グレーテルのギリギリギリチョコ [名作パロディー]
グレーテルのギリギリギリチョコ
グレーテルは、兄のヘンゼルと一緒に森の中に入って行った。
「本当に行くのかい?グレーテル」
「ええ、そうよ。お兄さん、ちゃんと目印の光る石を置きながら歩いてよ。いつかのように、帰れなくなったら困るわ」
グレーテルは、あのお菓子の家に、再び行こうとしているのだ。
「ねえ、やっぱりやめようよ。また怖い魔女につかまっちゃうよ。この前だってやっと逃げてきたんじゃないか」
「大丈夫よ。屋根のチョコレートだけもらって、さっさと帰ってくればいいのよ」
「そんなにうまくいくかな。だいたいチョコなんて買えばいいじゃないか」
「もう、お兄さん、何もわかってないのね。明日はバレンタインデーなのよ。わたしが何人にチョコを配ると思っているの。うちは貧乏なんだから、そんなに買えるわけないわ」
「そんな…義理チョコなんて要らないだろう」
「だめよ!義理と人情を捨てたら、この世は終わりよ」
(とか言って、ホワイトデーのお返しが欲しいだけだろう)
ヘンゼルは、心の中でつぶやいた。
そして、ようやくお菓子の家を見つけた。
「さあ、急ぐわよ」
グレーテルは、屋根のチョコをはがして、用意したクーラーボックスに次々入れていった。
「おい、もういいだろう。魔女に気づかれる前に退散しよう」
「もう少しよ」
その時、ギイ~っとドアが開いて、おばあさんが顔を出した。
「あたしのお家を食べているのは誰だい?」
しまった!とヘンゼルは慌てて逃げようとしたが、足がすくんで動けなかった。
そのおばあさんこそ、怖い魔女なのだ。
「おや、可愛い子だね。お腹が空いているなら中にお入り」
そうだ、こうして前のときもつかまったんだ。
ヘンゼルはグレーテルの袖を引っ張って逃げようとしたが、グレーテルは少しも慌てず、魔女に向き直った。
「おばあさん、このお菓子の家のカロリーを、ざっと計算してみたわ。すごく高いわよ。こんなのおばあさんひとりで食べたら、ぜったい生活習慣病になるわ。だから私が、もっともカロリーの高いチョコレートを食べてあげる。
だっておばあさんは、森で迷った子供達のために、うんと長生きしなきゃだめだもの。
ね、そうでしょう」
グレーテルは、目を潤ませて言った。
なかなかの演技派だ。
「ああ、なんて優しい子なんだ」
魔女はすっかり感心して、
「よかったらクッキーやキャンディーも持って行きなさい」
と土産まで持たせてくれた。
「チョロいわ」
ペロペロキャンディーを食べながら、グレーテルは舌を出した。
「ね、魔女にも義理人情が通じたわ。さあ、急いで帰って明日の準備よ。お兄さんもラッピング手伝ってね」
翌日グレーテルは、タダで手に入れたチョコを配りまくった。
「ふふふ…ホワイトデーが楽しみだわ」
ヘンゼルは、グレーテルの黒いつぶやきを聞き逃さなかった。
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グレーテルは、兄のヘンゼルと一緒に森の中に入って行った。
「本当に行くのかい?グレーテル」
「ええ、そうよ。お兄さん、ちゃんと目印の光る石を置きながら歩いてよ。いつかのように、帰れなくなったら困るわ」
グレーテルは、あのお菓子の家に、再び行こうとしているのだ。
「ねえ、やっぱりやめようよ。また怖い魔女につかまっちゃうよ。この前だってやっと逃げてきたんじゃないか」
「大丈夫よ。屋根のチョコレートだけもらって、さっさと帰ってくればいいのよ」
「そんなにうまくいくかな。だいたいチョコなんて買えばいいじゃないか」
「もう、お兄さん、何もわかってないのね。明日はバレンタインデーなのよ。わたしが何人にチョコを配ると思っているの。うちは貧乏なんだから、そんなに買えるわけないわ」
「そんな…義理チョコなんて要らないだろう」
「だめよ!義理と人情を捨てたら、この世は終わりよ」
(とか言って、ホワイトデーのお返しが欲しいだけだろう)
ヘンゼルは、心の中でつぶやいた。
そして、ようやくお菓子の家を見つけた。
「さあ、急ぐわよ」
グレーテルは、屋根のチョコをはがして、用意したクーラーボックスに次々入れていった。
「おい、もういいだろう。魔女に気づかれる前に退散しよう」
「もう少しよ」
その時、ギイ~っとドアが開いて、おばあさんが顔を出した。
「あたしのお家を食べているのは誰だい?」
しまった!とヘンゼルは慌てて逃げようとしたが、足がすくんで動けなかった。
そのおばあさんこそ、怖い魔女なのだ。
「おや、可愛い子だね。お腹が空いているなら中にお入り」
そうだ、こうして前のときもつかまったんだ。
ヘンゼルはグレーテルの袖を引っ張って逃げようとしたが、グレーテルは少しも慌てず、魔女に向き直った。
「おばあさん、このお菓子の家のカロリーを、ざっと計算してみたわ。すごく高いわよ。こんなのおばあさんひとりで食べたら、ぜったい生活習慣病になるわ。だから私が、もっともカロリーの高いチョコレートを食べてあげる。
だっておばあさんは、森で迷った子供達のために、うんと長生きしなきゃだめだもの。
ね、そうでしょう」
グレーテルは、目を潤ませて言った。
なかなかの演技派だ。
「ああ、なんて優しい子なんだ」
魔女はすっかり感心して、
「よかったらクッキーやキャンディーも持って行きなさい」
と土産まで持たせてくれた。
「チョロいわ」
ペロペロキャンディーを食べながら、グレーテルは舌を出した。
「ね、魔女にも義理人情が通じたわ。さあ、急いで帰って明日の準備よ。お兄さんもラッピング手伝ってね」
翌日グレーテルは、タダで手に入れたチョコを配りまくった。
「ふふふ…ホワイトデーが楽しみだわ」
ヘンゼルは、グレーテルの黒いつぶやきを聞き逃さなかった。
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2010-02-04 23:38
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コメント(8)
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魔女から盗んだチョコ・・・
これを食べたら魔力で心を奪われる・・カモ?^^
by めりー (2010-02-05 09:40)
おつかれさま^v^
魔女のチョコ・・・ほしい^^;
リンさんが 魔女かも^^。
by しげ (2010-02-06 01:33)
ダークグレーテル降臨~~(笑)
魔女までも丸め込んでしまうグレーテルにかかれば
草食系男子達なんてイチコロね(^0~)
by 街の電気屋 (2010-02-06 15:39)
<めりーさん>
ハハハ…それが狙いかもね!
by リンさん (2010-02-07 11:53)
<しげさん>
わたしもお菓子の家があったら、こっそり屋根のチョコだけもらって来たいです(笑)
by リンさん (2010-02-07 11:54)
<街の電気屋さん>
まるでグレーテルの方が魔女みたい。
こういう子が、なぜかモテるのよね(笑)
by リンさん (2010-02-07 11:56)
魔女より怖いグレーテル…(^_^;)
もらったらお返し大変そうですね。
by シュシュ (2010-02-07 23:17)
<シュシュさん>
ホントホント!!
3倍返しとか言われそうですね^^
by リンさん (2010-02-09 16:58)