おとぎ話(笑)17 [名作パロディー]
おむすびころりん
「どれ、お昼にするか」
おじいさんが弁当を広げると、おむすびがころころ転がって、穴に落ちてしまいました。
「まてまて」
追いかけたおじいさんも穴に落ちました。
「ねずみさんたち、わしのおむすびを知らんかね」
「ああ、そこに転がってるよ」
「だれも食べんのか?」
「だって消費期限過ぎてるし」
……コンビニおにぎりだったのか!
浦島太郎
乙姫から玉手箱をもらって竜宮城を後にした浦島太郎。
しかし戻ってみれば村はすっかり変わっていた。
浦島は役場に行き、自分の家を聞いてみた。
「すみません。私の家はどこでしょう」
「調べますので、マイナンバーカードを提示してください」
「なんですか、それ」
「マイナンバーカードがないと調べられません」
時代はすっかり変わり、もう生きているのも嫌になった浦島は、乙姫にもらった玉手箱をあけた。入っていたのは紙切れだった。
「なんだ、紙くずか」
そこには、12ケタの番号が…。
おやゆび姫
あたしは、おやゆび姫。
お花の中から生まれたの。
花びらの上にちょこんと座っているのよ。
可愛いでしょう。
ほら、みんながスマホをかざして、あたしを撮影してるわ。
あれ? ちがうの?
ポケモン探してるって? なにそれ。
あたしの方がずっとレアよ!
かぐや姫
かぐや姫が月に帰って、おばあさんは悲しくて仕方ありません。
「おじいさん、竹やぶに行って、また赤ん坊を連れてきておくれ」
そんなわけで、おじいさんは竹やぶに行きました。
数時間後、おじいさんはニコニコしながら帰ってきました。
「おかえり、おじいさん、赤ん坊は見つかったかい?」
「いや、そのかわり新しいポケモン3匹つかまえた」
じいさん、おまえもか!
*****
暑い、暑い
本格的な夏に、創作意欲が低迷しています。
こんなときは、おとぎ話シリーズがいちばん。
さて、ポケモンでも探しに行くか。
(暑いんじゃなかったの?)
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「どれ、お昼にするか」
おじいさんが弁当を広げると、おむすびがころころ転がって、穴に落ちてしまいました。
「まてまて」
追いかけたおじいさんも穴に落ちました。
「ねずみさんたち、わしのおむすびを知らんかね」
「ああ、そこに転がってるよ」
「だれも食べんのか?」
「だって消費期限過ぎてるし」
……コンビニおにぎりだったのか!
浦島太郎
乙姫から玉手箱をもらって竜宮城を後にした浦島太郎。
しかし戻ってみれば村はすっかり変わっていた。
浦島は役場に行き、自分の家を聞いてみた。
「すみません。私の家はどこでしょう」
「調べますので、マイナンバーカードを提示してください」
「なんですか、それ」
「マイナンバーカードがないと調べられません」
時代はすっかり変わり、もう生きているのも嫌になった浦島は、乙姫にもらった玉手箱をあけた。入っていたのは紙切れだった。
「なんだ、紙くずか」
そこには、12ケタの番号が…。
おやゆび姫
あたしは、おやゆび姫。
お花の中から生まれたの。
花びらの上にちょこんと座っているのよ。
可愛いでしょう。
ほら、みんながスマホをかざして、あたしを撮影してるわ。
あれ? ちがうの?
ポケモン探してるって? なにそれ。
あたしの方がずっとレアよ!
かぐや姫
かぐや姫が月に帰って、おばあさんは悲しくて仕方ありません。
「おじいさん、竹やぶに行って、また赤ん坊を連れてきておくれ」
そんなわけで、おじいさんは竹やぶに行きました。
数時間後、おじいさんはニコニコしながら帰ってきました。
「おかえり、おじいさん、赤ん坊は見つかったかい?」
「いや、そのかわり新しいポケモン3匹つかまえた」
じいさん、おまえもか!
*****
暑い、暑い
本格的な夏に、創作意欲が低迷しています。
こんなときは、おとぎ話シリーズがいちばん。
さて、ポケモンでも探しに行くか。
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ミス白雪姫 [名作パロディー]
白雪学園高等部では、毎年恒例の『ミス白雪姫コンテスト』を迎えようとしている。
目下2連覇の白雪姫子は、3年生の生徒会長。
美人で頭がよく、しかも理事長の孫娘であった。
「今年もわたくしがミスの座を射止めますわ」
姫子は鏡を見ながらいつも問いかける。
「この学園で、いちばん美しいのは誰かしら?」
「はい、もちろん姫子さんです」
鏡が答えるわけはなく、取り巻きの生徒会役員が代わりに答えるのである。
そんなある日、姫子が廊下を歩いていると、
「小雪ちゃん、めっちゃ可愛いよな」
「見つめられただけでメロメロだよ」
と話す男子学生に遭遇した。
「ちょっとあなたたち、小雪って誰ですの?」
「1-Eに編入してきた白浜小雪だよ。色が白くて目が大きくて、唇がふっくらで超カワイイ!」
これはうかうかしていられないと、姫子は1-Eの教室に向かった。
「ちょっと、白浜小雪さんってどなたかしら」
ざわめく教室で、ひときわ輝く美少女が立ち上がった。
「生徒会長どの。拙者が白浜小雪でござる。以後お見知りおきを」
小雪は、時代劇で日本語を学んでいる帰国子女であった。
「変わった方ね。まあいいわ。あなた、ミス白雪姫コンテストに出場する気はあって?」
「何でっか?白雪姫コンテストゆうのは」
小雪は、上方落語でも日本語を学んでいた。
「学園一の美女を決めるコンテストですわ」
「そんなもん出るかいな。興味あらへんわ」
「あらそう」
「だいたい女性をランク付けするなんざ、許せねえ。たとえお天道様が許しても、この白浜小雪が許さねえ」
「つくづく変わったお方」
姫子が背を向けると、クラス中の女子が呼び止めた。
「生徒会長、小雪ちゃんの言うことはもっともです。どうして女性だけをランク付けするんですか?」
「それなら男子もやりましょうよ。ミスタープリンスコンテストなんてどうですか?」
「あ、それいい。ミス白雪姫とミスタープリンスはカップルになって壇上でキスするの」
「キャー、それ素敵。やりましょう、生徒会長」
ミスタープリンス?
姫子は考えた。ミスタープリンスといえば、間違いなく2-Aの王子君だ。
王子君と壇上でキス?胸キュンの少女漫画みたいだ。
「やりましょう」
ということで、今年はミス白雪姫とミスタープリンスコンテストが行われることになった。
姫子は立候補。小雪は多くの推薦を受けて出場することになった。
「本場ベルギーのチョコレートよ。さあ召し上がれ。これを食べた方は、白雪姫子に投票なさってね」
姫子が着々と根回しをする中、小雪は何もしなかった。
相変わらず時代劇と上方落語で日本語を学ぶ毎日であった。
コンテスト当日、思った以上に小雪が優勢であることを知った姫子は、取り巻きたちに命令して、小雪を初等部の体育倉庫に閉じ込めた。
会場にいなければ棄権とみなされるからだ。
「てめえら、こんなことしてただで済むと思うなよ。叩き切ってやる!」
どんなに叫んでも、外から鍵をかけられて開けることが出来ない。
一方、ミスタープリンス間違いなしの王子君は、日課であるジョギングをしていた。
彼はサッカー部のエースなので、日々体を鍛えているのである。
初等部の前を走っていると、7人の小学生が体育倉庫の前で困っていた。
「君たちどうしたんだい?」
「あのね、この倉庫の中に誰かいるみたいなの。だけど鍵がなくて開けられないの」
「職員室にも鍵がないんだ。だからね、僕たち石で鍵を壊そうとしていたの」
「ふーん。南京錠か。よし、おにいさんが壊してあげよう。子供じゃ無理だよ」
王子君は大きな石を振り下ろして鍵を壊した。
中には、泣き疲れた小雪がマットの上で寝ていた。
「お姫様みたい」「めっちゃきれいな人」
「この人、1年の白浜さんだ。たしかコンテストに出ていたな」
王子君はようやく、コンテストのことを思い出した。そうだ、俺も出ていたんだ。
コンテスト会場では、投票が終わり、発表が始まった。
「ミスタープリンスは、圧倒的な得票数で、2-Aの王子君です」
「すみません。王子君はトレーニング中です。もうすぐきます」
姫子が「もう少し待ってあげて」と言ったものだから、しばらく中断となった。
「遅くなりました」
爽やかな笑顔で王子君が走ってきた。
その後ろにぴったりと寄り添う白浜小雪。手までつないでいる。
「あ、ちょうどよかった。改めて発表します。ミスタープリンスの王子君、そして、ミス白雪姫の小雪ちゃんです」
拍手喝采で迎えられたふたりに、姫子の怒りはマックスになった。
「何よ、遅れてきたくせに。無効だわ」
手を振りあげた瞬間、体育倉庫の鍵が落ちた。
すべての悪事がばれた姫子は、祖父である理事長に、こっぴどく叱られることになる。
「さあ、ミスとミスター、壇上でキスを」
「あっ、おれ、もうしちゃった」
「え?」
「寝顔があまりにも可愛かったから」
まさに王子様のキスで目覚めた白雪姫だ。
「白浜小雪さん、ひとことお願いします」
「ごっつあんです」
相撲でも日本語を学んでいる小雪であった。
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目下2連覇の白雪姫子は、3年生の生徒会長。
美人で頭がよく、しかも理事長の孫娘であった。
「今年もわたくしがミスの座を射止めますわ」
姫子は鏡を見ながらいつも問いかける。
「この学園で、いちばん美しいのは誰かしら?」
「はい、もちろん姫子さんです」
鏡が答えるわけはなく、取り巻きの生徒会役員が代わりに答えるのである。
そんなある日、姫子が廊下を歩いていると、
「小雪ちゃん、めっちゃ可愛いよな」
「見つめられただけでメロメロだよ」
と話す男子学生に遭遇した。
「ちょっとあなたたち、小雪って誰ですの?」
「1-Eに編入してきた白浜小雪だよ。色が白くて目が大きくて、唇がふっくらで超カワイイ!」
これはうかうかしていられないと、姫子は1-Eの教室に向かった。
「ちょっと、白浜小雪さんってどなたかしら」
ざわめく教室で、ひときわ輝く美少女が立ち上がった。
「生徒会長どの。拙者が白浜小雪でござる。以後お見知りおきを」
小雪は、時代劇で日本語を学んでいる帰国子女であった。
「変わった方ね。まあいいわ。あなた、ミス白雪姫コンテストに出場する気はあって?」
「何でっか?白雪姫コンテストゆうのは」
小雪は、上方落語でも日本語を学んでいた。
「学園一の美女を決めるコンテストですわ」
「そんなもん出るかいな。興味あらへんわ」
「あらそう」
「だいたい女性をランク付けするなんざ、許せねえ。たとえお天道様が許しても、この白浜小雪が許さねえ」
「つくづく変わったお方」
姫子が背を向けると、クラス中の女子が呼び止めた。
「生徒会長、小雪ちゃんの言うことはもっともです。どうして女性だけをランク付けするんですか?」
「それなら男子もやりましょうよ。ミスタープリンスコンテストなんてどうですか?」
「あ、それいい。ミス白雪姫とミスタープリンスはカップルになって壇上でキスするの」
「キャー、それ素敵。やりましょう、生徒会長」
ミスタープリンス?
姫子は考えた。ミスタープリンスといえば、間違いなく2-Aの王子君だ。
王子君と壇上でキス?胸キュンの少女漫画みたいだ。
「やりましょう」
ということで、今年はミス白雪姫とミスタープリンスコンテストが行われることになった。
姫子は立候補。小雪は多くの推薦を受けて出場することになった。
「本場ベルギーのチョコレートよ。さあ召し上がれ。これを食べた方は、白雪姫子に投票なさってね」
姫子が着々と根回しをする中、小雪は何もしなかった。
相変わらず時代劇と上方落語で日本語を学ぶ毎日であった。
コンテスト当日、思った以上に小雪が優勢であることを知った姫子は、取り巻きたちに命令して、小雪を初等部の体育倉庫に閉じ込めた。
会場にいなければ棄権とみなされるからだ。
「てめえら、こんなことしてただで済むと思うなよ。叩き切ってやる!」
どんなに叫んでも、外から鍵をかけられて開けることが出来ない。
一方、ミスタープリンス間違いなしの王子君は、日課であるジョギングをしていた。
彼はサッカー部のエースなので、日々体を鍛えているのである。
初等部の前を走っていると、7人の小学生が体育倉庫の前で困っていた。
「君たちどうしたんだい?」
「あのね、この倉庫の中に誰かいるみたいなの。だけど鍵がなくて開けられないの」
「職員室にも鍵がないんだ。だからね、僕たち石で鍵を壊そうとしていたの」
「ふーん。南京錠か。よし、おにいさんが壊してあげよう。子供じゃ無理だよ」
王子君は大きな石を振り下ろして鍵を壊した。
中には、泣き疲れた小雪がマットの上で寝ていた。
「お姫様みたい」「めっちゃきれいな人」
「この人、1年の白浜さんだ。たしかコンテストに出ていたな」
王子君はようやく、コンテストのことを思い出した。そうだ、俺も出ていたんだ。
コンテスト会場では、投票が終わり、発表が始まった。
「ミスタープリンスは、圧倒的な得票数で、2-Aの王子君です」
「すみません。王子君はトレーニング中です。もうすぐきます」
姫子が「もう少し待ってあげて」と言ったものだから、しばらく中断となった。
「遅くなりました」
爽やかな笑顔で王子君が走ってきた。
その後ろにぴったりと寄り添う白浜小雪。手までつないでいる。
「あ、ちょうどよかった。改めて発表します。ミスタープリンスの王子君、そして、ミス白雪姫の小雪ちゃんです」
拍手喝采で迎えられたふたりに、姫子の怒りはマックスになった。
「何よ、遅れてきたくせに。無効だわ」
手を振りあげた瞬間、体育倉庫の鍵が落ちた。
すべての悪事がばれた姫子は、祖父である理事長に、こっぴどく叱られることになる。
「さあ、ミスとミスター、壇上でキスを」
「あっ、おれ、もうしちゃった」
「え?」
「寝顔があまりにも可愛かったから」
まさに王子様のキスで目覚めた白雪姫だ。
「白浜小雪さん、ひとことお願いします」
「ごっつあんです」
相撲でも日本語を学んでいる小雪であった。
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おとぎ話(笑)16 [名作パロディー]
<赤ずきん>
「おばあさまの目は、どうしてそんなに大きいの?」
「整形したからさ」
「マジか!」
<笠地蔵>
「おじいさん、お地蔵さんが、お地蔵さんが!」
「何だ、何だ、笠の礼でも持ってきたか?」
「笠を返しに来ました。受け取りにサインしてほしいって」
「それだけ…?」
<人魚姫>
私は人魚姫。
足をもらったばかりだから、上手く歩くことができないの。
あら? 上手く歩けない人がたくさんいるわ。
もしかして、あの人たちも人魚かしら?
「砂浜が熱いんだよ!」
<金の斧・銀の斧>
「おまえが落としたのは、金の斧か?銀の斧か?それとも、「山形県〇〇村字〇〇 鈴木与作」と書かれた鉄の斧か?」
「あっ、その鉄の斧っす。母ちゃんが、自分の持ち物には名前書けって言うんで」
「そうか。正直でよろしい。ご褒美に、油性のマジックをあげよう」
「なんで油性マジック? あっ、名前消えてる」
<金太郎>
金太郎のところに熊がやってきました。
「金太郎さん、すもうとろうよ」
「いいよ」
いつもは金太郎を応援する人々が、今回は熊を応援しています。
「がんばれ!くまモン」
「負けるな!くまモン」
「ファイト!くまモン」
熊本地震で被害に遭われたみなさまに、
心よりお見舞い申し上げます。
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「おばあさまの目は、どうしてそんなに大きいの?」
「整形したからさ」
「マジか!」
<笠地蔵>
「おじいさん、お地蔵さんが、お地蔵さんが!」
「何だ、何だ、笠の礼でも持ってきたか?」
「笠を返しに来ました。受け取りにサインしてほしいって」
「それだけ…?」
<人魚姫>
私は人魚姫。
足をもらったばかりだから、上手く歩くことができないの。
あら? 上手く歩けない人がたくさんいるわ。
もしかして、あの人たちも人魚かしら?
「砂浜が熱いんだよ!」
<金の斧・銀の斧>
「おまえが落としたのは、金の斧か?銀の斧か?それとも、「山形県〇〇村字〇〇 鈴木与作」と書かれた鉄の斧か?」
「あっ、その鉄の斧っす。母ちゃんが、自分の持ち物には名前書けって言うんで」
「そうか。正直でよろしい。ご褒美に、油性のマジックをあげよう」
「なんで油性マジック? あっ、名前消えてる」
<金太郎>
金太郎のところに熊がやってきました。
「金太郎さん、すもうとろうよ」
「いいよ」
いつもは金太郎を応援する人々が、今回は熊を応援しています。
「がんばれ!くまモン」
「負けるな!くまモン」
「ファイト!くまモン」
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黒ずきんちゃん [名作パロディー]
あたしは黒ずきん。あの有名な赤ずきんの従妹なの。
おばあさまが赤いずきんと黒いずきんを作ってくれて、
「好きな色を選びなさい」って言ったの。
赤ずきんのやつ、すかさず赤いほうを取ったわ。
あの子って本当にめざといのよ。
あたしは仕方なく、黒いずきんを取った。
それからは悲惨だったわ。
黒いずきんのおかげで、暗いイメージを付けられて誰も近寄らない。
呪いをかけられるとでも思っているのかしら。
密かに付けられたあだなは「魔女」よ。
「黒ずきん、おばあさまが病気なの。お見舞いに行ってちょうだい」
「はあい」
「今度は赤ずきんより早く行くのよ」
お母さんはそう言って、お見舞い用のリンゴをかごに入れた。
そうよ、前におばあさまが病気だった時も、リンゴだったらよかったのよ。
お母さんったら、手間のかかるブリ大根なんか作るから遅くなったのよ。
あたしが着いたときには、倒れたオオカミの前で赤ずきんとおばあさまが手を取り合っていたわ。
「あらあんた、今頃来たの? 病気なんか治っちゃったよ」
冷たく言い放つおばあさまの後ろで、赤ずきんが「ざまあみろ」って顔してたわ。
悔しかったな。
お母さんがブリ大根さえ作らなかったら、いいえ、家に圧力鍋があったら、グリム童話は『黒ずきんちゃん』になっていたのよ。
今度こそは赤ずきんより早く行くわ。
「行ってきます」と家を出て、わざと森を通るの。
そろそろ出て来るはずよ。あの悪いオオカミが。
「やあ黒ずきんちゃん、おばあさんのお見舞いかい?」
来た! よかった。今回は赤ずきんを出し抜いたわ。
「そうよ、オオカミさん」
「んじゃあ、気を付けてね」
オオカミは手を振って背を向けた。
「えええ? ちょっと待ってよ。花を摘ませなさいよ。先回りしておばあさまを食べなさいよ」
「いや、そういうことはやめたんだよ。ほら、赤ずきんの話が広まって、オオカミはすっかり悪者じゃん。ここらで悪いイメージを払拭しないとね」
ああん、これじゃあ童話にならない。ただのお使いだわ。
なんとしても童話に出たい。
もうおばあさまの家なんてどうでもいい。
森をウロウロ歩いていたら、見つけたわ、小さなお家。
もしや、うわさの7人の小人の家じゃないかしら。
「何か御用かしら?」
出てきたのは、超美人のおねえさん。
「あら、おいしそうなリンゴね。ひとつくださる?」
「いいけど…このリンゴ、病気のおばあさまがよく眠れるように薬が塗ってあるのよ」
「かまわないわよ。いただくわ」
それで、リンゴを食べたおねえさんはそのまま眠りについて、王子様のキスで目覚めたらしいわ。放っておいても目覚めたんだけどね。
その後、『白雪姫』っていうタイトルで童話になったんだけど、どうも腑に落ちないわ。
だってあたし、魔女のおばあさんになって登場しているのよ。
ひどい、ひどい。こんなに可愛い子供なのに。
その日を境にあたし、黒いずきんを脱いで普通の女の子になったの。
黒ずきんは普通の女の子になって、幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし
あ~ん、やっぱりくやしい~!!
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おばあさまが赤いずきんと黒いずきんを作ってくれて、
「好きな色を選びなさい」って言ったの。
赤ずきんのやつ、すかさず赤いほうを取ったわ。
あの子って本当にめざといのよ。
あたしは仕方なく、黒いずきんを取った。
それからは悲惨だったわ。
黒いずきんのおかげで、暗いイメージを付けられて誰も近寄らない。
呪いをかけられるとでも思っているのかしら。
密かに付けられたあだなは「魔女」よ。
「黒ずきん、おばあさまが病気なの。お見舞いに行ってちょうだい」
「はあい」
「今度は赤ずきんより早く行くのよ」
お母さんはそう言って、お見舞い用のリンゴをかごに入れた。
そうよ、前におばあさまが病気だった時も、リンゴだったらよかったのよ。
お母さんったら、手間のかかるブリ大根なんか作るから遅くなったのよ。
あたしが着いたときには、倒れたオオカミの前で赤ずきんとおばあさまが手を取り合っていたわ。
「あらあんた、今頃来たの? 病気なんか治っちゃったよ」
冷たく言い放つおばあさまの後ろで、赤ずきんが「ざまあみろ」って顔してたわ。
悔しかったな。
お母さんがブリ大根さえ作らなかったら、いいえ、家に圧力鍋があったら、グリム童話は『黒ずきんちゃん』になっていたのよ。
今度こそは赤ずきんより早く行くわ。
「行ってきます」と家を出て、わざと森を通るの。
そろそろ出て来るはずよ。あの悪いオオカミが。
「やあ黒ずきんちゃん、おばあさんのお見舞いかい?」
来た! よかった。今回は赤ずきんを出し抜いたわ。
「そうよ、オオカミさん」
「んじゃあ、気を付けてね」
オオカミは手を振って背を向けた。
「えええ? ちょっと待ってよ。花を摘ませなさいよ。先回りしておばあさまを食べなさいよ」
「いや、そういうことはやめたんだよ。ほら、赤ずきんの話が広まって、オオカミはすっかり悪者じゃん。ここらで悪いイメージを払拭しないとね」
ああん、これじゃあ童話にならない。ただのお使いだわ。
なんとしても童話に出たい。
もうおばあさまの家なんてどうでもいい。
森をウロウロ歩いていたら、見つけたわ、小さなお家。
もしや、うわさの7人の小人の家じゃないかしら。
「何か御用かしら?」
出てきたのは、超美人のおねえさん。
「あら、おいしそうなリンゴね。ひとつくださる?」
「いいけど…このリンゴ、病気のおばあさまがよく眠れるように薬が塗ってあるのよ」
「かまわないわよ。いただくわ」
それで、リンゴを食べたおねえさんはそのまま眠りについて、王子様のキスで目覚めたらしいわ。放っておいても目覚めたんだけどね。
その後、『白雪姫』っていうタイトルで童話になったんだけど、どうも腑に落ちないわ。
だってあたし、魔女のおばあさんになって登場しているのよ。
ひどい、ひどい。こんなに可愛い子供なのに。
その日を境にあたし、黒いずきんを脱いで普通の女の子になったの。
黒ずきんは普通の女の子になって、幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし
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おとぎ話(笑)15 [名作パロディー]
<かさじぞう>
「ただいま。笠は売れなかったが、峠の地蔵さんにかぶせてあげたよ」
「あら、いいことをしましたね。…ん?峠の地蔵?おじいさん、まさか峠のあの女の家に?」
「はっ、しまった!」
「この浮気者!!」
<鶴の恩返し>
「おじいさん、だめですよ。決して覗かないと約束したじゃありませんか」
「ちょっと、クリスマスプレゼントを渡すだけだよ。だって今日はイブだし」
おじいさんは、そうっとふすまを開けた。
「あら、鶴」
「おじいさん、おばあさん、決して覗くなと言ったのに、とうとう見てしまいましたね。そうです。私はあの日助けてもらった鶴です」
「うん、わしゃ、知っとたよ。だからプレゼントはミミズだ」
「美味そう~。あ、ばあさん、倒れた」
<白雪姫>
「ハイホー、ハイホー。あれ、家が変わってる」
「おかえりなさい。今日はクリスマスだから、小人さんたちのお家をデコレーションして、お菓子の家にしてみたの」
「すごいぞ、白雪姫」
「やるじゃん」
「あ、道に迷った子供が二人、こっちに向かって歩いてくるぞ」
「見てごらん、グレーテル、お菓子の家だよ」
「本当だわ、ヘンゼル兄さん」
…いや、違う話になってるし。
<赤ずきん>
「赤ずきんちゃん、おばあさんのところにクリスマスケーキを届けておくれ」
「赤ずきんちゃん、3丁目の田中さんにピザを配達しておくれ」
「赤ずきんちゃん、街頭で居酒屋のティッシュを配っておくれ」
「赤ずきんちゃん、子供会のイベントに出ておくれ」
「赤ずきんちゃん、よい子にプレゼントを配っておくれ」
「あたし、サンタじゃないもん。この衣装、サンタの衣装じゃないもん!」
<マッチ売りの少女>
「マッチはいりませんか。マッチはいりませんか」
あ、あそこの見えるのは、中国人観光客。
「マッチ爆買いしませんか。マッチ爆買いしませんか」
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「ただいま。笠は売れなかったが、峠の地蔵さんにかぶせてあげたよ」
「あら、いいことをしましたね。…ん?峠の地蔵?おじいさん、まさか峠のあの女の家に?」
「はっ、しまった!」
「この浮気者!!」
<鶴の恩返し>
「おじいさん、だめですよ。決して覗かないと約束したじゃありませんか」
「ちょっと、クリスマスプレゼントを渡すだけだよ。だって今日はイブだし」
おじいさんは、そうっとふすまを開けた。
「あら、鶴」
「おじいさん、おばあさん、決して覗くなと言ったのに、とうとう見てしまいましたね。そうです。私はあの日助けてもらった鶴です」
「うん、わしゃ、知っとたよ。だからプレゼントはミミズだ」
「美味そう~。あ、ばあさん、倒れた」
<白雪姫>
「ハイホー、ハイホー。あれ、家が変わってる」
「おかえりなさい。今日はクリスマスだから、小人さんたちのお家をデコレーションして、お菓子の家にしてみたの」
「すごいぞ、白雪姫」
「やるじゃん」
「あ、道に迷った子供が二人、こっちに向かって歩いてくるぞ」
「見てごらん、グレーテル、お菓子の家だよ」
「本当だわ、ヘンゼル兄さん」
…いや、違う話になってるし。
<赤ずきん>
「赤ずきんちゃん、おばあさんのところにクリスマスケーキを届けておくれ」
「赤ずきんちゃん、3丁目の田中さんにピザを配達しておくれ」
「赤ずきんちゃん、街頭で居酒屋のティッシュを配っておくれ」
「赤ずきんちゃん、子供会のイベントに出ておくれ」
「赤ずきんちゃん、よい子にプレゼントを配っておくれ」
「あたし、サンタじゃないもん。この衣装、サンタの衣装じゃないもん!」
<マッチ売りの少女>
「マッチはいりませんか。マッチはいりませんか」
あ、あそこの見えるのは、中国人観光客。
「マッチ爆買いしませんか。マッチ爆買いしませんか」
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おとぎ話(笑)14 [名作パロディー]
一寸法師
「こんにちは。おとぎ話向上委員会でございます。
おとぎ話を、よりよく、よりわかりやすくするために日々務めております」
「はあ」
「そこで、一寸法師さん、あなたの『一寸』の意味が、子供にはわかりません。正確に教えられる親も少ないです」
「はあ」
「そこで、今日からあなたの名前を、『3.03センチ法師』に変えていただきます」
「…いやだよ」
浦島太郎
「浦島様、どうしても帰るのですか」
「うん。帰るよ」
「寂しゅうございます」
「じゃあ、乙姫がうちに来れば?」
「あ、それいいかも」
というわけで、乙姫は浦島の嫁になり、一緒に暮らしました。
「ただいま。今日はタイとヒラメが大漁だ。さばいてくれ」
「あいよ。あれ?魚が何か言ってる」
『乙姫様、後生です』
それは、竜宮城のダンサーたちでした。
「まあ、いいか。魚の言葉なんてもう忘れちゃったし」
ズバッ!!
花さかじいさん
現代にタイムスリップした花さかじいさんは、ストレス社会を救うべく、あちらこちらに花を咲かせていた。
「おじいさん、こっちも花を咲かせて」
「おじいさん、こっちもお願い」
上野公園は、季節外れの桜に大賑わい。
「おじいさん、こっちも花咲かせて」
「おじいさん、ピザ買ってきて」
「あたし、肉まん」
「焼き鳥もね」
「ビールがないぞ。おじいさ~ん」
「あ、ゴミ捨ててきて、おじいさん」
…だれも花見てねーじゃん。
マッチ売りの少女
「マッチ一本火事のもと~」
「あ、隊長、あそこに火遊びしている子供がいます」
「マッチを擦ってうっとりしていますね。何か見えるのかな?」
「こらこら、火遊びはいけないよ」
「ああん、おじさんが邪魔するから、ご馳走が消えちゃった」
「マッチを擦ると見えるのか?」
「うん。今欲しいものが出てくるよ。すごい美女とか、セクシーな巨乳とか、見たくない?」
「マッチ全部くれ」
「まいどあり~」
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「こんにちは。おとぎ話向上委員会でございます。
おとぎ話を、よりよく、よりわかりやすくするために日々務めております」
「はあ」
「そこで、一寸法師さん、あなたの『一寸』の意味が、子供にはわかりません。正確に教えられる親も少ないです」
「はあ」
「そこで、今日からあなたの名前を、『3.03センチ法師』に変えていただきます」
「…いやだよ」
浦島太郎
「浦島様、どうしても帰るのですか」
「うん。帰るよ」
「寂しゅうございます」
「じゃあ、乙姫がうちに来れば?」
「あ、それいいかも」
というわけで、乙姫は浦島の嫁になり、一緒に暮らしました。
「ただいま。今日はタイとヒラメが大漁だ。さばいてくれ」
「あいよ。あれ?魚が何か言ってる」
『乙姫様、後生です』
それは、竜宮城のダンサーたちでした。
「まあ、いいか。魚の言葉なんてもう忘れちゃったし」
ズバッ!!
花さかじいさん
現代にタイムスリップした花さかじいさんは、ストレス社会を救うべく、あちらこちらに花を咲かせていた。
「おじいさん、こっちも花を咲かせて」
「おじいさん、こっちもお願い」
上野公園は、季節外れの桜に大賑わい。
「おじいさん、こっちも花咲かせて」
「おじいさん、ピザ買ってきて」
「あたし、肉まん」
「焼き鳥もね」
「ビールがないぞ。おじいさ~ん」
「あ、ゴミ捨ててきて、おじいさん」
…だれも花見てねーじゃん。
マッチ売りの少女
「マッチ一本火事のもと~」
「あ、隊長、あそこに火遊びしている子供がいます」
「マッチを擦ってうっとりしていますね。何か見えるのかな?」
「こらこら、火遊びはいけないよ」
「ああん、おじさんが邪魔するから、ご馳走が消えちゃった」
「マッチを擦ると見えるのか?」
「うん。今欲しいものが出てくるよ。すごい美女とか、セクシーな巨乳とか、見たくない?」
「マッチ全部くれ」
「まいどあり~」
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おとぎ話(笑)13 [名作パロディー]
<鶴の恩返し>
「あれほど覗くなと言ったのに、見てしまいましたね。そうです。私はあの日おじいさんに助けてもらった鶴です」
「はて?鶴など助けた記憶はないが…」
「おじいさん、そういえば3軒先の与作さんが、矢に刺さった鶴を助けたと言っていましたよ」
「げげっ!まさかの人違い?」
「どうする、おつう、与作さんのところで恩返し、やり直すかね?」
「もう羽根がねーわ!」
<さるかに合戦>
『カニ、栗、蜂、馬糞、臼は力を合わせてサルをこらしめましたとさ。めでたし、めでたし』
「どうじゃ、面白かったか?」
「あ、じいじ、ごめん。ボク、冒頭の柿の木が気になって集中できなかった。種を植えてから柿の実がなるまで、すごく早いよね。特殊な品種なのかな?だとしたらすごい発見だね。ネットで調べてみようかな。あと、カニがおにぎりを持っているけど、カニっておにぎり食べるのかな?生物学的にどうだろう。ネットで調べてみよう」
「…やりづらい…」
<白雪姫>
テイク1.
「お嬢さん、毒リンゴをお食べなさい」
カット~!毒リンゴって言っちゃダメでしょ
「あ、そうか」
テイク2.
「お嬢さん、リンゴをお食べなさい」
「まあ、おいしそうな毒リンゴ」
カット~!白雪姫、毒リンゴって言っちゃダメ
テイク3.
「白雪姫、リンゴをお食べなさい」
カット~!白雪姫って言っちゃダメ。変装してるんだから。
テイク4
「お嬢さん、リンゴをお食べなさい」
「まあ、おいしそうなリンゴね。お義母さま」
カット~!お義母さまって言っちゃダメ。
ああ、もう、話がぜんぜん進まない。今日は中止だ。
森の奥でスタンバイしてる小人たちにも伝えて。弁当渡して帰ってもらえ。
あ~あ、しょうがないから「赤ずきん」の話にしよう。
シーン1.母親のセリフから
「赤ずきん、おばあさんになりすまして寝ているオオカミのところに、お見舞いに行っておくれ」
カット~~~~~!!!
<こぶとりじいさん>
「ばあさん、わしじゃよ。お前の亭主だよ。頼むから家に入れておくれよ」
「何言ってるんだい。うちのじいさんは頬に大きなコブがあるんだよ」
「だから、鬼に取られたんだってば」
「そんな話信じられるかい。とっとと帰っておくれ。警察呼ぶよ」
「…というわけなんです。お願いです鬼さん。コブを返してください」
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「あれほど覗くなと言ったのに、見てしまいましたね。そうです。私はあの日おじいさんに助けてもらった鶴です」
「はて?鶴など助けた記憶はないが…」
「おじいさん、そういえば3軒先の与作さんが、矢に刺さった鶴を助けたと言っていましたよ」
「げげっ!まさかの人違い?」
「どうする、おつう、与作さんのところで恩返し、やり直すかね?」
「もう羽根がねーわ!」
<さるかに合戦>
『カニ、栗、蜂、馬糞、臼は力を合わせてサルをこらしめましたとさ。めでたし、めでたし』
「どうじゃ、面白かったか?」
「あ、じいじ、ごめん。ボク、冒頭の柿の木が気になって集中できなかった。種を植えてから柿の実がなるまで、すごく早いよね。特殊な品種なのかな?だとしたらすごい発見だね。ネットで調べてみようかな。あと、カニがおにぎりを持っているけど、カニっておにぎり食べるのかな?生物学的にどうだろう。ネットで調べてみよう」
「…やりづらい…」
<白雪姫>
テイク1.
「お嬢さん、毒リンゴをお食べなさい」
カット~!毒リンゴって言っちゃダメでしょ
「あ、そうか」
テイク2.
「お嬢さん、リンゴをお食べなさい」
「まあ、おいしそうな毒リンゴ」
カット~!白雪姫、毒リンゴって言っちゃダメ
テイク3.
「白雪姫、リンゴをお食べなさい」
カット~!白雪姫って言っちゃダメ。変装してるんだから。
テイク4
「お嬢さん、リンゴをお食べなさい」
「まあ、おいしそうなリンゴね。お義母さま」
カット~!お義母さまって言っちゃダメ。
ああ、もう、話がぜんぜん進まない。今日は中止だ。
森の奥でスタンバイしてる小人たちにも伝えて。弁当渡して帰ってもらえ。
あ~あ、しょうがないから「赤ずきん」の話にしよう。
シーン1.母親のセリフから
「赤ずきん、おばあさんになりすまして寝ているオオカミのところに、お見舞いに行っておくれ」
カット~~~~~!!!
<こぶとりじいさん>
「ばあさん、わしじゃよ。お前の亭主だよ。頼むから家に入れておくれよ」
「何言ってるんだい。うちのじいさんは頬に大きなコブがあるんだよ」
「だから、鬼に取られたんだってば」
「そんな話信じられるかい。とっとと帰っておくれ。警察呼ぶよ」
「…というわけなんです。お願いです鬼さん。コブを返してください」
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アリとキリギリスの教訓? [名作パロディー]
アリは夏のあいだ一生懸命働いて、たくさんの食べ物を蓄えました。
しかしキリギリスは遊んでばかりいたので一文無しです。
冬になり、ひもじいキリギリスは、アリに食べ物を分けてもらいに行きました。
しかし、けんもほろろに断られ、寒空をうなだれて帰っていきました。
というのが、イソップさんの教え。
だけど本当はね、キリギリスさん、なかなかしたたかだったのよ。
「帰れ、帰れ、遊び人のおまえに食わせる物はない」
「しかしアリさん、私はこのままではアリさんの家の前で死んでしまうでしょう。アリさんたちは私が死ぬと知りながら助けなかった。それって未必の故意で罪に問われませんかね?」
「罪に問われてはかなわないな。仕方ない。食べ物を分けてやるからさっさと帰れ」
「しかし住むところがありません。借金のかたに取られました」
「そんなこと知るか」
「アリさんの家の前で死にますよ。それって…」
「ああ、わかったよ。未必の故意だろ。そこの隅っこを貸してやる。一晩だけだぞ」
「ありがとうございます。ではちょっと、女王様にご挨拶を」
「ばか、勝手に行くな」
「いえいえ、そういう仁義は通さないと。私はこう見えてけっこう常識を重んじるんです」
「女王様、お邪魔します」
「誰じゃ、お前は」
「キリギリスという野暮な虫けらにございます。実は縁あって泊めていただくことになりまして、女王アリさまにぜひ献上品をお渡ししたくて、無礼を承知で参上しました」
「献上品とは何じゃ?」
「夏に女王バチとねんごろになりましてね、プロポリスを分けてもらったんですよ」
「女王バチだと?」
「はい。しかし女王バチといっても、女王アリ様に比べたらてんで不細工ですよ」
「ふふん、調子のいいことを言いおって。それで、プロポリスとは何じゃ」
「美容と健康に効果があります。美しい女王アリ様には無用とは存じますが、ますます綺麗になるのは悪いことではないでしょう」
「キリギリスとやら、なかなか面白いやつじゃ。羽根のベッドを与える。好きなだけいるといい」
そんなわけでキリギリスは、アリが運んできた食事を食べ、羽根のベッドでゆっくり眠り、女王アリの話し相手をしながら楽しく暮らした。
しかしキリギリスは、だんだん太陽が恋しくなってきた。
「穴蔵生活も飽きたな。春になったらまた女王バチのところに転がり込むか。土産はこの羽根のベッドにしよう」
そして春がやってきた。
「すっかりお世話になっちゃって。ありがとうございました」
「どうしても行くのか」
「太陽の光を浴びないと死んでしまいますからね」
実はこの暮らしに飽きたとは言わず、いかにも名残惜しそうに穴を出た。
いや、出ようとした。
出ようとしたが出られなかった。
ぜいたくな暮らしに、キリギリスはすっかり太ってしまったのだ。
「あれ、やばい、出られない」
「女王様、ベッドの羽根がなくなっています。キリギリスが盗んだんです」
気づかれる前に出て行ってしまおうと思ったのに、すっかりばれてしまった。
「この泥棒!」
そしてさらに…。
「女王様、昆虫警察が来ています。何でもハチの巣からプロポリスを盗んだ犯人を捜しているとか」
「あ、やべえ、そっちもばれた」
そんなわけで、キリギリスは逮捕され、昆虫刑務所で一生を終えた。
だけどアリの家の前で死ぬよりはマシだったんじゃない?
これって、教訓になってる?
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おとぎ話(笑)12 [名作パロディー]
おやゆび姫
花が開くと、そこには親指ほどの小さな女の子がいました。
「あ、もしもし、消費者センターですか?○○ホームセンターで買った鉢植えの花に、変な物が入っていたんですけど調べていただけます?異物混入の経緯をしっかり分析してくださいね。なんだか気味が悪いわ。愉快犯の仕業かしらね。いやな世の中ね」
…それはこっちのセリフだわ。おやゆび姫は、ふうっとため息をつきました。
ピノキオ
ピノキオは、クジラのおなかの中でゼペットじいさんと再会しました。
「おじいさん、とにかくこのクジラの中から出よう。思い切り腹を蹴ってみようか」
「しかし、そんなことをしたら動物愛護協会の方が…」
「火を焚いてあぶり焼きにしようか」
「しかし、そんなことをしたら動物愛護協会の方が…」
「いっそ心臓を一突きする?」
「しかし、そんなことをしたら動物愛護協会の方が…」
「助かりたいの?助かりたくないの?」
3匹の子ブタ
ふう、やっとレンガの家が出来上がった。
兄さんたちは、わらの家と木の家。
きっとすぐにオオカミに壊されてしまうよ。
レンガの家は頑丈だ。ちょっとやそっとじゃ壊れないよ。
「こらこら、人の土地に勝手に家を建てるんじゃないよ」
「あ、地主さん」
「すぐに壊しなさい」
「はあい」
…ああ、兄さんたちはいいな。すぐに壊せて…。
シンデレラ
「ああ、ガラスの靴がピッタリだ。あなたこそ、探し求めていたプリンセス。僕と結婚してください」
「もちろんお受けしますわ、王子様」
「ガラスの靴に因んで、ガラス玉の指輪です、受け取って下さい」
「いやいやいや!そこはダイヤでしょ!」
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花が開くと、そこには親指ほどの小さな女の子がいました。
「あ、もしもし、消費者センターですか?○○ホームセンターで買った鉢植えの花に、変な物が入っていたんですけど調べていただけます?異物混入の経緯をしっかり分析してくださいね。なんだか気味が悪いわ。愉快犯の仕業かしらね。いやな世の中ね」
…それはこっちのセリフだわ。おやゆび姫は、ふうっとため息をつきました。
ピノキオ
ピノキオは、クジラのおなかの中でゼペットじいさんと再会しました。
「おじいさん、とにかくこのクジラの中から出よう。思い切り腹を蹴ってみようか」
「しかし、そんなことをしたら動物愛護協会の方が…」
「火を焚いてあぶり焼きにしようか」
「しかし、そんなことをしたら動物愛護協会の方が…」
「いっそ心臓を一突きする?」
「しかし、そんなことをしたら動物愛護協会の方が…」
「助かりたいの?助かりたくないの?」
3匹の子ブタ
ふう、やっとレンガの家が出来上がった。
兄さんたちは、わらの家と木の家。
きっとすぐにオオカミに壊されてしまうよ。
レンガの家は頑丈だ。ちょっとやそっとじゃ壊れないよ。
「こらこら、人の土地に勝手に家を建てるんじゃないよ」
「あ、地主さん」
「すぐに壊しなさい」
「はあい」
…ああ、兄さんたちはいいな。すぐに壊せて…。
シンデレラ
「ああ、ガラスの靴がピッタリだ。あなたこそ、探し求めていたプリンセス。僕と結婚してください」
「もちろんお受けしますわ、王子様」
「ガラスの靴に因んで、ガラス玉の指輪です、受け取って下さい」
「いやいやいや!そこはダイヤでしょ!」
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おとぎ話(笑) 11 [名作パロディー]
うさぎとかめ
「かめさん、見事な勝利でしたね」
「ありがとうございます。自分でも信じられません」
「勝因は何だと思いますか?」
「うさぎさんが寝てくれたのがラッキーでした」
「賞金の使い道は決まっていますか?」
「とりあえず貯金を」
「あ、今、審査員が集まって、何かを話し合っています。何かあったのでしょうか。……たった今情報が入りました。うさぎさんの体内から、睡眠薬が検出されたようです」
「ばれたか…」
白雪姫
「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?」
「そりゃあ、二丁目の骨董屋にある鏡ですよ。何しろ本物のダイヤが埋め込まれていますからね」
「いやいやいや、人間で言ってよ~」
かぐや姫
「かぐや姫、幼いころから好きでした。どうか私と結婚してください」
「ごめんなさい。あなたは所詮、竹馬の友。結婚はできません」
「かぐや姫、おれの嫁になれ」
「まあ、竹を割ったようなお方。候補に入れておきますわ」
どうやらかぐや姫は、竹を割ったような男が好きらしい。
そんな噂が広まって、姫の屋敷に長い行列ができた。
「おれの嫁になれ」「いいや、おれの嫁だ」
「まあ困った。これではまるで雨後の竹の子だわ。めんどくさい。月に帰りましょ」
赤ずきん
「赤ずきんちゃん、ハックション、向こうにきれいな、ハックション、花が咲いているよ、ハックション」
「オオカミさん、花粉症なのね」
金の斧・銀の斧
「おまえが落としたのは、金の斧か?銀の斧か?それとも無口だけれど優しかった父親が一生懸命手入れをしていて、おまえが15になった時に“俺のあとを継いでくれ”と手渡された、古いけれど大切な大切な父の形見の鉄の斧か?」
「あ、金の斧っす」
「おまえサイテー」
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「かめさん、見事な勝利でしたね」
「ありがとうございます。自分でも信じられません」
「勝因は何だと思いますか?」
「うさぎさんが寝てくれたのがラッキーでした」
「賞金の使い道は決まっていますか?」
「とりあえず貯金を」
「あ、今、審査員が集まって、何かを話し合っています。何かあったのでしょうか。……たった今情報が入りました。うさぎさんの体内から、睡眠薬が検出されたようです」
「ばれたか…」
白雪姫
「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?」
「そりゃあ、二丁目の骨董屋にある鏡ですよ。何しろ本物のダイヤが埋め込まれていますからね」
「いやいやいや、人間で言ってよ~」
かぐや姫
「かぐや姫、幼いころから好きでした。どうか私と結婚してください」
「ごめんなさい。あなたは所詮、竹馬の友。結婚はできません」
「かぐや姫、おれの嫁になれ」
「まあ、竹を割ったようなお方。候補に入れておきますわ」
どうやらかぐや姫は、竹を割ったような男が好きらしい。
そんな噂が広まって、姫の屋敷に長い行列ができた。
「おれの嫁になれ」「いいや、おれの嫁だ」
「まあ困った。これではまるで雨後の竹の子だわ。めんどくさい。月に帰りましょ」
赤ずきん
「赤ずきんちゃん、ハックション、向こうにきれいな、ハックション、花が咲いているよ、ハックション」
「オオカミさん、花粉症なのね」
金の斧・銀の斧
「おまえが落としたのは、金の斧か?銀の斧か?それとも無口だけれど優しかった父親が一生懸命手入れをしていて、おまえが15になった時に“俺のあとを継いでくれ”と手渡された、古いけれど大切な大切な父の形見の鉄の斧か?」
「あ、金の斧っす」
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