サンタさんのランク付け
ユミちゃんの家には、天井に届きそうなほど大きなクリスマスツリーがある。
てっぺんの星は、パパに肩車してもらって飾るんだって。
すごいね。
うちにはクリスマスツリーもないし、パパもいない。
サンタさんは、いつも望み通りの物を持ってきてくれない。
去年は大きなクマのぬいぐるみをリクエストしたのに、運動靴が置いてあった。
「ごめんね。クマさん売り切れだった」っていうお手紙と一緒に。
その前は、プリンセスのお洋服をリクエストしたのに、ペンケースだった。
お洋服も売り切れだったんだ。
「ねえママ、ユミちゃん、サンタさんにピンクの自転車をお願いしたんだって」
「ふうん。ステキね」
「わたしは、何をお願いしたらいい?」
「カナコが欲しいものにすればいいでしょう。今年は何が欲しいの?あっ、お正月に着るコートは?小さくなっちゃったよね」
「それは欲しいものじゃなくて必要な物。サンタさんよりメルカリでしょ」
ああ、ママに言っても無駄だよね。
きっとサンタさんは、ランク付けをしてるんだろうな。
わたしの家はランクが下の方なんだ。
でも、遠いところにいるのに、どうやってランク付けするのかな。
あっ、そうか。クリスマスツリーだ。
大きなツリーの大きな星でランク付けをしてるんだ。
こうしちゃいられない。
次の日、学校でユミちゃんに訊いた。
「クリスマスツリーってどこで買うの?」
「えっ、知らないよ。カナちゃん、ツリー欲しいの?」
「うん。大きな星をつけたいの」
「じゃあ、うちの倉庫に古いのがあるよ。ママが粗大ごみの日に出すって言ってた」
「捨てるなんてもったいない。もらっていい?」
そんなわけで、ママとふたりでユミちゃんちのクリスマスツリーをもらいに行った。
星と飾りももらった。
ユミちゃんちに比べたら小さいけど、これでランクは上がると思う。
「部屋が賑やかになったね」
ママが笑った。
わたしは背伸びして、てっぺんに星を飾った。
サンタさん、わたしの家のランク、これで上がったよね。
わたしは「キッズケータイがほしいです」とサンタさんに手紙を書いた。
クリスマスの朝、枕元には、水色のコートが置いてあった。
お正月に着るコート。なんだ、サンタじゃなくてメルカリじゃん。
「キッズケータイは、もう少しおねえさんになってからね」と書かれた手紙があった。
なーんだ。ランク上がってないじゃん。
次の日、水色のコートを着てユミちゃんの家に遊びに行った。
ユミちゃんは庭でピンクの自転車に乗っていた。
「あっ、カナちゃん。そのコート、めっちゃ可愛いね。どこで買ったの?」
「サンタさんにもらった」
「いいなあ。それ、すごく有名なブランドのコートだよね」
「えっ、そうなの?」
「そうだよ。そのマークの服、割と高いよ」
これって、ランク上がったってこと?
きっとクリスマスツリーを飾ったからだね。
やったあ! サンタさん、ありがとう。
(メルカリだけどね)
てっぺんの星は、パパに肩車してもらって飾るんだって。
すごいね。
うちにはクリスマスツリーもないし、パパもいない。
サンタさんは、いつも望み通りの物を持ってきてくれない。
去年は大きなクマのぬいぐるみをリクエストしたのに、運動靴が置いてあった。
「ごめんね。クマさん売り切れだった」っていうお手紙と一緒に。
その前は、プリンセスのお洋服をリクエストしたのに、ペンケースだった。
お洋服も売り切れだったんだ。
「ねえママ、ユミちゃん、サンタさんにピンクの自転車をお願いしたんだって」
「ふうん。ステキね」
「わたしは、何をお願いしたらいい?」
「カナコが欲しいものにすればいいでしょう。今年は何が欲しいの?あっ、お正月に着るコートは?小さくなっちゃったよね」
「それは欲しいものじゃなくて必要な物。サンタさんよりメルカリでしょ」
ああ、ママに言っても無駄だよね。
きっとサンタさんは、ランク付けをしてるんだろうな。
わたしの家はランクが下の方なんだ。
でも、遠いところにいるのに、どうやってランク付けするのかな。
あっ、そうか。クリスマスツリーだ。
大きなツリーの大きな星でランク付けをしてるんだ。
こうしちゃいられない。
次の日、学校でユミちゃんに訊いた。
「クリスマスツリーってどこで買うの?」
「えっ、知らないよ。カナちゃん、ツリー欲しいの?」
「うん。大きな星をつけたいの」
「じゃあ、うちの倉庫に古いのがあるよ。ママが粗大ごみの日に出すって言ってた」
「捨てるなんてもったいない。もらっていい?」
そんなわけで、ママとふたりでユミちゃんちのクリスマスツリーをもらいに行った。
星と飾りももらった。
ユミちゃんちに比べたら小さいけど、これでランクは上がると思う。
「部屋が賑やかになったね」
ママが笑った。
わたしは背伸びして、てっぺんに星を飾った。
サンタさん、わたしの家のランク、これで上がったよね。
わたしは「キッズケータイがほしいです」とサンタさんに手紙を書いた。
クリスマスの朝、枕元には、水色のコートが置いてあった。
お正月に着るコート。なんだ、サンタじゃなくてメルカリじゃん。
「キッズケータイは、もう少しおねえさんになってからね」と書かれた手紙があった。
なーんだ。ランク上がってないじゃん。
次の日、水色のコートを着てユミちゃんの家に遊びに行った。
ユミちゃんは庭でピンクの自転車に乗っていた。
「あっ、カナちゃん。そのコート、めっちゃ可愛いね。どこで買ったの?」
「サンタさんにもらった」
「いいなあ。それ、すごく有名なブランドのコートだよね」
「えっ、そうなの?」
「そうだよ。そのマークの服、割と高いよ」
これって、ランク上がったってこと?
きっとクリスマスツリーを飾ったからだね。
やったあ! サンタさん、ありがとう。
(メルカリだけどね)
2022-12-21 13:59
nice!(10)
コメント(6)
クスッと笑いました。
メルカリ利用させてもらってる私としては受けました。
by たまきち (2022-12-23 05:54)
ラスト、ユミちゃんが喜んでくれて、ホッとしやした!
by ぼんぼちぼちぼち (2022-12-25 10:44)
リンさんさん こんにちは
心が温かくなる物語です。
by SORI (2022-12-25 17:30)
<たまきちさん>
ありがとうございます。
わたしもメルカリ利用してます。
メルカリの中に、サンタさんいるかも(笑)
by リンさん (2022-12-26 17:49)
<ぼんぼちぼちぼちさん>
ありがとうございます。
そうですね。
子供って素直で可愛いですね^^
by リンさん (2022-12-26 17:51)
<SORIさん>
ありがとうございます。
クリスマスなので、楽しい話にしました。
by リンさん (2022-12-26 17:56)