定員オーバー [男と女ストーリー]
「あら、案外せまいのね」
宇宙船に乗り込んだマリアは、ぐるりと見渡して言った。
「豪華客船でも想像してたのかい?」
あとから乗り込んだのは、この船の持ち主ジャックだ。
「ジャック、まるで夢みたいよ。宇宙旅行に行けるなんて。
でも、大丈夫なの?こんな小さな船で」
「大丈夫さ。操縦士もスタッフも、超一流を揃えたからね」
「楽しみだわ」
その時、操縦士のエディがやってきた。
「ジャック、困ったことになった」
「なんだ、どうした」
「この船は6人乗りなのに、7人乗っている。
定員オーバーだ。このままでは飛べないよ」
「それは困った。ではスタッフを集めてくれ。
だれかひとりに降りてもらう」
スタッフは、操縦士のエディ・副操縦士のロン・医者のチャーリー・コックのマイク・ハウスキーパーのケイト の5人だ。
「ケイト、すまないが君が降りてくれ。ハウスキーパーは必要ない」
「ちょっと待ってよジャック。ケイトを降ろしたら、いったい誰が掃除や洗濯をするのよ。私は嫌よ。そんなことするくらいなら家にいるわ」
「わ、わかったよ、マリア。じゃあ…コックのマイクに降りてもらおう」
「マイクはだめよ。食事は大事よ。何ヶ月もレトルトの宇宙食を食べるなんて冗談じゃないわ」
「そうか…じゃあ、副操縦士のロンに降りてもらおう」
「待てよジャック、そしたらオレが困るよ。ひとりで操縦なんて出来るわけがない。死んでしまうよ」
「ああ、エディの言うとおりだ。じゃあ、医者のチャーリーに降りてもらおう」
「降りるのは構いませんが、万が一宇宙病にでもなったら、それこそ全滅です。帰ってくることも出来ませんよ」
「それは困る。じゃあ、どうすればいいんだ」
そのときマリアが言った。
「ジャック、あなたが降りれば?」
「え??だ、だってこれはオレの船…」
「だって他に方法がある?私は招待されてここに来たのよ。招待客を降ろすなんて、そんな非常識なこと、まさかしないでしょう」
「わ、わかったよ…」
ジャックは、「なんでオレが?」と言いながら、しぶしぶ船を降りた。
宇宙船は、ジャックを残して、はるかかなたへ旅立った。
~そして数ヵ月後~
「ただいま~。宇宙の旅は楽しかったわ」
「お帰りマリア。あれ?ちょっと太った?まあいいや。
君に見せたいものがあるんだ」
「なにかしら」
「ほら、これだよ」
と、ジャックは、ひとまわり大きな宇宙船を指さした。
「7人乗りの宇宙船を作らせたんだ。これで今度は一緒に…」
「まあ、すてき」
マリアは目を輝かせた。
「じゃあ、今度は5人のスタッフと、私と、生れてくるベイビーと7人で行けるわ」
「は…?ベ、ベイビー??」
「ええ、宇宙船の中は退屈で、他にやることがなかったんですもの」
「ち…父親は誰だ!」
「さあ?」
マリアは首をかしげ、ケイト以外の4人の男がいっせいに目をそらした。
頭をかかえるジャックは、いっそ宇宙の藻屑になりたいと空を見上げた。
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宇宙船に乗り込んだマリアは、ぐるりと見渡して言った。
「豪華客船でも想像してたのかい?」
あとから乗り込んだのは、この船の持ち主ジャックだ。
「ジャック、まるで夢みたいよ。宇宙旅行に行けるなんて。
でも、大丈夫なの?こんな小さな船で」
「大丈夫さ。操縦士もスタッフも、超一流を揃えたからね」
「楽しみだわ」
その時、操縦士のエディがやってきた。
「ジャック、困ったことになった」
「なんだ、どうした」
「この船は6人乗りなのに、7人乗っている。
定員オーバーだ。このままでは飛べないよ」
「それは困った。ではスタッフを集めてくれ。
だれかひとりに降りてもらう」
スタッフは、操縦士のエディ・副操縦士のロン・医者のチャーリー・コックのマイク・ハウスキーパーのケイト の5人だ。
「ケイト、すまないが君が降りてくれ。ハウスキーパーは必要ない」
「ちょっと待ってよジャック。ケイトを降ろしたら、いったい誰が掃除や洗濯をするのよ。私は嫌よ。そんなことするくらいなら家にいるわ」
「わ、わかったよ、マリア。じゃあ…コックのマイクに降りてもらおう」
「マイクはだめよ。食事は大事よ。何ヶ月もレトルトの宇宙食を食べるなんて冗談じゃないわ」
「そうか…じゃあ、副操縦士のロンに降りてもらおう」
「待てよジャック、そしたらオレが困るよ。ひとりで操縦なんて出来るわけがない。死んでしまうよ」
「ああ、エディの言うとおりだ。じゃあ、医者のチャーリーに降りてもらおう」
「降りるのは構いませんが、万が一宇宙病にでもなったら、それこそ全滅です。帰ってくることも出来ませんよ」
「それは困る。じゃあ、どうすればいいんだ」
そのときマリアが言った。
「ジャック、あなたが降りれば?」
「え??だ、だってこれはオレの船…」
「だって他に方法がある?私は招待されてここに来たのよ。招待客を降ろすなんて、そんな非常識なこと、まさかしないでしょう」
「わ、わかったよ…」
ジャックは、「なんでオレが?」と言いながら、しぶしぶ船を降りた。
宇宙船は、ジャックを残して、はるかかなたへ旅立った。
~そして数ヵ月後~
「ただいま~。宇宙の旅は楽しかったわ」
「お帰りマリア。あれ?ちょっと太った?まあいいや。
君に見せたいものがあるんだ」
「なにかしら」
「ほら、これだよ」
と、ジャックは、ひとまわり大きな宇宙船を指さした。
「7人乗りの宇宙船を作らせたんだ。これで今度は一緒に…」
「まあ、すてき」
マリアは目を輝かせた。
「じゃあ、今度は5人のスタッフと、私と、生れてくるベイビーと7人で行けるわ」
「は…?ベ、ベイビー??」
「ええ、宇宙船の中は退屈で、他にやることがなかったんですもの」
「ち…父親は誰だ!」
「さあ?」
マリアは首をかしげ、ケイト以外の4人の男がいっせいに目をそらした。
頭をかかえるジャックは、いっそ宇宙の藻屑になりたいと空を見上げた。
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2010-01-12 16:43
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コメント(10)
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こういう・・・ブラックジョーク系の話 好きです(*^^)v
スタッフーは やっぱり外せないですものね^_^;
by junjun (2010-01-12 23:13)
まだ、全部ではないのですがいくつか読ませていただきました^^
すっごく面白かったです!すごいなぁ~リンさん!
こちらも、今後楽しみに拝見させていただきます^^
by 街の電気屋 (2010-01-12 23:36)
読みながら・・「マリア以外全員男じゃん・・」って
思って読んでたら
やっぱそうきたかぁー(笑)^0^
by めりー (2010-01-13 09:22)
<junjunさん>
ありがとうございます。
私もブラックジョーク系、意外と好きです。
どうしても、かわいそうなのは男になっちゃうんですけどね。
<街の電気屋さん>
早速訪問してくれてありがとうございます。
読者が増えると、張り合いがあります。
これからもよろしくお願いします。
<めりーさん>
やっぱり、そうなっちゃいますよね~(笑)
旅行をやめるっていう選択肢はなかったんでしょうかね~?
by リンさん (2010-01-13 16:06)
まさかベイビィーが…
もっと大型の宇宙船が必要ですね(^^;)
by シュシュ (2010-01-23 16:33)
<シュシュさん>
最初からもっと大きい船を作ればよかったのにね。
子供もさらに増えそうだし(笑)
by リンさん (2010-01-25 17:16)
馬鹿虎ステーションへのリンク、ありがとうございます。
さてさて、このお話も面白いですね~!
4人の女性と男1人の宇宙船だと・・・?
全員が身籠もったりしたら・・・?
すみません。そんな妄想をすぐにしてしまう、情けない奴です。
ぶってやってください。
ピシッピシッ
by 矢菱虎犇 (2010-06-03 20:41)
<矢菱さん>
ありがとうございます。
この話、私にしてはめずらしく、ちょっとだけ下ネタなんですよね。
妄想…どんどんしてください(笑)
一応、ちょっとだけぶっておきます。バシッ!!
by リンさん (2010-06-05 18:27)
はじめまして!
矢菱虎犇さんのところにお邪魔している唯です!
バカいわシアターコンテスト、オリンピンク受賞、おめでとうございます!
番組で読まれるのを楽しみにしています♪
by 唯 (2010-07-16 23:49)
<唯さん>
ありがとうございます。
まさか賞をいただけるなんてビックリです。
ブログを始めて、たくさんの方と知り合えて嬉しく思っています。
これからもよろしくお願いします。
by リンさん (2010-07-17 17:53)