらからどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/kyosaku1224
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まさか、夜道を照らすため、とか思ってないよね。
懐中電灯じゃあるまいし、どれだけ明るいんだよ。
寒さで鼻が赤くなった?うん、そういう説もある。
でも父さんは、本当の理由を知っているぞ。
トナカイは、とても真面目で勤勉なんだ。酒は飲まない、博打はやらない。
ひたすらサンタに遣える働き者だ。
クリスマスにそりを引くだけが、トナカイの仕事じゃないぞ。
シーズンオフにサンタの身の回りの世話をしたり、必要経費の計算をしたり、言ってみれば、敏腕マネージャーってところかな。
文句ひとつ言わないトナカイに甘えて、サンタは遊んでばかり。
それでもふたりの関係は、なかなかうまくいってたんだよ。
ところがある年、クリスマスの前日に、サンタが風邪をひいてしまったんだ。
日ごろの不摂生が祟ったんだな。
「クリスマスの前日に風邪をひくとはどういうことですか。
うがい手洗いをしないからですよ。まったく、いい大人なのに自己管理も出来ないんですか?」
いつも温厚なトナカイが、珍しく怒ったんだ。
「ひいちまったものは仕方ないだろう。そう耳元でガンガン言うな。うるさくて眠れん」
「明日のクリスマスはどうするんです?」
「ああ、もう面倒くさい、おまえが配れ」
「何言ってるんですか。トナカイがプレゼントを配るなんて、聞いたことないですよ」
「ああ、じゃあ中止だ。プレゼントはなしだ」
「はあ?」
「どうせ世間は不況なんだ。プレゼントがなくても、誰も不思議に思わんだろう」
「バカ言わないでください。こういう時こそ、夢を与えるのがあなたの仕事でしょう」
「ああ、うるさい、うるさい!おまえの顔見てたら治るものも治らん。出て行け!」
よくよく頭にきたトナカイは、初めてお酒を飲んだんだ。
そりゃあもう、浴びるほど飲んださ。
「トナカイさん、もうやめなさいよ。明日仕事でしょう」
「うるさい!だいたい何なんだ。クリスマスだからって、ミニスカサンタの衣装なんか着やがって!サンタなんか大嫌いだ!」
トナカイは、そう言って泣いたんだ。そして泣きながら、寝てしまったんだと。
目が覚めたのは、クリスマスの昼過ぎだった。
「おい、やっと起きたか、寝ぼすけ」
すっかり仕度を整えたサンタが、トナカイを待っていたんだ。
「あれ?サンタさん、風邪は?」
「そんなの気力で治したさ。おまえに怒られて、ちょっとは反省したんだ」
サンタは照れたように笑ったんだ。
「さあ行くぞ」
「あの、すみません…フラフラで飛べません」
「二日酔いか。仕方ないな。目をつぶれ」
トナカイが目をつぶると、サンタはその鼻めがけて強いパンチを食らわせたんだ。
「どうだ?目が覚めたか?」
「は…はい!」
こうして、無事にプレゼントを配ることが出来たんだ。
「はあ、今年もよく働いた。どうだ、酒でも飲みに行くか?」
「いえ、遠慮します…」
「ところで、おまえ何故鼻が赤いんだ?」
「……」
『あんたが殴ったからだろ!』という言葉を、トナカイは飲み込んで
「きっと赤ワインの飲みすぎですよ」と笑ったんだと。
***
「どうだ、赤鼻のトナカイの話、面白かったか?」
「うん、面白かった。ところでお父さんの鼻は、どうして赤いの?」
「ああ、これか、これはゆうべ母さんに…。あ、いや何でもない。きっとほら、あれだ、ボジョレーヌーボーの飲みすぎだ」
ミニスカサンタのハルカちゃんからの写メールを、妻に見られて顔面パンチされたとは、死んでも言えない父親であった。
クリスマス競作企画の、第2弾を書いてみました。
気が早いな~と思っていたら、クリスマスまであと1ヶ月をきりましたよ。
今回コラボしたのは、雫石鉄也さん『かぜひきサンタ』 星鉄さん『クリームシチューは食べられた』 つとむューさん『美少女探偵ハルカ・変身』 です。
これらのお話は、こちらからどうぞ。
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