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不機嫌なつつじ姫 [男と女ストーリー]

僕の彼女はつつじ姫。
つつじ園のキャンペーンガール。
オーデションで選ばれた。もちろん人気投票ナンバーワン。
この連休は大忙し。あでやかなピンクの着物で、つつじよりもずっと輝いていた。
にこやかにお客さまを迎えて、一緒に写真を撮り、子供たちにはお菓子を配った。
彼女は誰よりも美しい。
天使のような笑顔と、つつじのような華やかさ。
僕の彼女は日本一、いや、世界一だ。

「ああ、疲れた。ちょっと、ちゃんと揉んでよ。腰が終わったらふくらはぎも揉んでね」
「はい。お疲れさま」
「着物ってマジで肩がこるわ。もう二度と着たくない」
「でもさ、きれいだったよ」
「うっさい!だいたいアンタが勝手にあたしの写真を送るから、こんな目に遭うのよ」
「こんな目って…」
「可笑しくもないのに笑ったり、ベタベタ手を触られたり、もううんざり。ゴールデンウイークは地獄だったわ」
「ホントにごめん」
「リモコン取って」
「あ、はい」
「あと、コーヒー淹れて」
「あ、はい」

僕の彼女はグータラな引きこもり。
美人なのにもったいない。
だけど何だかんだで、仕事はちゃんとこなす。
ミス七夕、リンゴ娘、節分の福娘やミス椿姫、普段とは正反対の素敵な笑顔を振りまいた。

「ちょっとぉ、手が止まってるわよ」
「あ、ごめん」
「ミスあじさいとか、応募したら殺すからね」
「あ、はい」

次はミスあじさいか。ネットで応募規定をチェックしよう。
まったく、絶対自分じゃ応募しないんだから。
「プリン食べたい」
「あ、はいはい」
僕の彼女は、不機嫌なお姫様。僕にだけ、不機嫌なお姫様。
そういうところも、きらいじゃない。

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コメント 6

SORI

リンさんさん おはようございます。
すごいミスなんとか、やなんとか娘を総なめですね。
ミスあじさいも、やってしまいそうですね。
by SORI (2015-05-07 11:14) 

雫石鉄也

う~ん。この作品は彼女のキャラの造形が不十分でしたね。
彼女は本気で「ミス稼業」を嫌がっているのでしょうか。
もし、そうなら、本気で嫌だけれど「ミス稼業」をちゃんとこなす。そうであるのなら、彼女はたいした「ミス稼業」のプロです。
また、口では嫌だといってるけれど、ほんとうは「ミス稼業」が好き。そのことを僕もしってるから、次々と応募する。
このあたりの彼女の本音も少し描写すれば良かったのではないでしょうか。もちろん、ムクツケに書くのではなく、表現方法に工夫する必要がありますが。
by 雫石鉄也 (2015-05-07 13:43) 

みかん

嫌だと言ってもちゃんとやるなら 本当はやりたいんだろうなぁって
思いながら読んでいました。
なんとな~くですけど
彼氏目線のお話から彼女目線のお話へ移行するほうが
リンさんのお話って感じがします(#^.^#)
by みかん (2015-05-07 19:51) 

リンさん

<SORIさん>
ありがとうございます。
性格はともかく、すごい美人なんでしょうね。
ミスあじさいも、難なくクリアでしょう^^
by リンさん (2015-05-09 10:00) 

リンさん

<雫石鉄也さん>
ありがとうございます。
連休中はなかなかパソコンを使えないので、勢いで書いてアップしました。
読み返してみたら、ちょっと中途半端でしたね^^;
アイドルのオーデションで、「家族や友達が応募しました」というのが多いですよね。
彼女もそういうのを狙っている感じなんですが、そのあたりを表現すればよかったかな…と思いました。
ありがとうございました^^
by リンさん (2015-05-09 10:05) 

リンさん

<みかんさん>
ありがとうございます。
あまのじゃくな彼女で、本当はやりたいんですよね。
>彼女目線のお話…あ、そういう手法もありましたね。
ちょっと考えてみますね^^
by リンさん (2015-05-09 10:07) 

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