天国へよ～こそ：りんのショートストーリー：SSブログ

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天国へよ～こそ　[コメディー] [編集]

「何？…ってえことは、ここはホントに天国なのかい？」

「そうですよ。さっきから言ってるじゃないですか。あなたは死んで天国に来たんですよ」

「いやしかし神様よお、オレは天国に来れるような人間じゃねえ。お天道様に顔向けできねえ事ばかりしてきたんだ。何かの間違いじゃねえか？」

「いえいえ、どうぞ気になさらずに」

「そうはいかねえ。オレの気がすまねえ。さあ、とっとと地獄に送ってくれ」

「あのねえ、地獄なんてないんですよ。死んだらみんな天国に来るんです」

「そうか。そいつはありがてえ。ところでオレはどうして死んだんだ？」

「おや、憶えていませんか？」

「まったく憶えてねえ。〇〇組との抗争で殺られたのか？」

「いいえ。海で亡くなりました」

「じゃあコンクリート詰めで東京湾に沈められたか」

「いいえ。崖から落ちたのです」

「崖から？」

「はい。サスペンスごっこをしていて、落ちたのです。あなたは犯人の役でした」

「はあ？そんなマヌケな死に方をしたのか？」

「ええ。あなたは愛人と一緒でした。愛人は刑事の役です」

「愛人？ああ、明美か。明美はいい女だ。オレが死んでさぞかし悲しんでいるだろう」

「ええ。それはもう悲しんでいますよ」

「そうか。ひとりの部屋で枕を濡らしているのか」

「いいえ。ひとりではありません」

「何？」

「塀の中で、他の受刑者といっしょに過ごしています」

「塀の中？何故だ。シャブでもやったか」

「保険金殺人です」

「は？」

「うまくあなたを崖から落とすことに成功したけど、目撃者がいて捕まりました。金はもらえず刑務所暮らし、悔しくて悲しくて毎日泣いてますよ」

「あっ！急に思い出したぞ。そうだ、海で明美に背中を押されたんだ。ちくしょう、あの女。神様、あいつを地獄に落としてくれ！」

「だから～、地獄はないんだってば」

「ちくしょう！天国に来たらぶっ殺してやる！」

「もう死んでるってば」

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2012-02-24 18:16 nice!(5) コメント(14) トラックバック(0)

nice! 5

うぷぷぷぷ。
２度目は志村けんを主人公に思い浮かべながら読みました。
女神は石野陽子かなー

でも、このままでは、ショートショートならいいのですが、コントとしてはオチのインパクトが弱いですね。

＞「ちくしょう！天国に来たらぶっ殺してやる！」
＞「だからもう死んでるって言ってるでしょ！」
＞金だらいで強打。ジャン、ジャン！

by 海野久実 (2012-02-24 20:43)