桃太郎のまちがい探し [名作パロディー]
以下の昔話「桃太郎」には、間違いがあります。
さて、どこでしょう。
間違った個所と、理由を述べよ。
***
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。
しかしおばあさんは、無視して洗濯を続けました。
「あんな大きな桃、持てるわけないよ。無理して腰を痛めたらかなわん」
桃は、どんぶらこと川を下り、海に出ました。
どんぶらこと海を渡り、鬼ヶ島にたどり着きました。
鬼たちは大騒ぎ。
「なんて大きな桃だ。おお、中から赤ん坊が!」
桃太郎は、鬼たちに大切に育てられ、立派な青年になりました。
「鬼さん、僕は今から、人間退治に行ってきます」
***
Aくんの答え
『おばあさんが川で洗濯をしているところです。どうして家で洗濯をしないのでしょうか。洗濯機が買えないのでしょうか。格差社会は深刻です。日本の経済は、そこまで疲弊しているのでしょうか。非常に心配です』
Bさんの答え
『桃が海を渡って島にたどり着くところです。こんなふうに、ポイ捨てされたプラスチックが海に流れて、生き物に被害を与えるのだと思います。みんなで、地球を守りましょう』
Cさんの答え
『桃太郎が人間退治に行くところです。鬼たちに大切に育てられたのなら、人間退治などという愚かな考えには至らないと思います。立派な青年になったのなら、世界平和を望むべきではないでしょうか』
ああ、思った答えと違う。
だけど、どれも[×]には出来ない。
どうしよう~
さて、どこでしょう。
間違った個所と、理由を述べよ。
***
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。
しかしおばあさんは、無視して洗濯を続けました。
「あんな大きな桃、持てるわけないよ。無理して腰を痛めたらかなわん」
桃は、どんぶらこと川を下り、海に出ました。
どんぶらこと海を渡り、鬼ヶ島にたどり着きました。
鬼たちは大騒ぎ。
「なんて大きな桃だ。おお、中から赤ん坊が!」
桃太郎は、鬼たちに大切に育てられ、立派な青年になりました。
「鬼さん、僕は今から、人間退治に行ってきます」
***
Aくんの答え
『おばあさんが川で洗濯をしているところです。どうして家で洗濯をしないのでしょうか。洗濯機が買えないのでしょうか。格差社会は深刻です。日本の経済は、そこまで疲弊しているのでしょうか。非常に心配です』
Bさんの答え
『桃が海を渡って島にたどり着くところです。こんなふうに、ポイ捨てされたプラスチックが海に流れて、生き物に被害を与えるのだと思います。みんなで、地球を守りましょう』
Cさんの答え
『桃太郎が人間退治に行くところです。鬼たちに大切に育てられたのなら、人間退治などという愚かな考えには至らないと思います。立派な青年になったのなら、世界平和を望むべきではないでしょうか』
ああ、思った答えと違う。
だけど、どれも[×]には出来ない。
どうしよう~
おとぎ話(笑)23 [名作パロディー]
<シンデレラ>
「お義母さま、お義姉さま、私もお城の舞踏会に行きたいわ」
「おまえなんかが行けるわけないでしょ」
「そうよ。ドレスもないくせに」
「あんたは掃除でもしてな」
シクシク…シンデレラが泣いていると、黒い服の女が現れました。
「シンデレラ、泣くのはおやめなさい」
「もしかして、魔法使い? ドレスと馬車を出してくださるの?」
「いいえ、私は世界ハラスメント協会から参りました。さあ、今すぐ義母と義姉をパワハラで訴えましょう。泣き寝入りはいけません。立ち上がるのです!」
「いや、それよりドレスと馬車を……」
<笠地蔵>
「峠のお地蔵さんが雪まみれだったから、笠をかぶせてあげたよ」
「まあ、おじいさん、それはいいことをしましたね。もしかしたら今夜、お地蔵さんがお礼に来るかもしれませんよ」
「米に野菜に大判小判、いい正月になりそうだ」
「あ、おじいさん、噂をすれば玄関先で物音が!」
おじいさんとおばあさんは玄関の扉を開けました。
そこには、地蔵にかぶせた笠と、わずかばかりのレンタル料が置いてありました。
「ま……毎度あり……」
<みにくいアヒルの子>
『みにくいアヒルは、美しい白鳥になって大空へ飛び立ちましたとさ。おしまい』
「どう? 面白かった?」
「つまり、アヒルだと思っていた鳥は、実は白鳥だったってこと?」
「ええ、そうよ」
「ふうん。そういうことって稀にあるよね」
「……そうね」
「お母さん、実はボク、男に生まれたけど実は女なんだ」
「まさかのカミングアウト!」
<マッチ売りの少女>
少女がマッチを擦ると、炎の中にクリスマスのご馳走が浮かび上がりました。
七面鳥、ローストビーフ、マッシュポテト、アンチョビサラダ。
「うーん、この盛り付けは、才能ナシね」(プレバト見てる人しかわからないネタ)
<おむすびころりん>
おじいさんがおむすびを食べようとしたら、手が滑ってコロコロ転がり穴に落ちてしまいました。
追いかけたおじいさんも、穴に落ちてしまいました。
「おや、ここはネズミの国かい」
「おじいさん、このおむすびの中身はなあに?」
「梅干し? 昆布? おかか? それとも鮭? ツナマヨ?」
「ただの握り飯じゃよ。血圧が高いもんでなあ、塩分は控えているんじゃよ」
「じゃあ、いらな~い」
ネタに困ると登場するこのシリーズも、23作目になりました。
いつまで続くか……。
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「お義母さま、お義姉さま、私もお城の舞踏会に行きたいわ」
「おまえなんかが行けるわけないでしょ」
「そうよ。ドレスもないくせに」
「あんたは掃除でもしてな」
シクシク…シンデレラが泣いていると、黒い服の女が現れました。
「シンデレラ、泣くのはおやめなさい」
「もしかして、魔法使い? ドレスと馬車を出してくださるの?」
「いいえ、私は世界ハラスメント協会から参りました。さあ、今すぐ義母と義姉をパワハラで訴えましょう。泣き寝入りはいけません。立ち上がるのです!」
「いや、それよりドレスと馬車を……」
<笠地蔵>
「峠のお地蔵さんが雪まみれだったから、笠をかぶせてあげたよ」
「まあ、おじいさん、それはいいことをしましたね。もしかしたら今夜、お地蔵さんがお礼に来るかもしれませんよ」
「米に野菜に大判小判、いい正月になりそうだ」
「あ、おじいさん、噂をすれば玄関先で物音が!」
おじいさんとおばあさんは玄関の扉を開けました。
そこには、地蔵にかぶせた笠と、わずかばかりのレンタル料が置いてありました。
「ま……毎度あり……」
<みにくいアヒルの子>
『みにくいアヒルは、美しい白鳥になって大空へ飛び立ちましたとさ。おしまい』
「どう? 面白かった?」
「つまり、アヒルだと思っていた鳥は、実は白鳥だったってこと?」
「ええ、そうよ」
「ふうん。そういうことって稀にあるよね」
「……そうね」
「お母さん、実はボク、男に生まれたけど実は女なんだ」
「まさかのカミングアウト!」
<マッチ売りの少女>
少女がマッチを擦ると、炎の中にクリスマスのご馳走が浮かび上がりました。
七面鳥、ローストビーフ、マッシュポテト、アンチョビサラダ。
「うーん、この盛り付けは、才能ナシね」(プレバト見てる人しかわからないネタ)
<おむすびころりん>
おじいさんがおむすびを食べようとしたら、手が滑ってコロコロ転がり穴に落ちてしまいました。
追いかけたおじいさんも、穴に落ちてしまいました。
「おや、ここはネズミの国かい」
「おじいさん、このおむすびの中身はなあに?」
「梅干し? 昆布? おかか? それとも鮭? ツナマヨ?」
「ただの握り飯じゃよ。血圧が高いもんでなあ、塩分は控えているんじゃよ」
「じゃあ、いらな~い」
ネタに困ると登場するこのシリーズも、23作目になりました。
いつまで続くか……。
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マッチを売る女 [名作パロディー]
女はマッチを売っていた。
働いていたマッチ工場が倒産して、退職金代わりに大量のマッチをもらったからだ。
再就職は決まらない。貯金もない。
せめてマッチを売って、生活費を稼がなければ。
「マッチはいりませんか。とても美しい炎が出ますよ」
雪がちらつく寒い夜、マッチはひとつも売れなかった。
女はマッチを1本擦ってみた。
「ああ、やっぱりきれいな炎だわ」
次の瞬間、炎の中にクリスマスツリーが浮かんだ。
「やだ、幻だわ。そういえば、今日はクリスマスね。去年までは職場の仲間とパーティをしていたわ」
女はもう1本マッチを擦った。
フライドチキンを囲む仲間たちの笑顔が見えた。
「ああ、みんな、どうしているかしら。再就職は決まったかしら」
もう1本擦ってみた。
暖かい部屋で、ビールを飲む仲間たち。見覚えのある壁紙だ。
「この部屋は、あゆ子の部屋だ。毎年この部屋に集まっていたな」
もう1本擦ってみたら、今度は声が聞こえてきた。
『ねえ、冬美、どうしてるかな』
冬美というのが女の名前だった。
『あの子、ケイタイ料金払ってないみたいでさ、連絡できないんだよ』
『街角でマッチ売ってるって噂だけど、まさかね』
『ありえないよ。売るならネットしょ』
『ちょっとぬけてるんだよね、冬美は』
女は愕然とした。これは今現在行われているパーティだ。
仲間たちは、会社を辞めても連絡を取り合って、集まっていたのだ。
もっとも、ケイタイ料金を払っていないので、女に連絡が来ることはなかった。
再びマッチを擦る。
『そろそろケーキ食べない?』
『うん、食べようか』
『あれ?ケーキは?』
『あっ!忘れた。だってケーキはいつも冬美が用意してたから』
『ああ、ケーキがないクリスマスなんて』
女が財布をひっくり返すと、3千円入っていた。
「待ってなさいよ。今ケーキを買っていくから。小さいケーキしか買えないけど、ないよりマシでしょ」
女は走った。あゆ子の家なら15分で着く。
「まったく、ぬけてるのはどっちよ。チキン、残しておいてよ」と叫びながら。
不思議なマッチは、その後ネットでバカ売れした。
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働いていたマッチ工場が倒産して、退職金代わりに大量のマッチをもらったからだ。
再就職は決まらない。貯金もない。
せめてマッチを売って、生活費を稼がなければ。
「マッチはいりませんか。とても美しい炎が出ますよ」
雪がちらつく寒い夜、マッチはひとつも売れなかった。
女はマッチを1本擦ってみた。
「ああ、やっぱりきれいな炎だわ」
次の瞬間、炎の中にクリスマスツリーが浮かんだ。
「やだ、幻だわ。そういえば、今日はクリスマスね。去年までは職場の仲間とパーティをしていたわ」
女はもう1本マッチを擦った。
フライドチキンを囲む仲間たちの笑顔が見えた。
「ああ、みんな、どうしているかしら。再就職は決まったかしら」
もう1本擦ってみた。
暖かい部屋で、ビールを飲む仲間たち。見覚えのある壁紙だ。
「この部屋は、あゆ子の部屋だ。毎年この部屋に集まっていたな」
もう1本擦ってみたら、今度は声が聞こえてきた。
『ねえ、冬美、どうしてるかな』
冬美というのが女の名前だった。
『あの子、ケイタイ料金払ってないみたいでさ、連絡できないんだよ』
『街角でマッチ売ってるって噂だけど、まさかね』
『ありえないよ。売るならネットしょ』
『ちょっとぬけてるんだよね、冬美は』
女は愕然とした。これは今現在行われているパーティだ。
仲間たちは、会社を辞めても連絡を取り合って、集まっていたのだ。
もっとも、ケイタイ料金を払っていないので、女に連絡が来ることはなかった。
再びマッチを擦る。
『そろそろケーキ食べない?』
『うん、食べようか』
『あれ?ケーキは?』
『あっ!忘れた。だってケーキはいつも冬美が用意してたから』
『ああ、ケーキがないクリスマスなんて』
女が財布をひっくり返すと、3千円入っていた。
「待ってなさいよ。今ケーキを買っていくから。小さいケーキしか買えないけど、ないよりマシでしょ」
女は走った。あゆ子の家なら15分で着く。
「まったく、ぬけてるのはどっちよ。チキン、残しておいてよ」と叫びながら。
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おとぎ話(笑)22 猛暑編 [名作パロディー]
<ゆきおんな>
雪山で命を助けたあの男。
あれから半年たったけれど、私のことを誰かに話してはいないだろうか。
誰かに話したら殺すと言った約束を、忘れてはいないだろうか。
ちょっと様子を見に行くか。
ゆきおんなは、久しぶりに里に下りた。
男の遭難から半年後の、7月のことだった。
「暑!! なにこれ、暑!!!」
<かさ地蔵>
おじいさんは、町に笠を売りに行きましたが、猛暑で誰も歩いていません。
「そりゃそうだ。わしも帰ろう」
峠を通りかかると、お地蔵さんが並んでいました。
「お地蔵さんも暑かろう」
おじいさんが笠をかぶせてあげようとしたら、
「笠より水がいい」と言うので、持っていた水をかけてあげました。
最後のお地蔵さんだけ水が足りなかったので、スポーツドリンクをかけてあげました。
「おじいさん、それはいいことをしましたね」
おばあさんに言われて、おじいさんはうなづきました。
「涼しくなって石もきれいになって、喜んでおられるじゃろう」
翌日、スポーツドリンクをかけられた地蔵にアリがたかり、真っ黒になり、
「祟りだ、祟りだ」と大騒ぎになることを、おじいさんはまだ知らない。
<浦島太郎>
砂浜で、子供たちがカメをいじめていました。
そこへ浦島太郎がやってきました。
「こらこら、君たちダメじゃないか」
『あ~、助かった』(カメ)
「こんな炎天下に帽子もかぶらないで。日射病になったらどうするんだ」
『え~、そっち~』(カメ)
「そんなカメなんか放っておいて、かき氷を食べに行こう」
「やった~、ありがとう浦島さん。お礼に姉ちゃんがバイトしてるパブ龍宮城の割引券あげるね」
『え~、龍宮城って、そっち~?』(カメ)
<ネズミの嫁入り>
ネズミの両親は、娘の結婚相手を探していました。
「やはりこの世で一番強い者がいいわ」
「太陽だ」「太陽より雲」「雲より風」「風より壁」「壁よりネズミ」
「なんだ、やっぱりネズミか。面白くないな」
「ネズミより強いのは人間よ」
「人間は暑さに弱いぞ。ということは、やっぱり太陽か」
「太陽と結婚させましょう。太陽といっしょなら、きっと明るい未来になるわ」
(ネズミは、夜行性です)
<桃太郎>
「桃太郎さん、きび団子ください」
「僕の家来になるならあげるよ」
「なる、なる」
こうして、サル、犬、キジが家来になりました。
「桃太郎さん、それで、どこに行くんですか?」
「決まってるだろう。被災地のボランティアさ」
西日本豪雨の被災者のみなさま、1日も早い復興を心よりお祈りいたします。
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雪山で命を助けたあの男。
あれから半年たったけれど、私のことを誰かに話してはいないだろうか。
誰かに話したら殺すと言った約束を、忘れてはいないだろうか。
ちょっと様子を見に行くか。
ゆきおんなは、久しぶりに里に下りた。
男の遭難から半年後の、7月のことだった。
「暑!! なにこれ、暑!!!」
<かさ地蔵>
おじいさんは、町に笠を売りに行きましたが、猛暑で誰も歩いていません。
「そりゃそうだ。わしも帰ろう」
峠を通りかかると、お地蔵さんが並んでいました。
「お地蔵さんも暑かろう」
おじいさんが笠をかぶせてあげようとしたら、
「笠より水がいい」と言うので、持っていた水をかけてあげました。
最後のお地蔵さんだけ水が足りなかったので、スポーツドリンクをかけてあげました。
「おじいさん、それはいいことをしましたね」
おばあさんに言われて、おじいさんはうなづきました。
「涼しくなって石もきれいになって、喜んでおられるじゃろう」
翌日、スポーツドリンクをかけられた地蔵にアリがたかり、真っ黒になり、
「祟りだ、祟りだ」と大騒ぎになることを、おじいさんはまだ知らない。
<浦島太郎>
砂浜で、子供たちがカメをいじめていました。
そこへ浦島太郎がやってきました。
「こらこら、君たちダメじゃないか」
『あ~、助かった』(カメ)
「こんな炎天下に帽子もかぶらないで。日射病になったらどうするんだ」
『え~、そっち~』(カメ)
「そんなカメなんか放っておいて、かき氷を食べに行こう」
「やった~、ありがとう浦島さん。お礼に姉ちゃんがバイトしてるパブ龍宮城の割引券あげるね」
『え~、龍宮城って、そっち~?』(カメ)
<ネズミの嫁入り>
ネズミの両親は、娘の結婚相手を探していました。
「やはりこの世で一番強い者がいいわ」
「太陽だ」「太陽より雲」「雲より風」「風より壁」「壁よりネズミ」
「なんだ、やっぱりネズミか。面白くないな」
「ネズミより強いのは人間よ」
「人間は暑さに弱いぞ。ということは、やっぱり太陽か」
「太陽と結婚させましょう。太陽といっしょなら、きっと明るい未来になるわ」
(ネズミは、夜行性です)
<桃太郎>
「桃太郎さん、きび団子ください」
「僕の家来になるならあげるよ」
「なる、なる」
こうして、サル、犬、キジが家来になりました。
「桃太郎さん、それで、どこに行くんですか?」
「決まってるだろう。被災地のボランティアさ」
西日本豪雨の被災者のみなさま、1日も早い復興を心よりお祈りいたします。
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おとぎ話(笑)21 [名作パロディー]
ウサギとカメ
ウサギ「いやあ、うっかり居眠りしちゃったよ。ボクの完敗だ」
カメ 「やったー! ぼくの勝ちだね」
ウサギ「うん。往路はキミの勝ちだね」
カメ 「往路?」
ウサギ「ここは箱根のお山だから、往路と復路があるんだよ」
カメ 「えーーーー」
ウサギ「じゃ、今から復路スタートね」
びゅ~~~~~ん
カメ 「ず、ずるいよぉ」
アリとキリギリス
「キリギリスのやつ、夏のあいだ遊びまくっていたから、いまごろ寒さに震えながらひもじい思いをしているね」
「ざまーみろ」
「僕たちアリは、一生懸命働いたから冬は楽々さ」
「おい、みんな、噂をすればキリギリスから絵葉書が来たぞ」
『アリ君たち、元気かい。おいらは飛行機に紛れ込んで、今ハワイにいるよ。暖かくてサイコーさ。春になったらまた戻るよ。じゃあね、アロハ~』
「………」
つるの恩返し
「ねえ、おじいさん、つうは絶対開けるなと言ったけど、気になりますねえ」
「気になるのう」
「ちょっとだけ開けちゃう?」
「開けてすぐに閉めたらバレないだろう」
「じゃあ、開けてすぐ閉めますよ」
スー、シャッ!
「おじいさん、見えました?」
「いや、床の間の花瓶しか……」
ゆきおんな
雪山で遭難して、雪女に出会った。
殺されると思ったけど、雪女はおらの顔を見て見逃してくれた。
「なあ雪女、おまえがおらを殺さないのは、おらがイケメンだからだろ?」
すべての村娘をイチコロにする、自慢のキメ顔で聞いてみた。
「はっ? ち、違うし、別にタイプじゃないし、ただの気分だし。っていうか、誰にも言うなよ。言ったらマジで殺すし。人間に化けてお前の家なんか絶対行かねえし、お前の嫁になんかならねーからな」
雪女のくせに真っ赤になって出て行った。
おらって罪な男だな。里に下りてきたら、嫁にしてやってもいいぜ。
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ウサギ「いやあ、うっかり居眠りしちゃったよ。ボクの完敗だ」
カメ 「やったー! ぼくの勝ちだね」
ウサギ「うん。往路はキミの勝ちだね」
カメ 「往路?」
ウサギ「ここは箱根のお山だから、往路と復路があるんだよ」
カメ 「えーーーー」
ウサギ「じゃ、今から復路スタートね」
びゅ~~~~~ん
カメ 「ず、ずるいよぉ」
アリとキリギリス
「キリギリスのやつ、夏のあいだ遊びまくっていたから、いまごろ寒さに震えながらひもじい思いをしているね」
「ざまーみろ」
「僕たちアリは、一生懸命働いたから冬は楽々さ」
「おい、みんな、噂をすればキリギリスから絵葉書が来たぞ」
『アリ君たち、元気かい。おいらは飛行機に紛れ込んで、今ハワイにいるよ。暖かくてサイコーさ。春になったらまた戻るよ。じゃあね、アロハ~』
「………」
つるの恩返し
「ねえ、おじいさん、つうは絶対開けるなと言ったけど、気になりますねえ」
「気になるのう」
「ちょっとだけ開けちゃう?」
「開けてすぐに閉めたらバレないだろう」
「じゃあ、開けてすぐ閉めますよ」
スー、シャッ!
「おじいさん、見えました?」
「いや、床の間の花瓶しか……」
ゆきおんな
雪山で遭難して、雪女に出会った。
殺されると思ったけど、雪女はおらの顔を見て見逃してくれた。
「なあ雪女、おまえがおらを殺さないのは、おらがイケメンだからだろ?」
すべての村娘をイチコロにする、自慢のキメ顔で聞いてみた。
「はっ? ち、違うし、別にタイプじゃないし、ただの気分だし。っていうか、誰にも言うなよ。言ったらマジで殺すし。人間に化けてお前の家なんか絶対行かねえし、お前の嫁になんかならねーからな」
雪女のくせに真っ赤になって出て行った。
おらって罪な男だな。里に下りてきたら、嫁にしてやってもいいぜ。
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おとぎ話(笑)20 [名作パロディー]
<かぐや姫>
「おばあさんや、かぐや姫は月に帰ってしまったのう」
「そうですね、おじいさん。これからどうします?」
「うーん、介護ヘルパーでも雇うか」
「仕方ないですねえ」
「ああ、当てが外れたな」
<ヘンゼルとグレーテル>
森で迷子になったヘンゼルとグレーテルは、深い森を彷徨いサバイバル生活を続けるうちに、すっかり大人になりました。
「お兄さん、見て、お菓子の家よ」
「ちぇ、赤ちょうちんじゃないのか」
「今夜あたり、おでんで一杯やりたかったわ」
<笠地蔵>
「おじいさん、この前笠をかぶせてあげたお地蔵さまからお手紙が来ました」
「なに、金一封でも入っているのか?」
『この前はありがとう。次回はポンチョでお願いします』
「……ポンチョ?」
<小人の靴や>
「まあ、夜中に小人が靴を仕上げてくれたわ」
「ありがたいなあ」
「何かお礼をしましょうよ」
「いくら小人でも、タダ働きというわけにはいかん」
「そうだ。紙と鉛筆を置いて、欲しいものを書いてもらったらどう?」
「そうしよう」
老夫婦は、作業場に紙と鉛筆を置いて眠りました。
翌日、紙に要望が書いてありました。
「どれどれ」
『店と家の権利書』
「………」
<赤ずきん>
赤ずきんは、おばあさんのお見舞いに来ました。
ベッドには、おばあさんになりすました悪いオオカミが寝ています。
「こんにちは、おばあちゃん。あのね、ここに来る途中、森の中でね、オオカミさんに会ったの。オオカミさんがね、あっちにきれいな花が咲いているからおばあさんに持って行ってあげたらって言うから行ってみたら、ほんとうにきれいなお花畑だったの。ねえ、おばあちゃん、わたし、あんなに優しくて素敵なオオカミさんに会ったのは初めてよ。また会いたいなあ。ちょっと、好きになっちゃったかも。ねえ、おばあちゃん、また会えるかな。……あれ? おばあちゃん? どうしたの? 泣いているの?」
「食えねえ…。俺にこの子は食えねえ…」
*****
このシリーズも、ついに20作になりました。
そろそろネタ切れか!
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「おばあさんや、かぐや姫は月に帰ってしまったのう」
「そうですね、おじいさん。これからどうします?」
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森で迷子になったヘンゼルとグレーテルは、深い森を彷徨いサバイバル生活を続けるうちに、すっかり大人になりました。
「お兄さん、見て、お菓子の家よ」
「ちぇ、赤ちょうちんじゃないのか」
「今夜あたり、おでんで一杯やりたかったわ」
<笠地蔵>
「おじいさん、この前笠をかぶせてあげたお地蔵さまからお手紙が来ました」
「なに、金一封でも入っているのか?」
『この前はありがとう。次回はポンチョでお願いします』
「……ポンチョ?」
<小人の靴や>
「まあ、夜中に小人が靴を仕上げてくれたわ」
「ありがたいなあ」
「何かお礼をしましょうよ」
「いくら小人でも、タダ働きというわけにはいかん」
「そうだ。紙と鉛筆を置いて、欲しいものを書いてもらったらどう?」
「そうしよう」
老夫婦は、作業場に紙と鉛筆を置いて眠りました。
翌日、紙に要望が書いてありました。
「どれどれ」
『店と家の権利書』
「………」
<赤ずきん>
赤ずきんは、おばあさんのお見舞いに来ました。
ベッドには、おばあさんになりすました悪いオオカミが寝ています。
「こんにちは、おばあちゃん。あのね、ここに来る途中、森の中でね、オオカミさんに会ったの。オオカミさんがね、あっちにきれいな花が咲いているからおばあさんに持って行ってあげたらって言うから行ってみたら、ほんとうにきれいなお花畑だったの。ねえ、おばあちゃん、わたし、あんなに優しくて素敵なオオカミさんに会ったのは初めてよ。また会いたいなあ。ちょっと、好きになっちゃったかも。ねえ、おばあちゃん、また会えるかな。……あれ? おばあちゃん? どうしたの? 泣いているの?」
「食えねえ…。俺にこの子は食えねえ…」
*****
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おとぎ話(笑)19 もしも編 [名作パロディー]
シンデレラ
(もしも王子様がガラスの靴を持ってこなかったら)
「すみません。シンデレラと申します」
「何の用だ」
「昨夜お城の階段に、ガラスの靴を忘れてしまいました」
「ガラスの靴? ああ、ちょっと遅かったな。今日は燃えないゴミの日だったから出しちゃった」
「マジか!」
赤ずきん
(もしもオオカミがおばあさんになりすましていなかったら)
「おばあさまの耳は、どうしてそんなに大きいの?」
「福耳さ」
桃太郎
(もしも桃太郎がきび団子を持っていなかったら)
「サルくん、いっしょに鬼退治に行こう。報酬は出来高払いでいいかな。じゃあ、この契約書にサインして」
「ブラックじゃないよね」
鶴の恩返し
(もしも鶴が方向音痴だったら)
「夜分にすみません…あ、家間違えた」
ああ、これで5軒目よ。道一本間違えたかしら。
「夜分すみません…あ、ここも違う」
もう、恩返しやめよう。
白雪姫
(もしも魔法の鏡がアニオタだったら)
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
「それって、三次元限定? 二次元もアリだったら話変わってくるんだけど。そもそも毛穴見えた時点で萎えるんですけど、ワタシ」
ガッシャーン(割れた)
*****
おとぎ話(笑)シリーズ19まできました。
めざせ30連勝。あ、違うか^^
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(もしも王子様がガラスの靴を持ってこなかったら)
「すみません。シンデレラと申します」
「何の用だ」
「昨夜お城の階段に、ガラスの靴を忘れてしまいました」
「ガラスの靴? ああ、ちょっと遅かったな。今日は燃えないゴミの日だったから出しちゃった」
「マジか!」
赤ずきん
(もしもオオカミがおばあさんになりすましていなかったら)
「おばあさまの耳は、どうしてそんなに大きいの?」
「福耳さ」
桃太郎
(もしも桃太郎がきび団子を持っていなかったら)
「サルくん、いっしょに鬼退治に行こう。報酬は出来高払いでいいかな。じゃあ、この契約書にサインして」
「ブラックじゃないよね」
鶴の恩返し
(もしも鶴が方向音痴だったら)
「夜分にすみません…あ、家間違えた」
ああ、これで5軒目よ。道一本間違えたかしら。
「夜分すみません…あ、ここも違う」
もう、恩返しやめよう。
白雪姫
(もしも魔法の鏡がアニオタだったら)
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
「それって、三次元限定? 二次元もアリだったら話変わってくるんだけど。そもそも毛穴見えた時点で萎えるんですけど、ワタシ」
ガッシャーン(割れた)
*****
おとぎ話(笑)シリーズ19まできました。
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おとぎ話(笑)18 [名作パロディー]
<金の斧・銀の斧>
ひとりの男が湖のほとりを散歩していた。
喉が渇き、自動販売機の前で小銭を出そうとしたら、うっかり財布を落とし、小銭が湖の中に落ちてしまった。
「ああ、僕の小銭が…」
すると湖の中から女神が現れた。
「おまえが落としたのは、500円玉か?100円玉か?それとも10円玉か?」
「それ全部です。全部で735円落としました」
「正直者だな。ではおまえには、いちばん高価な500円玉をやろう」
「いや、235円足りねーし」
<白雪姫>
白雪姫は毒リンゴを食べて、ぱたりと倒れてしまいました。
「わーん、白雪姫が死んじゃった」
小人たちが泣いていると、立派な王子様が通りかかりました。
「いったいどうしたんだ?」
「白雪姫が、毒リンゴを食べて死んでしまいました」
「おお、なんて美しい姫だ。かわいそうに。じゃあ」
「ちょいとお待ちを。キスしないんですか?」
「だって、毒リンゴ食べたんでしょう。唇に毒がついてるかもしれないし」
「たしかに…」
<都会のネズミ、田舎のネズミ>
都会のネズミが、田舎のネズミのところに遊びに来ました。
「よく来たなあ。ご馳走用意したで、食べてけろ」」
「ありがとう。うん、なかなか素朴な味だね。さすが田舎だ。でもさ、悪いけど僕の口には合わないな。なにしろ僕は、都会の三ツ星レストランにしか行かないからね」
「それ、東京の最高級レストランからネットで取り寄せたんだけど、口に合わないけ?」
「あ、ネットで…。あー、うん、そういえば、三ツ星の味だ。この煮物なんか特に上手いよ」
「その煮物だけは、母ちゃんの手作りだ」
<花咲かじいさん>
「今年の桜はいつごろ咲きますかね?」
「ちょっと待ってください。確認します」
「確認? 気象協会にですか?」
「いえ、花咲かじいさんです。もしもーし。ああ、つながらない。いい加減携帯持ってくれないかな。あのじいさん」
<北風と太陽>
北風と太陽は、どちらが強いか勝負をすることになりました。
「よし、あそこを歩く男のコートを脱がせた方が勝ちだ」
「望むところだ」
北風は、冷たい風をピューピュー吹かせました。
男は動じません。
太陽はギラギラと男を照りつけました。
男は動じません。
どんなに頑張っても、男はコートを脱ぎません。
「はあ、もうだめだ。今回は引き分けにしよう」
北風にも太陽にも動じない我慢強い男は、無心でスマホのゲームをしていました。
歩きスマホはやめましょう。
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ひとりの男が湖のほとりを散歩していた。
喉が渇き、自動販売機の前で小銭を出そうとしたら、うっかり財布を落とし、小銭が湖の中に落ちてしまった。
「ああ、僕の小銭が…」
すると湖の中から女神が現れた。
「おまえが落としたのは、500円玉か?100円玉か?それとも10円玉か?」
「それ全部です。全部で735円落としました」
「正直者だな。ではおまえには、いちばん高価な500円玉をやろう」
「いや、235円足りねーし」
<白雪姫>
白雪姫は毒リンゴを食べて、ぱたりと倒れてしまいました。
「わーん、白雪姫が死んじゃった」
小人たちが泣いていると、立派な王子様が通りかかりました。
「いったいどうしたんだ?」
「白雪姫が、毒リンゴを食べて死んでしまいました」
「おお、なんて美しい姫だ。かわいそうに。じゃあ」
「ちょいとお待ちを。キスしないんですか?」
「だって、毒リンゴ食べたんでしょう。唇に毒がついてるかもしれないし」
「たしかに…」
<都会のネズミ、田舎のネズミ>
都会のネズミが、田舎のネズミのところに遊びに来ました。
「よく来たなあ。ご馳走用意したで、食べてけろ」」
「ありがとう。うん、なかなか素朴な味だね。さすが田舎だ。でもさ、悪いけど僕の口には合わないな。なにしろ僕は、都会の三ツ星レストランにしか行かないからね」
「それ、東京の最高級レストランからネットで取り寄せたんだけど、口に合わないけ?」
「あ、ネットで…。あー、うん、そういえば、三ツ星の味だ。この煮物なんか特に上手いよ」
「その煮物だけは、母ちゃんの手作りだ」
<花咲かじいさん>
「今年の桜はいつごろ咲きますかね?」
「ちょっと待ってください。確認します」
「確認? 気象協会にですか?」
「いえ、花咲かじいさんです。もしもーし。ああ、つながらない。いい加減携帯持ってくれないかな。あのじいさん」
<北風と太陽>
北風と太陽は、どちらが強いか勝負をすることになりました。
「よし、あそこを歩く男のコートを脱がせた方が勝ちだ」
「望むところだ」
北風は、冷たい風をピューピュー吹かせました。
男は動じません。
太陽はギラギラと男を照りつけました。
男は動じません。
どんなに頑張っても、男はコートを脱ぎません。
「はあ、もうだめだ。今回は引き分けにしよう」
北風にも太陽にも動じない我慢強い男は、無心でスマホのゲームをしていました。
歩きスマホはやめましょう。
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ゆきおんなのはなし [名作パロディー]
あら、お客さん?
こまったねえ。もう民宿はやってないのよ。
2年前に夫を亡くしてね、私ひとりじゃどうにもならなくてねえ。
ちょっと先にペンションがあるから、そちらに連絡してあげましょうか。
どうしてもここに泊まりたいって?
あらそう。わかりました。
大したもてなしは出来ないけど、それでもよかったらどうぞ。
お客さん、寒くないですか?
こっちで火に当たりなさいよ。
「だいじょうぶ」
あらそう。
珍しいねえ。女の一人旅? しかもこんな雪山に。
顔色悪いけど、まさか自殺とか考えてないよね。
ダメだよ。生きたくても生きられない人だっているんだからね。
夕飯は? 食べないの? じゃあ、何かお話ししようか。
雪女の話とか、どう?
「ゆきおんな」
そう、雪女。夫がね、雪山で会ったのよ。もう40年も前の話だけどね。
怖かったらしいよ~。
つり上がった眼をして、氷みたいに冷たい息を吐いて、人間を凍らせるんだって。
だけどね、夫のことは殺さずに助けてくれたんだ。
どうしてだろうね。夫がイケメンだったからかね。ふふふ
夫はね、普段は無口だったけど、酔うとおしゃべりになってね、民宿の客にもよく雪女の話をしていたよ。
その話は雪女伝説なんて言われて、すっかり評判になってね、晩年はよく語り部なんかもしていたよ。
夫が話す雪女の話は、本当に怖かったよ。
何しろ自分の経験だからね、雪女の恐ろしさが手に取るようにわかったよ。
真っ白な顔に、目は血が滲んだような赤、長い髪をたらりと夫の首にからませて、地を這うような低い声で言ったそうだよ。
「わたしのことを、だれかにはなしたら、ころす」
そうそう。お客さん、よく知ってるね。夫の話聞いたことあるの?
上手いねえ。夫の後を継いで語り部やる?
夏の夜なんか、怪談話でひっぱりだこだよ。
「なつは、むり」
あはは、お客さん、暑いの苦手なの?
あれ、お客さんどうしたの? 泣いてるの?
「あのひと、しんだんだ」
あの人? 夫の事? お客さん、夫を知っているの?
「わたしが、ころしたかった」
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こまったねえ。もう民宿はやってないのよ。
2年前に夫を亡くしてね、私ひとりじゃどうにもならなくてねえ。
ちょっと先にペンションがあるから、そちらに連絡してあげましょうか。
どうしてもここに泊まりたいって?
あらそう。わかりました。
大したもてなしは出来ないけど、それでもよかったらどうぞ。
お客さん、寒くないですか?
こっちで火に当たりなさいよ。
「だいじょうぶ」
あらそう。
珍しいねえ。女の一人旅? しかもこんな雪山に。
顔色悪いけど、まさか自殺とか考えてないよね。
ダメだよ。生きたくても生きられない人だっているんだからね。
夕飯は? 食べないの? じゃあ、何かお話ししようか。
雪女の話とか、どう?
「ゆきおんな」
そう、雪女。夫がね、雪山で会ったのよ。もう40年も前の話だけどね。
怖かったらしいよ~。
つり上がった眼をして、氷みたいに冷たい息を吐いて、人間を凍らせるんだって。
だけどね、夫のことは殺さずに助けてくれたんだ。
どうしてだろうね。夫がイケメンだったからかね。ふふふ
夫はね、普段は無口だったけど、酔うとおしゃべりになってね、民宿の客にもよく雪女の話をしていたよ。
その話は雪女伝説なんて言われて、すっかり評判になってね、晩年はよく語り部なんかもしていたよ。
夫が話す雪女の話は、本当に怖かったよ。
何しろ自分の経験だからね、雪女の恐ろしさが手に取るようにわかったよ。
真っ白な顔に、目は血が滲んだような赤、長い髪をたらりと夫の首にからませて、地を這うような低い声で言ったそうだよ。
「わたしのことを、だれかにはなしたら、ころす」
そうそう。お客さん、よく知ってるね。夫の話聞いたことあるの?
上手いねえ。夫の後を継いで語り部やる?
夏の夜なんか、怪談話でひっぱりだこだよ。
「なつは、むり」
あはは、お客さん、暑いの苦手なの?
あれ、お客さんどうしたの? 泣いてるの?
「あのひと、しんだんだ」
あの人? 夫の事? お客さん、夫を知っているの?
「わたしが、ころしたかった」
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浦島太郎反省会 [名作パロディー]
ただいまより、浦島太郎反省会を行います。
◇カメの反省
ええ、浦島さんには悪いことをしました。
恩返しとはいえ、竜宮城にお連れするなんて。
あそこは時間の流れが人間界と違うんですよ。
竜宮城の1日が、人間界では数年。
1万年生きるカメには何てことなくても、浦島さんは生身の人間ですからね。
いやあ、申し訳ないことをしました。
でもね、これが私の仕事なんです。
若い男を竜宮城に連れていくことがね。
え? 私をいじめた子どもたちですか?
ああ、劇団の子役です。最近の子役は演技が上手いですね。
まあともかく、残りの3875年、反省して生きますよ。
だから許してくださいね。
◇乙姫さまの反省
はい、浦島さんをお引止めしたのはわたくしです。
だって、あんな海の底で、毎日タイやヒラメの踊り見ててもつまらないんですもの。
たまには若い男とゆっくりお話ししたいでしょう。
でもね、奪った時間はきちんとお返ししましたよ。
玉手箱に入れて、決して開けないようにと忠告までしましたのよ。
開けてしまったのは、わたくしのせいではありませんわ。
でもまあ、おじいさんになるまでお引止めしたことは、本当に悪かったと思っています。
…以上ですか?
取材ご苦労様でした。
お土産の玉手箱です。決して開けないでくださいね。ふふふ。
◇浦島太郎の反省
母ちゃん、すまねえ。
ずっと漁師ひとすじで、遊んだこともなかったから、あんなキラキラした城で、あんな美人に会って、ついつい時間を忘れちまった。
戻ったら故郷が変わってて、マジでたまげた。
母ちゃん、老後の面倒みられなくてごめん。
せめて墓参りでもしようと思ったけど、母ちゃんの墓、どこだっけ?
◇浦島太郎の母の反省
物語には直接登場しませんが、ひとこと言わせてください。
太郎や、そんなに反省しなくていいんだよ。
母ちゃんは、てっきりあんたが死んだと思って、生命保険がっぽりもらったんだよ。
まさか生きてるなんて思わないだろう。
それでね、その金で不老不死の薬を買ったんだよ。
おかげで今でも楽しくやってるよ。
今のあんたより若いよ。
だからさ、反省なんてしなくていいよ。
え? あたしの反省? 特にないよ。
じゃあ、いいかな。忙しいんだよ。
今から『ホストクラブ竜宮城』に行かなきゃならないからさ。
以上で、浦島太郎反省会を終わります。
「あー、おつかれー」
「りんさん、この箱なんですか?」
「それね、乙姫にもらった玉手箱。開けちゃだめだよ。開けちゃダメだってば。ちょっと、ホントにダメだよ。ああああああ!」
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◇カメの反省
ええ、浦島さんには悪いことをしました。
恩返しとはいえ、竜宮城にお連れするなんて。
あそこは時間の流れが人間界と違うんですよ。
竜宮城の1日が、人間界では数年。
1万年生きるカメには何てことなくても、浦島さんは生身の人間ですからね。
いやあ、申し訳ないことをしました。
でもね、これが私の仕事なんです。
若い男を竜宮城に連れていくことがね。
え? 私をいじめた子どもたちですか?
ああ、劇団の子役です。最近の子役は演技が上手いですね。
まあともかく、残りの3875年、反省して生きますよ。
だから許してくださいね。
◇乙姫さまの反省
はい、浦島さんをお引止めしたのはわたくしです。
だって、あんな海の底で、毎日タイやヒラメの踊り見ててもつまらないんですもの。
たまには若い男とゆっくりお話ししたいでしょう。
でもね、奪った時間はきちんとお返ししましたよ。
玉手箱に入れて、決して開けないようにと忠告までしましたのよ。
開けてしまったのは、わたくしのせいではありませんわ。
でもまあ、おじいさんになるまでお引止めしたことは、本当に悪かったと思っています。
…以上ですか?
取材ご苦労様でした。
お土産の玉手箱です。決して開けないでくださいね。ふふふ。
◇浦島太郎の反省
母ちゃん、すまねえ。
ずっと漁師ひとすじで、遊んだこともなかったから、あんなキラキラした城で、あんな美人に会って、ついつい時間を忘れちまった。
戻ったら故郷が変わってて、マジでたまげた。
母ちゃん、老後の面倒みられなくてごめん。
せめて墓参りでもしようと思ったけど、母ちゃんの墓、どこだっけ?
◇浦島太郎の母の反省
物語には直接登場しませんが、ひとこと言わせてください。
太郎や、そんなに反省しなくていいんだよ。
母ちゃんは、てっきりあんたが死んだと思って、生命保険がっぽりもらったんだよ。
まさか生きてるなんて思わないだろう。
それでね、その金で不老不死の薬を買ったんだよ。
おかげで今でも楽しくやってるよ。
今のあんたより若いよ。
だからさ、反省なんてしなくていいよ。
え? あたしの反省? 特にないよ。
じゃあ、いいかな。忙しいんだよ。
今から『ホストクラブ竜宮城』に行かなきゃならないからさ。
以上で、浦島太郎反省会を終わります。
「あー、おつかれー」
「りんさん、この箱なんですか?」
「それね、乙姫にもらった玉手箱。開けちゃだめだよ。開けちゃダメだってば。ちょっと、ホントにダメだよ。ああああああ!」
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