家電クリニック２：りんのショートストーリー：SSブログ

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家電クリニック２　[コメディー] [編集]

「どうされました？」
「先生、うちの洗濯機がちっとも言うことを聞いてくれないんです」
「ほう」
「スイッチを入れても動かなかったり、脱水を拒否したり、わざとホースを外して床を水浸しにしたりするんです。もう私、どうしたらいいか…。このまま不良品になってしまうんじゃないかと、もう心配で…」
「奥さん、落ち着いて。洗濯機の製造年月日を教えてください」
「平成１３年１０月１日です」
「１２年か…。ちょうど反抗期の時期ですね」
「反抗期？」
「なに、心配はいりませんよ。愛情を持って接してください。叩いたりしては逆効果ですよ。しかし甘やかすのとは違います。毅然とした態度で接してください。奥さん、あなたに愛があれば、きっと洗濯機は立ち直ります」
「わかりました。少し気が楽になりました」
「念のため、癒し系の柔軟剤を処方しておきますね」
「ありがとうございました」
「お大事に」

「次の方どうぞ」
「先生！私のパソコンが動かなくなっちゃったんです。心臓麻痺かしら。どうしましょう。パソコンがなかったら、私、私…退屈すぎて死んでしまいますわ」
「奥さん、まあ落ち着いて。心肺が停止したのはいつですか？」
「３０分ほど前です」
「わかりました。緊急手術しましょう」
「手術？」
「心配はいりません。簡単な手術です。しかし万が一の時は、強制終了の処置をしてもよろしいでしょうか？」
「はい、すべて先生にお任せします」
「最善を尽くします」

「奥さま、先生は名医ですからご安心ください。ただ、念のため手術が終わるまで、新しいパソコンのパンフレットをご覧になってお待ちください。お気を悪くなさらないで下さいね。保険のようなものです。どうぞ、ご覧になってください」
「あら、このパソコン素敵じゃない？」

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