犬は見ていた：りんのショートストーリー：SSブログ

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犬は見ていた　[ミステリー？] [編集]

　彼女は、一人暮らしのマンションの部屋で何者かに殺害された。
第一発見者は、マンションの管理人。
彼女の飼い犬がうるさいと、住人から苦情がきたため、部屋に入ったらすでに彼女は殺害されていた。

管理人「犬の鳴き声は普段から聞こえていましたが、
　　　　　あまりにも異様な鳴き方だったので、合鍵で部屋に入りました。
　　　　　もうビックリしました。
　　　　　部屋の中ですか？特に荒らされた様子はなかったです。
　　　　　ただ、犬がいつになくハイテンションでして…。
　　　　　飼い主が死んだことなどわかっていなかったんでしょうな」

部屋が荒らされていない事から、金銭目当ての犯行ではない。争った後もないことから、顔見知りの犯行と断定された。

そんな時、盗聴器が見つかった。
彼女を殺した犯人と、盗聴器を仕掛けた犯人は、同一人物と思われた。

敏腕刑事アケチは、アリバイのない３人を容疑者に絞った。

彼女の恋人Ａ：ＩＴ企業に勤めるエリート。
　　　　　　　　　　　最近別れ話が浮上し、もめていたらしい。

彼女の上司Ｂ：彼女と同じ運送会社に勤めている。
　　　　　　　　　　横領を彼女に追及され、窮地に立たされていた。

彼女の友達Ｃ：ペットショップ経営。彼女とは犬を通じて知り合う。
　　　　　　　　　　最近経営がうまくいかず、彼女に借金を申し込んでいた。

＜Ａの証言＞
「別れ話なんて、俺たちにとっては年中行事みたいなものですよ。彼女は感情の起伏が激しい人だったから。結婚だって考えていたのに、俺が殺すわけないでしょう」

「彼女に盗聴器が仕掛けられていたのですが、心当たりはありませんか？」

「え？盗聴器？そんなものがあったんですか？じゃあ、あの部屋での会話が誰かに聞かれたってこと？気味が悪いな。早く犯人捕まえてくださいよ」

＜Ｂの証言＞
「横領なんてしてませんよ。ただね、ちょっと借りたんですよ。だからすぐに返しましたよ。それなのに彼女が大げさに騒ぐから、危うくクビになるところでしたよ。だからと言って、私が殺すわけないでしょう。私も悪かったんだし、ちゃんと彼女とは和解しましたよ」

「彼女に盗聴器が仕掛けられていたのですが、心当たりはありませんか？」
「知りませんよ。だいたい彼女がどこに住んでいるかさえ知らないんですから、私に仕掛けられるわけないじゃないですか」

＜Ｃの証言＞
「確かに借金を申し込んだけど、本当に借りようなんて思ってなかったわ。経営の方は何とかなりそうだし。それに彼女は店のお得意さまよ。殺すわけないじゃない」

「彼女に盗聴器が仕掛けられていたのですが、心当たりはありませんか？」

「盗聴器なんて知らないわ。それと刑事さん、彼女じゃないでしょう。彼よ」

３人の証言を聞いたアケチは、「わかった！」と手を打った。
犯人は誰か？盗聴器は何のために？

さあ、賢い諸君はわかったかな？
答えは下↓ だよ。まずは推理してみて。

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「犯人はＣさん、あなたです」

「ちょ、ちょっと、何言ってるの？どうして私が」

「彼女に盗聴器が仕掛けられたと言ったとき、ＡさんとＢさんは部屋に仕掛けられたと思った。普通はそう思いますよね。
しかしＣさん、あなたは盗聴器がどこに仕掛けられていたのか知っていた」

「どこに仕掛けられていたんですか？」

「犬の首輪です。Ｃさんは、（彼女に盗聴器が仕掛けられた）と言ったときに（彼女ではなく彼でしょう）と言った。
Ｃさんは、この犬は彼女ではなく彼だ、つまりメスではなくオスだと言ったのです。動物を愛するあなたならではの視点ですね」

「ええ、盗聴器は私が仕掛けたわ。だけど殺したのは私じゃないわ。だいいち動機がないわ」

「あなたがなぜ盗聴器を仕掛けたかを考えました。
彼女は感情の起伏が激しかった、そして住人は度々犬の鳴き声を聞いていた。
彼女は、おそらく犬を虐待していたのではありませんか？それを知ったあなたは、盗聴器を仕掛けた首輪を彼女にプレゼントして、確かめようとしたんですね。そして残念ながら、彼女は犬を虐待していた。
動機はそれです」

「そのとおりよ」

Ｃは犯行を認めた。

「この犬、ジョンは私が売ったの。見てよ、こんなに痩せて。どれだけ辛い日々を送っていたか。
彼女が死んでいちばん喜んでいるのは彼よ」

Ｃは、ジョンを抱きしめて「今度はいい人に飼ってもらうのよ」と頭をなでた。

こうして、悲しい事件は解決した。

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わかった？？？
いつもより長いお話を、最後まで読んでくれてありがとう（＾０＾）ｖ