SSブログ

日本動物児童文学賞 表彰式 [公募]

先週、日本動物児童文学賞の表彰式がありました。
優秀賞をいただいたので、喜び勇んで出席してきました!

優秀賞は2回目ですが、前回はコロナのために表彰式がありませんでした。
オンラインで名前が呼ばれるのを、家のパソコンで見ていました。
寂しいな、行きたいな、表彰式、と思っていたので、今回はすごく嬉しかったです。

場所は東京国際フォーラム。
コンサートで行ったことがあって(たしか佐野元春)、すごいところでやるなあと思っていました。
だけど会場は意外とこじんまりで、ほぼ受賞者の家族や関係者だけだったので、緊張せずに済みました。

文学賞だけではなく、ポスターや標語や写真、キャッチコピーの部もあるので、全部で15人くらいいました。小さな子どももいて、かわいかったな~
文学賞の他の受賞者さんとお話も出来て、すごく楽しかったです。

コロナだったから仕方ないけど、表彰式が中止って、本当に残念なものです。
私は去年、家の光童話賞と深大寺恋物語の表彰式が中止になってガッカリでした。
審査員の先生に会えるのって、すごくありがたいことですものね。
今回、本当に楽しかった。
また頑張ろうって思いました。

近いうちに作品集も出ると思うので、またお知らせします。

PXL_20230929_084402992.jpg
やっぱり直接受け取りたいですよね~

nice!(14)  コメント(16) 

日めくりカレンダーの逆襲 [ミステリー?]

しまった。
日めくりカレンダーを2枚めくってしまった。
セロテープで張り付けるか。
いや、そんな暇はない。今日は大事な会議だ。
明日の分もめくったことにすればいいや。
僕は破いた2枚の紙をゴミ箱に捨てて、急いで家を出た。

「あれ、新田さん早いですね」
会社に着くと、後輩の柴田さんが話しかけてきた。
「ああ、9時半から商品開発会議だろう。資料を確認しようと思って」
「えっ?その会議、きのう終わったじゃないですか」
「きのう?」
「そうですよ。Aチームにプレゼン負けて、うちのチームはサポートに回ることになったじゃないですか」
「企画、通らなかったのか?」
「やだ、しっかりしてくださいよ。悔しくてみんなでやけ酒飲んだじゃないですか。新田さん、酔いつぶれて忘れちゃいました?」

しらない。会議に出た覚えもないし、酒を飲んだ記憶もない。
ハッとして、スマホの日付を見た。
『9月22日』
今日って、21日じゃなかったか? 朝起きたときは、21日だった。
テレビのアナウンサーが言っていた。「9月21日木曜日です」と。
パソコンを開くと、9月21日付のメールが数件あった。すべてに返信している。
スマホの着信は2件。いずれもユリからだ。
ユリはそろそろ結婚を考えている恋人だ。きのう僕たちは何を話した?

昼休みにユリに電話した。
「あのさ、今夜会えない?」
「はあ?会うわけないでしょ。私たち、もう終わりよ」
「えっ、どうして急に?」
「決まってるでしょう。夕べの電話よ。どうしてあなたの電話に女が出るのよ」
「女?」
「会社の後輩の女よ。彼女気取りであなたの介抱をしていた、あざとい女よ」
飲んだ記憶もないのに、どういうことだ。

柴田さんに確認すると「ああ、出ましたよ、電話」とすました顔で言う。
「気の強そうな人ですね。新田さんには合わないかも。別れたら私、立候補してもいいですか? っていうか、もうキスしちゃったし、私たち」
「えっ!!」
何だ、この展開。まずいぞ。
僕は体調不良を訴えて、早退して家に帰った。

日めくりカレンダーを2枚めくったせいで、9月21日が消えてしまった。
ゴミ箱から21日の紙を拾って丁寧に皺を伸ばし、セロテープで22日の上に貼りつけた。
そしてスマホを見ると、日付は『9月21日』
よかった、戻った。

急いで会社に行った。9月21日をやり直すはずだった。しかし……
「新田さん、何ですか、今ごろ来て。プレゼン負けましたよ」
「もう会議終わりましたよ。リーダーが無断欠席なんて前代未聞」
「新田君、社長もお怒りだ。地方への異動は覚悟したまえ」
最悪だ。日にちは戻せても、時間は戻せなかったのか。
でも僕にはユリがいる。ユリとの関係は壊れていない。
夜になってユリに電話をしたら、男が出た。
「ああ、ユリの彼氏さんですか? ユリは今シャワー浴びてますよ」
なんだと?

もう、何もかもが嫌になって、家に帰って日めくりカレンダーを全部めくった。
こんなもの、もう要らない。すべてをゴミ箱に捨てた。
そのまま寝て、目が覚めると一面の銀世界の中にいた。
雪山が目の前に見える。外は猛烈な吹雪だ。
ここはどこだ? そして、今日は何月何日? スマホは圏外。テレビもない。
半そでのパジャマの腕をさすりながら、僕は途方にくれた。

nice!(13)  コメント(8) 

だってネコだもん [コメディー]

新聞を広げるとネコがやって来る。
新聞紙の上に座って動かない。ネコというやつは、いつもそうだ。
パソコンのモニター前を占拠する。
リモート会議に顔を出す。
スマートフォンを勝手にさわる。

経済新聞や、株の動きを読んでいると必ずやってくる。
人間に構って欲しいのか、新聞紙のクシャっという感触が好きなのか。
私は今朝も、必要な情報を得ることが出来なかった。

聴けば、よその家も同じだと言う。
「甘えたいのよ。可愛いじゃないの」
「うちなんか、新聞読もうと思ったらネコにクシャクシャにされてた」
「仕方ないよ、だってネコだもん」
そう、仕方ない。新聞読まなくたって死ぬわけじゃない。
パソコンもスマホもリモート会議も、ネコの可愛さにはかなわない。
だってネコだもん。何もかもが可愛いんだもん。
誰もがそう思っていた。
しかし……。

ある日突然、世界はネコに支配された。
新聞やネットで経済を学び、言葉を覚えたネコたちがすべてを支配しようとしている。
人間の心に入り込むことが上手なネコたちは、日に日に勢力を伸ばし、ついには政界トップに躍り出た。
「ネコによる、ネコのための、ネコの政治を目指しますにゃん」
かつて私のペットだったアメリカンショートヘアのショコラは、今や私の上司である。
「ショコラさん、〇×商事のトラキチ様がお見えになりました」
「応接間に通してにゃん。ネコ用ミルクと煮干しのタルトをお出ししてにゃん」
「かしこまりました」

街は職を失ったホームレスであふれた。
ホームレスたちは、拾った新聞紙を体に掛けてベンチで眠る。
それを見たネコたちは言う。
「ああ、また人間が新聞を掛布団にしているにゃん」
「仕方ないよ。だって人間だもん」

PXL_20230429_003339479.jpg
新聞を開くと必ず来るネコがこちら


nice!(11)  コメント(10) 

9月の子ども [コメディー]

夏休みが終わったら、学校へ行きたくない子が増えるっていうけど、うちの息子は、全くそういう子じゃなかったんです。
それなのに、始業式の日、全然起きてこないんですよ。
起こしに行ったら「学校行きたくない」っていうんです。
無理に行かせるのも良くないって言うでしょう。
だから私、放っておいたんです。
きっと明日には元気に行くだろうと思って。

それでね、パートに行って帰ったら、あの子がいないんです。
鞄もないから、ああ遅れて学校に行ったんだなって思いました。
6時過ぎに息子が帰って来ました。「あー疲れた」って言いながら。
「学校行ったのね」って言ったら、「部活だけ行った」っていうんです。
まあ、夏休みも部活だけは行っていたから、その延長なのかもしれないけど。
「部活に行くなら朝から行きなさいよ」
私が言ったら、息子は「分かった」って言いました。
だけど、結局次の朝も起きてこないんです。

かれこれ2週間、息子は部活だけ行ってます。
どう思います?
部活行くだけいいっていう人もいますけど、授業はどうするのかしら。
中学2年って大事な時期でしょう。
部活はいいけど授業は嫌だなんて、そんなこと許されますか?
このままでいいのかしら。
校長先生、私、どうしたらいいでしょう。

「お母さん、ご心配は分かりますが、息子さんのおかげで我がサッカー部は非常に強くなりました。全国を狙えるレベルです」
「まあ、そんなに?」
「ですから彼には部活に専念して欲しいと思っています」
「でも、それでは授業が」
「授業には出なくて結構です。息子さんにそう伝えてください」

いいのかしらって思いながら、家に帰って息子に話したの。
息子は、それはそれは喜んだわ。
「やった。じゃあもう、授業もテストの採点も、面倒な保護者との面談も雑用もしなくていいんだね。よし、明日は早起きして次の試合のフォーメーションを考えよう」
ふう。今どきの先生は大変なのね。
何はともあれよかったわ。
先生が不登校なんて、シャレにならないわ。




nice!(9)  コメント(6)