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素晴らしき俳句の世界? [コメディー]

俳句の会に誘われた。
俳句なんて全くわからないけど、夫は仕事人間だし子供たちはとっくに成人した。
だから思い切って行くことにした。

「こ、小林と申します。よろしくお願いします」
「もう、小林さんったら、そんなに緊張しなくて大丈夫よ」
「だって、すごい文豪みたいな人がいるんだもの。着物着て猫を膝に乗せてる人、何者?」
「ああ、あの人は松尾さん。自称、松尾芭蕉の子孫らしいわ」
「すごい!よっぽど上手なのね」
「うーん。あくまで自称だから」

うながされて松尾さんの隣に座る。
「可愛い猫ですね」
「猫ではない。弟子の曾良だ」
そら? そういえば芭蕉には曾良という弟子がいた。
「では、曾良君も俳句を?」
「まだまだ半人前だ」
いや、半人前どころか、人ですらないけれど。

テーブルには使い古したノート。
『奥の細道』って書いてある。
「やはり、旅をして俳句を詠んでいるんですか?」
「生きることそのものが旅だ」
かっこいい。ふと見えたスケジュール帳には予定がびっしり。
やっぱりいろんな旅をしているのだろうと、ちょっと覗く。
『月曜日 可燃ごみ・火曜日 ペットボトル………』
これって…。
『忘れるな 月に一度の 古新聞』
標語か?

句会が始まった。
今月のお題は「初霜」
松尾さんが、短冊にサラサラと俳句を書き始めた。
さぞや素晴らしい句なのだろう。

『初霜や つわものどもが 夢のあと』
ん? 
『初霜を あつめて早し 最上川』
『初霜や 隣は何を する人ぞ』
『初霜や 蛙飛び込む 水の音』
何これ? ひどいにもほどがある。最後の句に至っては季語がバラバラ。

「あんた。小林さんだったかな?作ってきた句を見せなさい」
「初めて作ったので自信がないんですけど…(あなたよりはマシかも)」

私は、夕べ考えた俳句を、短冊に書いた。
『初霜や そこのけそこのけ おんまが通る』

「小林さん、あんた、まさか」
「はい、小林一茶の子孫です(自称)」


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こっちは、はるさん家の「そら君」
俳句詠むかにゃ~?


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そら

しつれいにゃり~!俳句ぐらい詠めるにゃり!
「初霜や そらそらなりや おお寒い」
なんちゃって、失礼をば致しました。本日、最高気温6℃にゃり! 
by そら (2015-11-07 12:05) 

SORI

リンさんさん こんにちは
気楽に参加できそうな句会ですね。たしか、「雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る」でしたね。
by SORI (2015-11-07 14:33) 

みかん

参加メンバーがまたおもしろいですね~
恰好を想像しただけでも楽しかったです♪
by みかん (2015-11-08 23:15) 

海野久実

「初霜や 鐘がなるなり 法隆寺」
「正岡さん。あなた、まさか・・・」
「そうです。正岡子規の子孫です」

ぐらいのほうがいいのかなあ?
小林と言うと即、小林一茶を思い出しますからね。
オチが見え見えになる危険性を孕んでいなくもないかもしれません。(思い切り遠まわし)

でもまあ、これは途中の登場人物のやり取りで面白く読ませるのでオチはそれほど重要ではないかもしれないような気がしたりしなかったり(笑)
by 海野久実 (2015-11-09 18:26) 

リンさん

<そらくん>
大変失礼しました(笑)
北海道ならではの俳句ですにゃ~
お見それしました^^
by リンさん (2015-11-09 23:24) 

リンさん

<SORIさん>
ありがとうございます。
そうです。雀の子です^^
パクリはいけませんよね~(笑)
by リンさん (2015-11-09 23:26) 

リンさん

<みかんさん>
ありがとうございます。
猫連れて俳句の会に来る人は、まずいないでしょうね(笑)
by リンさん (2015-11-09 23:27) 

リンさん

<海野久美さん>
ありがとうございます。
正岡子規にするか、小林一茶にするか、実は迷ったんですよ。
小林の方がありがちな苗字なので、こちらにしたんですが、バレましたか~^^
by リンさん (2015-11-09 23:33) 

さきしなのてるりん

このくらいの会ならおらも行けそうだジ。
by さきしなのてるりん (2016-01-28 09:35) 

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