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小学生、浦島太郎 [名作パロディー]

はじめまして。浦島太郎です。
今日からこのクラスに編入しました。
特技は、魚を捕ることです。
よろしくお願いします。

僕は約600年前からタイムスリップしてきました。
海の中にある竜宮城っていうところから戻ったら、時代が大きく変わっていたのです。
親もいなくて、家もなくて、村はすっかり変わっていました。
途方に暮れていましたが、村……いや、この町の人はなぜかみんな僕のことを知っていました。
「浦島太郎さんでしょ」
「カメを助けて竜宮城に行った浦島さんよね」
僕は、意外と有名人でした。

町の人はみんな親切で、いろいろ世話をしてくれました。
600年の間に、この国が大きく変わったことを教えてくれました。
僕が学校へ行っていないことを知って、小学校から学ぶように勧めてくれました。
年齢は皆さんよりずいぶん上ですが、仲良くしてください。

「はい、みんな拍手!」
パチパチパチ
「ところで浦島君、急な編入だったから、君の給食が用意できなかったの。お弁当は持ってきた?」
「はい、組合長の奥さんが作ってくれました」
「それはよかったわ。3年生に混ざっての勉強は大変だけど頑張ってね。教科書とノートの使い方を説明するわね」
「はい、お願いします」
「みんなはちょっと自習しててね」
「はーい」


「なあ、浦島君の弁当って、あれかな?」
「きっとそうだよ。大事そうにふろしきに包んでる」
「きっと豪華な弁当なんだろうな」
「弁当箱大きいし、たぶんおかずもいっぱいだね」
「ローストビーフとか、エビフライとか入ってるかも」
「ちょっと開けて見ちゃおうぜ」
「ちょっと男子たち、やめなさいよ」
「いいじゃん。見るだけ、見るだけ」
「うわ、紐が掛かってる」
「高級なやつだ」
「いい、開けるよ。せーの」
パカ


「はーい、みんな、授業を始めますよ。えっ、なに、この煙。えっ、あの、どちらの老人会の方々ですか? うちの生徒たちはどこに?」
「先生、僕が乙姫様にもらった玉手箱が開いています。絶対開けるなって言われたのにな。あれ、先生、どこに行くんですか?」
「煙を浴びたら大変、私、婚活中なのよ」

乙姫様は、いったい何を下さったのだろう。
そしていきなり現れた老人たちは何?
僕のクラスメートたちは、どこに行ってしまったのかな?
(浦島君、家に帰ってうらしまたろうの物語を読んで下さい。すべて分かります)


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コメント 8

めりー

クラスメートたちのその後が気になっちゃいます^^;;
by めりー (2024-02-16 17:16) 

たまきち

思わず笑ってしまいました。
婚活中の先生が逃げるのが真にせまってる。
私もその後の生徒たちが気になるのは現代版浦島太郎なので
身近に感じるのかな。
by たまきち (2024-02-17 04:23) 

SORI

リンさんさん こんにちは
現代版、浦島太郎ですね。楽しく読ませていただきました。
by SORI (2024-02-18 14:11) 

ぼんぼちぼちぼち

ははは、、、そっかー、浦島太郎くんは、玉手箱を開ける前にクラスに編入してきたんでやすね。
クラス全員が巻き込まれたって結末、面白かったでやす!
by ぼんぼちぼちぼち (2024-02-21 21:57) 

リンさん

<めりーさん>
ありがとうございます。
クラスメートたちの親もビックリですよね。
子どもが自分より年上になっちゃって。
元に戻れることを祈りましょう。
by リンさん (2024-02-27 22:24) 

リンさん

<たまきちさん>
ありがとうございます。
結末を知っているだけに、先生、焦りましたね^^
by リンさん (2024-02-27 22:27) 

リンさん

<SORIさん>
ありがとうございます。
浦島太郎が現代に来たら、こんな風かも。
書いてて楽しかったです。
by リンさん (2024-02-27 22:30) 

リンさん

<ぼんぼちぼちぼちさん>
ありがとうございます。
浦島さん、村が変わり過ぎて、玉手箱の存在を忘れていたのかもしれません。
子どもたちは災難でした。
by リンさん (2024-02-27 22:51) 

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