ぐんまの休日 [名作パロディー]
ある王国のアンヌ王女が、お忍びで日本に来ていた。
草津温泉で静養をするのが目的だ。
「クサツヨイトコ イチドハオイデ ハアドッコイショ」
しかしアンヌ王女は、温泉に入るだけの毎日に飽き飽きしていた。
温泉に行くふりをして、こっそりと宿を抜け出した。
温泉まんじゅうを食べながら、1000円カットの店で髪を切った。
「早~い!安~い!」
すっかり身軽になったアンヌ王女は、カラオケで知り合った男と意気投合。
一緒に旅をすることになった。
男は新聞記者だった。名前はジロー。
ジローはアンヌ王女にすぐに気付いた。
「こりゃあ、大スクープだ」
ジローはアンヌ王女の写真を撮って、記事にしようと思った。
「ここが伊香保温泉だよ」
「うわ~、階段キツそう。暑いし疲れそう」
「じゃあここで、ソフトクリームを食べよう」
ふたりは伊香保の石段でソフトクリームを食べた。
狭い階段なので、行きかう人からかなりのひんしゅくを買った。
次にふたりは、高崎の少林山に行った。
「これが名物のダルマだよ」
「ブルマ?」
「ノーノー、ダルマだよ。願いが叶ったら目に墨を入れるんだ」
「へえ…」
「君の願いはなんだろう?」
「願いか…そうね、自由になりたいわ」
アンヌ王女は、寂しそうにうつむいた。
その横顔を見たジローは、何故だか少し、うしろめたさを感じた。
ふたりは榛名湖を訪れた。赤い夕陽が湖を染めていた。
「遊覧船に乗ろうよ」
「榛名山って、きれいな形ね。富士山みたいよ」
ふたりは船の上で寄り添って、風に吹かれながら景色を見た。
その時、アンヌ王女の肩を、何者かが掴んだ。
アンヌ王女を探しに来たボディーガードだ。
「王女様、さあ帰りましょう」
「いやよ。わたしまだ赤城山も見てないし、鬼押し出しにも行ってないわ。下仁田こんにゃくも食べてないし、上毛カルタも買ってないわ」
アンヌ王女はそう言うと、ボディガードに蹴りを入れた。
実は日本好きのアンヌ王女は、カラテを習っていたのだ。(ボディガードいらないじゃん)
ボディガードを湖に落とし、ふたりは逃げた。
手をつないで夜の町を走った。
「ああ楽しかった。こんなに興奮したことってないわ」
ふたりは、楽しそうに笑った。
しかし、別れの時がやってきた。
「私、もう帰らないと」
「え?だってまだ赤城山が…」
「もうこれ以上は無理だわ。さようなら」
ふたりは最後にきつく抱き合って、そして別れた。
アンヌ王女を見送ったジローは、壁に額をこすり付けて泣いた。
「記事になど出来ない。ふたりの思い出を記事になど出来るものか!」
しかし翌朝のスポーツ紙の一面に、アンヌ王女の写真が大きく載った。
たくさんの群馬県民のつぶやきにより、アンヌ王女の居場所がすっかりばれていたのだ。
アンヌ王女は会見を開いた。
「このたびは、お騒がせしました」
取材陣の中に、ジローがいることに気づいたアンヌ王女は、「あ…」と驚いたが、すぐに笑顔になってジローを見た。
「アンヌ王女に、群馬のお土産を渡したいのですが」
ジローはそう言って立ち上がり、アンヌ王女にお土産の『上毛カルタ』を渡した。
「ありがとうございます」
アンヌ王女は、目を潤ませた。
「アンヌ王女、何度も来日していますが、どこが一番好きですか?」
どこかのマスコミが聞いた。
「はい。どこもそれぞれに素晴らしく…」
そう言いかけて、アンヌ王女はマイクを持ち替えた。
「いいえ。一番好きなのは、鶴舞う形の群馬県です」
そう言って、上毛カルタの「つ」の札を目の前にかざした。
沸き起こる拍手とフラッシュに包まれたアンヌ王女は、気高く華やかなプリンセスだった。
THE END
********
ご存じ『ローマの休日』のパロディですが、映画を見ていない人にとっては、なんじゃこりゃあ…の話ですね^^
そして、上毛カルタを知らない人にも、なんじゃこりゃあ…ですね。
上毛カルタは、群馬の名所をカルタにしたものです。
実は子供のころ群馬に住んでいまして、上毛カルタ大好きだったんです。
さあ、みなさんも思い出の場所をパロッてみよう(笑)
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草津温泉で静養をするのが目的だ。
「クサツヨイトコ イチドハオイデ ハアドッコイショ」
しかしアンヌ王女は、温泉に入るだけの毎日に飽き飽きしていた。
温泉に行くふりをして、こっそりと宿を抜け出した。
温泉まんじゅうを食べながら、1000円カットの店で髪を切った。
「早~い!安~い!」
すっかり身軽になったアンヌ王女は、カラオケで知り合った男と意気投合。
一緒に旅をすることになった。
男は新聞記者だった。名前はジロー。
ジローはアンヌ王女にすぐに気付いた。
「こりゃあ、大スクープだ」
ジローはアンヌ王女の写真を撮って、記事にしようと思った。
「ここが伊香保温泉だよ」
「うわ~、階段キツそう。暑いし疲れそう」
「じゃあここで、ソフトクリームを食べよう」
ふたりは伊香保の石段でソフトクリームを食べた。
狭い階段なので、行きかう人からかなりのひんしゅくを買った。
次にふたりは、高崎の少林山に行った。
「これが名物のダルマだよ」
「ブルマ?」
「ノーノー、ダルマだよ。願いが叶ったら目に墨を入れるんだ」
「へえ…」
「君の願いはなんだろう?」
「願いか…そうね、自由になりたいわ」
アンヌ王女は、寂しそうにうつむいた。
その横顔を見たジローは、何故だか少し、うしろめたさを感じた。
ふたりは榛名湖を訪れた。赤い夕陽が湖を染めていた。
「遊覧船に乗ろうよ」
「榛名山って、きれいな形ね。富士山みたいよ」
ふたりは船の上で寄り添って、風に吹かれながら景色を見た。
その時、アンヌ王女の肩を、何者かが掴んだ。
アンヌ王女を探しに来たボディーガードだ。
「王女様、さあ帰りましょう」
「いやよ。わたしまだ赤城山も見てないし、鬼押し出しにも行ってないわ。下仁田こんにゃくも食べてないし、上毛カルタも買ってないわ」
アンヌ王女はそう言うと、ボディガードに蹴りを入れた。
実は日本好きのアンヌ王女は、カラテを習っていたのだ。(ボディガードいらないじゃん)
ボディガードを湖に落とし、ふたりは逃げた。
手をつないで夜の町を走った。
「ああ楽しかった。こんなに興奮したことってないわ」
ふたりは、楽しそうに笑った。
しかし、別れの時がやってきた。
「私、もう帰らないと」
「え?だってまだ赤城山が…」
「もうこれ以上は無理だわ。さようなら」
ふたりは最後にきつく抱き合って、そして別れた。
アンヌ王女を見送ったジローは、壁に額をこすり付けて泣いた。
「記事になど出来ない。ふたりの思い出を記事になど出来るものか!」
しかし翌朝のスポーツ紙の一面に、アンヌ王女の写真が大きく載った。
たくさんの群馬県民のつぶやきにより、アンヌ王女の居場所がすっかりばれていたのだ。
アンヌ王女は会見を開いた。
「このたびは、お騒がせしました」
取材陣の中に、ジローがいることに気づいたアンヌ王女は、「あ…」と驚いたが、すぐに笑顔になってジローを見た。
「アンヌ王女に、群馬のお土産を渡したいのですが」
ジローはそう言って立ち上がり、アンヌ王女にお土産の『上毛カルタ』を渡した。
「ありがとうございます」
アンヌ王女は、目を潤ませた。
「アンヌ王女、何度も来日していますが、どこが一番好きですか?」
どこかのマスコミが聞いた。
「はい。どこもそれぞれに素晴らしく…」
そう言いかけて、アンヌ王女はマイクを持ち替えた。
「いいえ。一番好きなのは、鶴舞う形の群馬県です」
そう言って、上毛カルタの「つ」の札を目の前にかざした。
沸き起こる拍手とフラッシュに包まれたアンヌ王女は、気高く華やかなプリンセスだった。
THE END
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ご存じ『ローマの休日』のパロディですが、映画を見ていない人にとっては、なんじゃこりゃあ…の話ですね^^
そして、上毛カルタを知らない人にも、なんじゃこりゃあ…ですね。
上毛カルタは、群馬の名所をカルタにしたものです。
実は子供のころ群馬に住んでいまして、上毛カルタ大好きだったんです。
さあ、みなさんも思い出の場所をパロッてみよう(笑)
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2012-05-25 18:05
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コメント(10)
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こんばんわ(^_^)v
只今クライアントさん待ちです。
コメントありがとうございます。
今週あった出来事です。
優柔不断な俺です・・・
またお邪魔します。
by こっちゃん (2012-05-25 19:21)
うわぁ~!ローマの休日が。。。ぐんまの休日。。。?
キャハハハ!ダメ。もうだめ!笑いが止まらない。
上毛カルタ?ぷっ!知らないけどおもしろい。(^▽^)
by haru (2012-05-25 20:52)
>鶴舞う形の群馬県
そこで、こらえていた笑いが爆発しました。
ネットのお知り合いに群馬県の方が2名ほどいたんですよね。
その関係で「上毛カルタ」も知っていました。
ねぎとこんにゃく 下仁田名産
by 海野久実 (2012-05-26 01:19)
つい先日、大泉洋さんの『おにぎりあたためますか』で群馬に行って下仁田ネギと赤城牛のすき焼き食っているのを見たばかりだったので、ボクにはとってもタイムリーでしたぁ。当然、下仁田を下ネタといいまつがえてました。
by 矢菱虎犇 (2012-05-26 05:52)
<こっちゃんさん>
お仕事中にありがとうございます(^0^)
なるほど、そうでしたか^^
by リンさん (2012-05-27 15:07)
<haruさん>
ありがとうございます。
上毛カルタ、知らなくても面白かったですか。
よかった~^^ なんじゃこりゃって言われなくて(笑)
by リンさん (2012-05-27 15:08)
<海野久実さん>
わあ、ご存知でしたか。
「伊香保温泉 日本の名湯」
「縁起だるまの少林山」
このかるたのおかげで、群馬の名所を今でも忘れません^^
by リンさん (2012-05-27 15:11)
<矢菱さん>
そんな番組があるんですか。
おにぎりあたためますか?おもしろい^^
下仁田…下ネタ。言いそうですネ^^
そうか。下仁田はネギも美味しいんですよね。
by リンさん (2012-05-27 15:24)
群馬といえば、木枯し紋次郎記念館ですね。
スネークランドだかなんかの隣にあります。
やぶ塚温泉のすぐ近くです。
ボクは、その施設、入場無料なんです。
裏口から特別に入れてもらいます。
木枯し紋次郎のファンだっていうだけなんですけども
今は、もう死んじゃったんですけど、その館長さんに
気に入られたんです。
合掌。
by ヴァッキーノ (2012-05-28 21:41)
<ヴァッキーノさん>
木枯し紋次郎も群馬でしたか。
ヴァッキーノさんも群馬に住んでたことがあるのかな?
楊枝とかが展示されてるのでしょうか^^
私は藤岡っていうところに住んでいましたよ。
by リンさん (2012-05-30 13:35)