細かいことが気になる「桃太郎」 [名作パロディー]
「おじいちゃん、この本読んで」
「おお、桃太郎か。よし、読んであげよう」
『むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました』
「昔って、どのくらい昔?」
「そうだな。100年……200年くらい前かな」
「ふうん。じゃあ、あるところってどこ?」
「あー、そうだなあ、岡山とか、そのあたり……かな」
『おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました』
「ちょっとまって。ふたりとも出掛けたの?家を空けて大丈夫? 鍵は掛けた?」
「あー、昔は、鍵なんか掛けなくても大丈夫なんだよ」
「ふうん。平和なんだね。だけどちょっと心配だな」
『おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。おばあさんはそれを家に持って帰りました』
「大きいって、どのくらい大きいの?」
「うーん。直径1メートルくらいかな」
「おばあさんは、どうやって持って帰ったの?」
「そりゃあ、両手で抱えて持ち帰ったんだろ」
「洗濯物は? 川に洗濯をしに行ったんだろ。両手で桃を持ったら、洗濯物が持てないよ」
「たしかに。あっ、後で取りに行くんだ。じいさんとばあさんの洗濯物なんか、誰も持って行かないだろう」
『家に帰って桃を切ろうとしたら、中から元気な男の赤ん坊が出てきました。おじいさんとおばあさんは、桃太郎と名付けて大事に育てました』
「赤ん坊が入っていたのか。さぞかし重かっただろうね。で、洗濯物は取りに行った?」
「行ったと思うよ。乾いたかどうかは分からないけどね」
『桃太郎は、あっという間に大きくなって、ある日、鬼ヶ島へ鬼退治に行くことになりました』
「鬼退治?鬼って退治されるような悪いことをしたの?」
「村人の宝を盗んで、鬼ヶ島で悠々自適に暮らしていたんだ」
「ほら見ろ、僕の杞憂が現実になったね」
「杞憂?」
「さっき言ったじゃないか。出掛けるとき、鍵は掛けたのかって。鍵を掛けずに出掛けるから盗まれるんだ。鬼のせいばかりとは言えないね」
「そうだな。戸締りは大事だ」
『桃太郎はサル、イヌ、キジを家来にして、鬼ヶ島に向かいました』
「家来が動物と鳥? 意思の疎通は出来たのかな? あ、出来ない方が都合いいんだ。家来として使いやすいからね」
「そうかもしれんな」
『桃太郎は、見事に鬼を退治して、宝物をごっそり持って家に帰りました。めでたし、めでたし』
「宝物って何?」
「そりゃあ、金銀財宝だろう」
「今は金の相場が高いから、相当なお金になるね。鍵を掛けるくらいじゃだめだね。警備会社に依頼して、セキュリティを強化した方がいいよ」
「ああ、その通りだな」
「それから、村人にお金を返して余ったら、桃太郎は寄付をするべきだと思う」
「寄付? どこへだい?」
「動物愛護団体だよ。このままだと動物虐待で訴えられるよ」
「なるほど」
「おじいちゃん。次はこれ読んで。浦島太郎」
「もう勘弁してくれ」
※「細かいことが気になる浦島太郎」近日公開???
*******
先日、「林家たい平落語会」に行ってきました。
面白かったです。めっちゃ笑いました。
やっぱり笑いが一番ですね。
「おお、桃太郎か。よし、読んであげよう」
『むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました』
「昔って、どのくらい昔?」
「そうだな。100年……200年くらい前かな」
「ふうん。じゃあ、あるところってどこ?」
「あー、そうだなあ、岡山とか、そのあたり……かな」
『おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました』
「ちょっとまって。ふたりとも出掛けたの?家を空けて大丈夫? 鍵は掛けた?」
「あー、昔は、鍵なんか掛けなくても大丈夫なんだよ」
「ふうん。平和なんだね。だけどちょっと心配だな」
『おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。おばあさんはそれを家に持って帰りました』
「大きいって、どのくらい大きいの?」
「うーん。直径1メートルくらいかな」
「おばあさんは、どうやって持って帰ったの?」
「そりゃあ、両手で抱えて持ち帰ったんだろ」
「洗濯物は? 川に洗濯をしに行ったんだろ。両手で桃を持ったら、洗濯物が持てないよ」
「たしかに。あっ、後で取りに行くんだ。じいさんとばあさんの洗濯物なんか、誰も持って行かないだろう」
『家に帰って桃を切ろうとしたら、中から元気な男の赤ん坊が出てきました。おじいさんとおばあさんは、桃太郎と名付けて大事に育てました』
「赤ん坊が入っていたのか。さぞかし重かっただろうね。で、洗濯物は取りに行った?」
「行ったと思うよ。乾いたかどうかは分からないけどね」
『桃太郎は、あっという間に大きくなって、ある日、鬼ヶ島へ鬼退治に行くことになりました』
「鬼退治?鬼って退治されるような悪いことをしたの?」
「村人の宝を盗んで、鬼ヶ島で悠々自適に暮らしていたんだ」
「ほら見ろ、僕の杞憂が現実になったね」
「杞憂?」
「さっき言ったじゃないか。出掛けるとき、鍵は掛けたのかって。鍵を掛けずに出掛けるから盗まれるんだ。鬼のせいばかりとは言えないね」
「そうだな。戸締りは大事だ」
『桃太郎はサル、イヌ、キジを家来にして、鬼ヶ島に向かいました』
「家来が動物と鳥? 意思の疎通は出来たのかな? あ、出来ない方が都合いいんだ。家来として使いやすいからね」
「そうかもしれんな」
『桃太郎は、見事に鬼を退治して、宝物をごっそり持って家に帰りました。めでたし、めでたし』
「宝物って何?」
「そりゃあ、金銀財宝だろう」
「今は金の相場が高いから、相当なお金になるね。鍵を掛けるくらいじゃだめだね。警備会社に依頼して、セキュリティを強化した方がいいよ」
「ああ、その通りだな」
「それから、村人にお金を返して余ったら、桃太郎は寄付をするべきだと思う」
「寄付? どこへだい?」
「動物愛護団体だよ。このままだと動物虐待で訴えられるよ」
「なるほど」
「おじいちゃん。次はこれ読んで。浦島太郎」
「もう勘弁してくれ」
※「細かいことが気になる浦島太郎」近日公開???
*******
先日、「林家たい平落語会」に行ってきました。
面白かったです。めっちゃ笑いました。
やっぱり笑いが一番ですね。
おとぎ話(笑)30 [名作パロディー]
かさ地蔵
おや、峠の地蔵さんがノーマスクだ。
感染したら大変じゃ。
予備のマスクを持っているから掛けてあげよう。
あれ、1つ足りない。
仕方ない。わしのマスクを外して……
「それだけは勘弁してくれ」
アリとキリギリス
「頼むよ。食べ物を分けておくれよ」
「いやだよ。夏のあいだ遊んでいた自分が悪いんじゃないか」
「そう言わずに。一匹でいいからさ」
「一匹? キリギリスさんは何を食べるの?」
「アリ」
「………」
赤ずきん
「やあ、赤ずきんちゃん。森の奥にきれいなお花が咲いてたよ。摘んでおばあちゃんのお見舞いにしたらどうだい?」
「ありがとう。オオカミさん」
さて、ここで問題です。
オオカミは、ここで赤ずきんを食べることも出来るのに、なぜ食べなかったのでしょう。
A:そこまで空腹じゃなかった。
B:おばあさんも食べたかった
C:絵本を売るための、大人の事情
かちかち山
おばあさんに酷いことをしたタヌキを懲らしめる方法を考えた。
まず山に誘って焚き木を背負わせて、その焚き木に後ろから火をつける。
そしてやけどしたタヌキの背中に、薬だと言って塩をたっぷり塗り込むんだ。
きっと痛くて痛くて転げまわるだろうな。ざまーみろだ。
それで今日、山にタヌキを誘ったんだけど、何だか気が乗らない。
こういうことって、計画を立てているときが一番楽しいんだよね。
あーでも、一応火をつけようかな。火打石持ってきたし。カチカチカチ
「あのさ、うさぎさん。心の声、全部漏れてる」
はなさかじいさん
枯れ木に花を咲かせたおじいさんは、すっかり有名になりました。
名声は海外にまで届き、アメリカ人の少年がおじいさんを訪ねてきました。
「ジャパニーズオジイサン、オ願イガアリマス。ボクハ、パパノ桜ノ枝ヲ折ッテシマイマシタ。ナントカクッツケテ花ヲ咲カセテクレマセンカ」
「ジョージ君と言ったかな。花を咲かせるのはたやすいが、それは素直に謝った方が君のためだと思うぞ。お父上はきっと許してくれるだろう」
「ワカリマシタ。ソウシマス」
そして少年は、素直に謝り、やがて大統領になりました。
****
このシリーズ、ついに30!
おとぎ話界からクレームが来ることもなく続けられたのは、みなさんの応援のおかげです(大げさ)
一応30を目標にしていたけど、とりあえず50までは頑張ろうかな(笑)
おとぎ話(笑)29 [名作パロディー]
<舌切りすずめ>
舌を切られたすずめを助けたおばあさんは、すずめのお宿に招待されて、たいそうなもてなしを受けました。
「おばあさん、お土産です。大きなつづらと小さなつづら、どちらがいいですか」
「あら、ご馳走になった上にお土産までくれるの? どうしましょう。じゃあ、大きい方をもらおうかね。大は小を兼ねるから」
「えっ、大きい方?」
「(ひそひそ)予想外だ。謙虚なおばあさんが大きい方を選ぶなんて」
「(ひそひそ)どうしよう。大きい方にはお化けやヘビが入っているのに」
「それからね、悪いけど、箱は邪魔になるから中身だけもらえないかね」
「な、中身だけ?」
「(ひそひそ)どうする?ここで開けたら大変なことになる」
「(ひそひそ)困ったな。想定外だ」
「(ひそひそ)現金渡して帰ってもらおう」
<かさ地蔵>
夜
「おじいさん、誰か来ましたよ」
「どなたさんですか」
「警察だ」
「け、警察!」
「今日、午後4時ごろ、峠の地蔵に笠を被せたのはおまえか?」
「ひ、ひええ、笠を被せたら、罪になるんですか?」
「ただの事情聴取だ。被せたのか、被せてないのか、どっちだ」
「ひええ、やってません。被せてません」
「おじいさん、大丈夫ですか?」
「ああ、警察は帰った。峠で何かあったのかな。くわばらくわばら」
「お地蔵様、全ての民家に確認しましたが、笠を被せた男はいませんでした」
「そうか。せっかくお礼の品を用意したのになあ」
<ヘンゼルとグレーテル>
「おにいさん、見て。お菓子の家があるわ」
「本当だ。食べていいのかな」
「ちょっと味見だけしてみない?」
「そうだね」
「ああ、なんだこの濃厚なチョコレートは」
「メレンゲのふわふわ感が絶妙だわ」
「このクッキー、バターの香りが芳醇だ」
「うわあ、洋酒に付け込んだマロングラッセよ。口に含むとフランスの田園風景が浮かんでくるわ」
「マカロンもある。うん。ちょうどいい甘さだ」
「しっとり感がたまらないわね。きっと作ったのは本場で修業をした人よ」
「あっ、そこの黒い服のおばあさん。すみませんがシェフを呼んでいただけますか」
「いや、そういう話じゃないんだけど(グルメ童話か!)」
<うさぎとかめ>
うさぎが昼寝をしているあいだに、カメがゴールしました。
「やった!勝ったぞ。あれ、うさぎさんは?」
「まだ寝てるよ」
「よほど疲れているんだろうな」
「肩ひじ張って生きてるもんな」
「ずっとトップを走るのはつらいことだよ」
「見てごらん。気持ちよさそうに寝てるよ」
「このまま寝かせてやろう」
うさぎ「ふぁ~、よく寝た。あれ、もう夕方?レースは?ああ、もうどうでもいいや。不思議だな。負けたのに気分がいいや」
舌を切られたすずめを助けたおばあさんは、すずめのお宿に招待されて、たいそうなもてなしを受けました。
「おばあさん、お土産です。大きなつづらと小さなつづら、どちらがいいですか」
「あら、ご馳走になった上にお土産までくれるの? どうしましょう。じゃあ、大きい方をもらおうかね。大は小を兼ねるから」
「えっ、大きい方?」
「(ひそひそ)予想外だ。謙虚なおばあさんが大きい方を選ぶなんて」
「(ひそひそ)どうしよう。大きい方にはお化けやヘビが入っているのに」
「それからね、悪いけど、箱は邪魔になるから中身だけもらえないかね」
「な、中身だけ?」
「(ひそひそ)どうする?ここで開けたら大変なことになる」
「(ひそひそ)困ったな。想定外だ」
「(ひそひそ)現金渡して帰ってもらおう」
<かさ地蔵>
夜
「おじいさん、誰か来ましたよ」
「どなたさんですか」
「警察だ」
「け、警察!」
「今日、午後4時ごろ、峠の地蔵に笠を被せたのはおまえか?」
「ひ、ひええ、笠を被せたら、罪になるんですか?」
「ただの事情聴取だ。被せたのか、被せてないのか、どっちだ」
「ひええ、やってません。被せてません」
「おじいさん、大丈夫ですか?」
「ああ、警察は帰った。峠で何かあったのかな。くわばらくわばら」
「お地蔵様、全ての民家に確認しましたが、笠を被せた男はいませんでした」
「そうか。せっかくお礼の品を用意したのになあ」
<ヘンゼルとグレーテル>
「おにいさん、見て。お菓子の家があるわ」
「本当だ。食べていいのかな」
「ちょっと味見だけしてみない?」
「そうだね」
「ああ、なんだこの濃厚なチョコレートは」
「メレンゲのふわふわ感が絶妙だわ」
「このクッキー、バターの香りが芳醇だ」
「うわあ、洋酒に付け込んだマロングラッセよ。口に含むとフランスの田園風景が浮かんでくるわ」
「マカロンもある。うん。ちょうどいい甘さだ」
「しっとり感がたまらないわね。きっと作ったのは本場で修業をした人よ」
「あっ、そこの黒い服のおばあさん。すみませんがシェフを呼んでいただけますか」
「いや、そういう話じゃないんだけど(グルメ童話か!)」
<うさぎとかめ>
うさぎが昼寝をしているあいだに、カメがゴールしました。
「やった!勝ったぞ。あれ、うさぎさんは?」
「まだ寝てるよ」
「よほど疲れているんだろうな」
「肩ひじ張って生きてるもんな」
「ずっとトップを走るのはつらいことだよ」
「見てごらん。気持ちよさそうに寝てるよ」
「このまま寝かせてやろう」
うさぎ「ふぁ~、よく寝た。あれ、もう夕方?レースは?ああ、もうどうでもいいや。不思議だな。負けたのに気分がいいや」
ここ掘れワンワン [名作パロディー]
僕は、かの有名な「花咲かじいさん」の子孫だ。
先祖代々この土地に住み続け、白い犬を飼うことが習わしになっている。
「花咲かじいさん」を読んだ人はご存じだと思うが、犬が「ここ掘れワンワン」と吠えるところを掘れば、お宝がザックザック出てくるのだ。
おじいちゃんのときは金塊を掘り当てた。
お父さんのときは一等の宝くじを掘り当てた。
そうしてこの家は、常に繁栄してきたのだ。
しかし僕は、犬が嫌いだ。幼いころに噛まれてから、見るのも怖い。
「仕方ないね。あんたは犬の力を借りずに慎ましく生きなさい」
両親に言われた通り、僕は慎ましく生きた。
気づけば40手前で独身だ。資産を増やすことは無理でも、子孫だけは残したい。
そんなある日、隣のアパートに美人が引っ越してきた。
アパートといっても一戸建てで、そこの住人とは、先祖代々相性が悪い。
「花咲かじいさん」を読んだ人はご存じだと思うが、隣に住む意地悪じじいは、花咲かじいさんの愛犬を殺してしまうのだ。
だから時代を超えた今でも、どうも相性が悪いというわけだ。
そんなある日、隣の美人が挨拶に来た。
「こんにちは。ご挨拶に伺いました」
「ああ、これはどうも。わざわざすみません」
と、門で出迎えた僕は、思わず固まった。
美人の後ろに犬がいる。白くて大きな犬だ。
ああ、残念だけどやっぱり相性が悪そうだ。
「ホワイトシェパードのシロです。かわいいでしょ」
「はあ。でも、僕、犬は……」
そのとき、シロが突然走り出した。
「シロ、ダメよ」
シロは一目散に裏庭に回り、ワンワンと吠え始めた。
「ごめんなさい。あまり吠えない子なのにどうしたのかしら」
シロは桜の木の下で、ひっきりなしに吠えている。
白い犬、桜の木。ここ掘れワンワン。
あっ、もしかしてここに何か埋まっているのか?
僕はスコップで木の下を掘った。美人の彼女は興味津々で見ている。
「あら、何かあったわ。タイムカプセルかしら」
「いや、ちがう。これは、ただのゴミだ」
出てきたのは、ガラクタばかりだった。
「花咲かじいさん」を読んだ人はご存じだと思うが、隣に住む意地悪じじいが掘った穴からは、ヘビやお化けが出てくるのだ。
つまり隣の犬が吠えたところで、財宝にはありつけない。
シロはそれから毎日来た。
苦手な犬に毎日来られて迷惑だけど、隣の彼女も来るから追い返せない。
そして犬が来るたびに、彼女と僕は親しくなった。
隣りの住人とは相性が悪いはずなのに、不思議だ。
犬も苦手なはずなのに、なぜかシロは怖くない。
僕は彼女とシロが来るのを、心待ちにするようになった。
あるとき、シロが再び吠えた。
桜の木の下で、「ここ掘れワンワン」と吠えている。
どうせガラクタだろうと思って掘ってみたら、小さな箱が出て来た。
「あら、何かしら。今度こそタイムカプセル?」
彼女と二人で開けてみたら、2つの指輪が入っていた。
「まあ、ステキ。こんなサプライズ初めてよ」
サプライズ? 違うけど、そういうことにしちゃおうかな。
「ワンワンワンワン(おまえのお宝は彼女だよ。一生大事にしろよ)」
先祖代々この土地に住み続け、白い犬を飼うことが習わしになっている。
「花咲かじいさん」を読んだ人はご存じだと思うが、犬が「ここ掘れワンワン」と吠えるところを掘れば、お宝がザックザック出てくるのだ。
おじいちゃんのときは金塊を掘り当てた。
お父さんのときは一等の宝くじを掘り当てた。
そうしてこの家は、常に繁栄してきたのだ。
しかし僕は、犬が嫌いだ。幼いころに噛まれてから、見るのも怖い。
「仕方ないね。あんたは犬の力を借りずに慎ましく生きなさい」
両親に言われた通り、僕は慎ましく生きた。
気づけば40手前で独身だ。資産を増やすことは無理でも、子孫だけは残したい。
そんなある日、隣のアパートに美人が引っ越してきた。
アパートといっても一戸建てで、そこの住人とは、先祖代々相性が悪い。
「花咲かじいさん」を読んだ人はご存じだと思うが、隣に住む意地悪じじいは、花咲かじいさんの愛犬を殺してしまうのだ。
だから時代を超えた今でも、どうも相性が悪いというわけだ。
そんなある日、隣の美人が挨拶に来た。
「こんにちは。ご挨拶に伺いました」
「ああ、これはどうも。わざわざすみません」
と、門で出迎えた僕は、思わず固まった。
美人の後ろに犬がいる。白くて大きな犬だ。
ああ、残念だけどやっぱり相性が悪そうだ。
「ホワイトシェパードのシロです。かわいいでしょ」
「はあ。でも、僕、犬は……」
そのとき、シロが突然走り出した。
「シロ、ダメよ」
シロは一目散に裏庭に回り、ワンワンと吠え始めた。
「ごめんなさい。あまり吠えない子なのにどうしたのかしら」
シロは桜の木の下で、ひっきりなしに吠えている。
白い犬、桜の木。ここ掘れワンワン。
あっ、もしかしてここに何か埋まっているのか?
僕はスコップで木の下を掘った。美人の彼女は興味津々で見ている。
「あら、何かあったわ。タイムカプセルかしら」
「いや、ちがう。これは、ただのゴミだ」
出てきたのは、ガラクタばかりだった。
「花咲かじいさん」を読んだ人はご存じだと思うが、隣に住む意地悪じじいが掘った穴からは、ヘビやお化けが出てくるのだ。
つまり隣の犬が吠えたところで、財宝にはありつけない。
シロはそれから毎日来た。
苦手な犬に毎日来られて迷惑だけど、隣の彼女も来るから追い返せない。
そして犬が来るたびに、彼女と僕は親しくなった。
隣りの住人とは相性が悪いはずなのに、不思議だ。
犬も苦手なはずなのに、なぜかシロは怖くない。
僕は彼女とシロが来るのを、心待ちにするようになった。
あるとき、シロが再び吠えた。
桜の木の下で、「ここ掘れワンワン」と吠えている。
どうせガラクタだろうと思って掘ってみたら、小さな箱が出て来た。
「あら、何かしら。今度こそタイムカプセル?」
彼女と二人で開けてみたら、2つの指輪が入っていた。
「まあ、ステキ。こんなサプライズ初めてよ」
サプライズ? 違うけど、そういうことにしちゃおうかな。
「ワンワンワンワン(おまえのお宝は彼女だよ。一生大事にしろよ)」
おとぎ話(笑)28 [名作パロディー]
<一寸法師>
「ばあさんや、ワシのお椀を知らんかね」
「ああ、一寸法師の船にしましたよ。ちょうどいい大きさだったから」
「ばあさんや、ワシの箸がないんじゃが」
「ああ、一寸法師の船の櫂にしましたよ。櫂がなきゃ漕げないでしょ」
「ばあさんや、ワシのごはんは?」
「ああ、一寸法師のおにぎりにしましたよ。小さくてもいっぱい食べるから」
「ばあさんや、ワシも旅に出る」
<白雪姫>
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
「お答えします。それは白雪姫です」
「なんだと。生きているのか?」
「はい、白雪姫は森で7人の小人と暮らしています。小人の職業は木こりです。働き者です。名前は、ドッグ、グランピー、ハッピー、スリーピー、バッシュフル、スニージー、ドーピーです。年齢不詳ですが、ひげや服装から考えて、若くはないでしょう。小人たちは7人で一緒くたにされていますが、よく見ると顔も性格も違います。怒りん坊とか、照れ屋とか、ねぼすけとか、いろいろです。それから、木を切るときに陽気な歌を歌うのですが、それはハイホー!という歌で……」
「小人の情報はいらん!」
<うさぎとかめ>
ああ、のろまなカメに負けるなんて、一生の不覚だ。
もう一度やり直したい。神様、時間を戻してください。
「よかろう。もう一度だけチャンスをあげよう」
神様、ありがとうございます。
あっ、本当にスタート前に戻っている。今度は居眠りなんかしないぞ。
真面目にちゃんと走るぞ。
絶対負けないぞ!
「うさぎさん、うさぎさん、起きてください。勝負はつきましたよ。カメさんの勝ちですよ」
えっ……、夢?
<マッチ売りの少女>
「マッチはいりませんか。マッチはいりませんか」
「お嬢さん、お困りですか?」
「マッチが売れないんです。おじさん、買ってくれますか?」
「よし、可哀そうな子どものために全部買おう」
「ありがとう、おじさん」
「それから全国民に10万円の給付金を支給しよう。あと、18歳以下の子どもがいる家庭にも特別給付金を支給しよう。飲食店にも支給しよう。消費税を5%に戻そう」
「おじさん、あたし選挙権ないよ」
「そうか。じゃあマッチ要らない」
このシリーズ、28まで続くとは。
自分でも驚きです。
ネタが尽きても、30までは頑張ろう。
「ばあさんや、ワシのお椀を知らんかね」
「ああ、一寸法師の船にしましたよ。ちょうどいい大きさだったから」
「ばあさんや、ワシの箸がないんじゃが」
「ああ、一寸法師の船の櫂にしましたよ。櫂がなきゃ漕げないでしょ」
「ばあさんや、ワシのごはんは?」
「ああ、一寸法師のおにぎりにしましたよ。小さくてもいっぱい食べるから」
「ばあさんや、ワシも旅に出る」
<白雪姫>
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
「お答えします。それは白雪姫です」
「なんだと。生きているのか?」
「はい、白雪姫は森で7人の小人と暮らしています。小人の職業は木こりです。働き者です。名前は、ドッグ、グランピー、ハッピー、スリーピー、バッシュフル、スニージー、ドーピーです。年齢不詳ですが、ひげや服装から考えて、若くはないでしょう。小人たちは7人で一緒くたにされていますが、よく見ると顔も性格も違います。怒りん坊とか、照れ屋とか、ねぼすけとか、いろいろです。それから、木を切るときに陽気な歌を歌うのですが、それはハイホー!という歌で……」
「小人の情報はいらん!」
<うさぎとかめ>
ああ、のろまなカメに負けるなんて、一生の不覚だ。
もう一度やり直したい。神様、時間を戻してください。
「よかろう。もう一度だけチャンスをあげよう」
神様、ありがとうございます。
あっ、本当にスタート前に戻っている。今度は居眠りなんかしないぞ。
真面目にちゃんと走るぞ。
絶対負けないぞ!
「うさぎさん、うさぎさん、起きてください。勝負はつきましたよ。カメさんの勝ちですよ」
えっ……、夢?
<マッチ売りの少女>
「マッチはいりませんか。マッチはいりませんか」
「お嬢さん、お困りですか?」
「マッチが売れないんです。おじさん、買ってくれますか?」
「よし、可哀そうな子どものために全部買おう」
「ありがとう、おじさん」
「それから全国民に10万円の給付金を支給しよう。あと、18歳以下の子どもがいる家庭にも特別給付金を支給しよう。飲食店にも支給しよう。消費税を5%に戻そう」
「おじさん、あたし選挙権ないよ」
「そうか。じゃあマッチ要らない」
このシリーズ、28まで続くとは。
自分でも驚きです。
ネタが尽きても、30までは頑張ろう。
浦島太郎はなぜ? [名作パロディー]
「浦島太郎はなぜ玉手箱を開けてしまったのか」
今日は、このテーマで話し合いをします。
では、各グループに分かれて、話し合ってください。
Aグループ
「お腹が空いたんじゃない?」
「あー、わかる。玉手箱って、お弁当箱と似てるもんね」
「豪華な弁当って感じだな」
「あー、お腹空いちゃった。ねえ、遠足のお弁当って何がいい?」
「玉子焼きとウインナーは必須でしょ」
「のり巻きもいいな。中がお花になってるの」
「でもやっぱり、定番はアレでしょ」
「あー、アレね」
Bグループ
「捨てようと思ったんじゃない?」
「あー、ずっと持ち歩くの、邪魔そうだよね。でも何で開けるの?」
「中身確認しなきゃ。ちゃんと分別しないと、条例違反になるだろ」
「そうか。プラスチックかな?」
「あんな昔にプラスチックなんかないよ。木だよ」
「じゃあ燃えるゴミ?」
「でも、海の中で作られたんだから、違う物質かも」
「サンゴとか?」
「貴重だね。それ、捨てたらもったいないよ」
「じゃあ、アレだね」
「うん、アレしかないね」
Cグループ
「絶望だよ。きっと、ひどく絶望して開けてしまったんだ」
「絶望って、何に?」
「考えてみろよ。三百年後に行っちゃったんだぜ。親も知り合いもいないところに放り出されて、そりゃあ絶望だろう」
「そうかな。僕だったら三百年後に行けたらスゲー嬉しいけど」
「うん。ワクワクするよね」
「行くだけならいいさ。帰ってこれないんだぜ。それでもいいのか?」
「でもさ、三百年後なら、あるんじゃない、アレ」
「あー、あるある。絶対あるよ、アレ」
「アレって?」
Dグループ
「乙姫様が恋しくて開けたんだと思うわ」
「そうかな」
「そうよ。ひとりぼっちで寂しくて、愛しい人を思い出したのよ」
「でもさ、愛しい乙姫が絶対開けるなと言ったのに、開けちゃうんだ。それって、裏切り行為じゃない?」
「開けるなは、開けろっていう意味よ。好きなのに嫌いって言っちゃう男子みたいに」
「ああ、そういう芸人いたよね。押すな押すなは、押してくれってことでしょ」
「なにそれ?」
「知らないの? アレだよ、アレ」
「なに?」
「アレだよ」
さあ、みなさんまとまりましたか。では順番に、発表してください。
Aグループ 「からあげ!」
Bグループ 「ネットオークション!」
Cグループ 「タイムマシン!」
Dグループ 「ダチョウ倶楽部!」
?? いったい、どんな話し合いをしたらそうなるの?
今日は、このテーマで話し合いをします。
では、各グループに分かれて、話し合ってください。
Aグループ
「お腹が空いたんじゃない?」
「あー、わかる。玉手箱って、お弁当箱と似てるもんね」
「豪華な弁当って感じだな」
「あー、お腹空いちゃった。ねえ、遠足のお弁当って何がいい?」
「玉子焼きとウインナーは必須でしょ」
「のり巻きもいいな。中がお花になってるの」
「でもやっぱり、定番はアレでしょ」
「あー、アレね」
Bグループ
「捨てようと思ったんじゃない?」
「あー、ずっと持ち歩くの、邪魔そうだよね。でも何で開けるの?」
「中身確認しなきゃ。ちゃんと分別しないと、条例違反になるだろ」
「そうか。プラスチックかな?」
「あんな昔にプラスチックなんかないよ。木だよ」
「じゃあ燃えるゴミ?」
「でも、海の中で作られたんだから、違う物質かも」
「サンゴとか?」
「貴重だね。それ、捨てたらもったいないよ」
「じゃあ、アレだね」
「うん、アレしかないね」
Cグループ
「絶望だよ。きっと、ひどく絶望して開けてしまったんだ」
「絶望って、何に?」
「考えてみろよ。三百年後に行っちゃったんだぜ。親も知り合いもいないところに放り出されて、そりゃあ絶望だろう」
「そうかな。僕だったら三百年後に行けたらスゲー嬉しいけど」
「うん。ワクワクするよね」
「行くだけならいいさ。帰ってこれないんだぜ。それでもいいのか?」
「でもさ、三百年後なら、あるんじゃない、アレ」
「あー、あるある。絶対あるよ、アレ」
「アレって?」
Dグループ
「乙姫様が恋しくて開けたんだと思うわ」
「そうかな」
「そうよ。ひとりぼっちで寂しくて、愛しい人を思い出したのよ」
「でもさ、愛しい乙姫が絶対開けるなと言ったのに、開けちゃうんだ。それって、裏切り行為じゃない?」
「開けるなは、開けろっていう意味よ。好きなのに嫌いって言っちゃう男子みたいに」
「ああ、そういう芸人いたよね。押すな押すなは、押してくれってことでしょ」
「なにそれ?」
「知らないの? アレだよ、アレ」
「なに?」
「アレだよ」
さあ、みなさんまとまりましたか。では順番に、発表してください。
Aグループ 「からあげ!」
Bグループ 「ネットオークション!」
Cグループ 「タイムマシン!」
Dグループ 「ダチョウ倶楽部!」
?? いったい、どんな話し合いをしたらそうなるの?
おとぎ話(笑)27 [名作パロディー]
<大きなかぶ>
おじいさんが植えたかぶが、ビックリするほど大きくなって全然抜けません。
おじいさんに呼ばれて、おばあさん、孫、犬、猫、ネズミが加勢しました。
みんなで引っ張って、ようやくかぶは抜けました。
「おつかれさまでした。みんなありがとう」
「ばあさんや、お茶でも飲むか」
「そうですね。お茶にしましょう。ああ、腰が痛い」
「ところでおじいさん、このかぶはどうするんです?」
「そりゃあ食べるだろう。煮物、漬物、スープもいいな」
「誰がお台所まで運ぶんですか?」
「あ………」
<かぐや姫>
「おじいさま、おばあさま、私は月に帰ります」
「かぐや姫や、達者でな」
「おまえのことは、ずっとずっと忘れないよ」
「それは無理ですわ」
「なぜじゃ」
「私に関わった全ての地球人の記憶から、私の存在が抹消されるからですわ。そういうシステムになっておりますの」
宇宙科学が発達した現代でも、月に生物がいないとされているのは、こうした理由によるものである。
<浦島太郎>
浦島太郎は、乙姫様にもらった玉手箱を開けてしまいました。
白い煙がもくもく現れ、浦島太郎はあっという間におじいさんになってしまいました。
「なんてことだ。おじいさんになってしまったぞ」
そこへ、カメがやってきました。
「あーあ、開けちゃったね。開けるなって言われてたのに」
「教えてくれ。どうしたらいいんだ」
「この契約書にサインして」
「契約書? 何の契約書だ」
「老人ホーム龍宮城。乙姫様のサイドビジネスだよ」
<シンデレラ>
シンデレラは、魔法のドレスと馬車でお城の舞踏会に向かいました。
「12時を過ぎたら魔法が解けるから、くれぐれも気を付けなさい」
妖精はそう言って、シンデレラを送り出しました。
「ああ、お城に着いたわ。ごきげんよう」
急いで入ろうとしたら
「お嬢さん、ちょっと待ってください。検温をお願いします」
「それからマスクの着用をお願いします」
「アルコールの提供は自粛しております」
「感染予防のため、他の方とは充分距離を取ってください」
「そんな、王子様と踊りたいわ」
「王子は本日、リモートでの参加となっております」
「帰ろう」
おじいさんが植えたかぶが、ビックリするほど大きくなって全然抜けません。
おじいさんに呼ばれて、おばあさん、孫、犬、猫、ネズミが加勢しました。
みんなで引っ張って、ようやくかぶは抜けました。
「おつかれさまでした。みんなありがとう」
「ばあさんや、お茶でも飲むか」
「そうですね。お茶にしましょう。ああ、腰が痛い」
「ところでおじいさん、このかぶはどうするんです?」
「そりゃあ食べるだろう。煮物、漬物、スープもいいな」
「誰がお台所まで運ぶんですか?」
「あ………」
<かぐや姫>
「おじいさま、おばあさま、私は月に帰ります」
「かぐや姫や、達者でな」
「おまえのことは、ずっとずっと忘れないよ」
「それは無理ですわ」
「なぜじゃ」
「私に関わった全ての地球人の記憶から、私の存在が抹消されるからですわ。そういうシステムになっておりますの」
宇宙科学が発達した現代でも、月に生物がいないとされているのは、こうした理由によるものである。
<浦島太郎>
浦島太郎は、乙姫様にもらった玉手箱を開けてしまいました。
白い煙がもくもく現れ、浦島太郎はあっという間におじいさんになってしまいました。
「なんてことだ。おじいさんになってしまったぞ」
そこへ、カメがやってきました。
「あーあ、開けちゃったね。開けるなって言われてたのに」
「教えてくれ。どうしたらいいんだ」
「この契約書にサインして」
「契約書? 何の契約書だ」
「老人ホーム龍宮城。乙姫様のサイドビジネスだよ」
<シンデレラ>
シンデレラは、魔法のドレスと馬車でお城の舞踏会に向かいました。
「12時を過ぎたら魔法が解けるから、くれぐれも気を付けなさい」
妖精はそう言って、シンデレラを送り出しました。
「ああ、お城に着いたわ。ごきげんよう」
急いで入ろうとしたら
「お嬢さん、ちょっと待ってください。検温をお願いします」
「それからマスクの着用をお願いします」
「アルコールの提供は自粛しております」
「感染予防のため、他の方とは充分距離を取ってください」
「そんな、王子様と踊りたいわ」
「王子は本日、リモートでの参加となっております」
「帰ろう」
おとぎ話(笑)26 [名作パロディー]
<桃太郎>
桃太郎は、サル、キジ、イヌを連れて鬼退治に行きました。
みごと鬼を成敗し、鬼の財宝を奪ってやりました。
「金銀財宝、全部持ってきてやった。これでもう悪さは出来ないだろう。は、は、は」
「あのう、桃太郎さん、上機嫌に水を差すようですが……」
「なんだ」
「舟が沈んでます」
「なんだと!いったいなぜ」
それは、鬼から奪った財宝を積んだからに違いない。
「あわわ、水が、水が~!!」
瀬戸内海の底には、今でも金銀財宝が、沈んでいるとかいないとか。。。
<王様の耳はロバの耳>
床屋は、王様の耳がロバの耳であることを知ってしまった。
厳重に口止めされたが、言いたくて仕方ない。
「そうだ、森に穴を掘って、そこに向かって言おう。穴を塞げば大丈夫さ」
床屋は森に行って穴を掘り、いざ叫ぼうとしたが思い出せない。
「はて、何の耳だったかな? 2文字の動物だったな。ウマ、サル、イヌ、ネコ、クマ。ああ、2文字の動物ってたくさんいるな」
ブタ、ゾウ、シカ、カバ……。
「あっ、カバだったかも。そうだそうだ。カバだ。確かそんな響きだった」
床屋は穴に向かって言った。
「王様の耳はカバの耳! 王様の耳はカバの耳!」
そしてそれは、どういうわけか国中に広まってしまった。
王様は大慌て。国民に向かって声明文を出した。
「カバじゃない! 私の耳はロバの耳だ!」
自分で告白しちゃった。
(床屋)「そうだ、ロバだ。ロバだった。ああ、すっきりした」
<笠じぞう>
「ただいま」
「おじいさん、おかえりなさい。あらまあ、笠が全部売れたんですね。やったー! ああ、よかった。売れなかったらどうしようと思ってましたよ」
おじいさんは、おばあさんがあんまり喜ぶものだから、全く売れなかった笠を峠の地蔵に被せたことを言えませんでした。
「それで、おじいさん、お金は?」
「ああ、金か、金は、その……」
「全部売れたならお金あるはずでしょ。早く出してくださいな」
「金は、あれだ」
「なんです?」
「で、電子マネーだ」
「ペイ?」
桃太郎は、サル、キジ、イヌを連れて鬼退治に行きました。
みごと鬼を成敗し、鬼の財宝を奪ってやりました。
「金銀財宝、全部持ってきてやった。これでもう悪さは出来ないだろう。は、は、は」
「あのう、桃太郎さん、上機嫌に水を差すようですが……」
「なんだ」
「舟が沈んでます」
「なんだと!いったいなぜ」
それは、鬼から奪った財宝を積んだからに違いない。
「あわわ、水が、水が~!!」
瀬戸内海の底には、今でも金銀財宝が、沈んでいるとかいないとか。。。
<王様の耳はロバの耳>
床屋は、王様の耳がロバの耳であることを知ってしまった。
厳重に口止めされたが、言いたくて仕方ない。
「そうだ、森に穴を掘って、そこに向かって言おう。穴を塞げば大丈夫さ」
床屋は森に行って穴を掘り、いざ叫ぼうとしたが思い出せない。
「はて、何の耳だったかな? 2文字の動物だったな。ウマ、サル、イヌ、ネコ、クマ。ああ、2文字の動物ってたくさんいるな」
ブタ、ゾウ、シカ、カバ……。
「あっ、カバだったかも。そうだそうだ。カバだ。確かそんな響きだった」
床屋は穴に向かって言った。
「王様の耳はカバの耳! 王様の耳はカバの耳!」
そしてそれは、どういうわけか国中に広まってしまった。
王様は大慌て。国民に向かって声明文を出した。
「カバじゃない! 私の耳はロバの耳だ!」
自分で告白しちゃった。
(床屋)「そうだ、ロバだ。ロバだった。ああ、すっきりした」
<笠じぞう>
「ただいま」
「おじいさん、おかえりなさい。あらまあ、笠が全部売れたんですね。やったー! ああ、よかった。売れなかったらどうしようと思ってましたよ」
おじいさんは、おばあさんがあんまり喜ぶものだから、全く売れなかった笠を峠の地蔵に被せたことを言えませんでした。
「それで、おじいさん、お金は?」
「ああ、金か、金は、その……」
「全部売れたならお金あるはずでしょ。早く出してくださいな」
「金は、あれだ」
「なんです?」
「で、電子マネーだ」
「ペイ?」
おとぎ話(笑)25 年末スペシャル [名作パロディー]
今年は、コロナコロナの1年でしたね。
こうなったらもう、コロナが吹っ飛ぶように笑い飛ばしちゃいましょう。
<桃太郎>
桃太郎や、鬼退治に行くのは勝手だけどね、頼むから帰省はしないでおくれよ。
あたしたちは年寄りなんだ。感染したら困るだろう。
ああ、でも宝物は送っておくれよ。ちゃんと除菌してからね。
じゃあ行っておいで。はい、黍団子。
ひと口食べるごとにマスクするんだよ。
<かさ地蔵>
「ただいま。峠のお地蔵さんが感染しないように、マスクをかけてきてあげたよ」
「まあおじいさん、いいことをしましたね」
「それから地蔵同士の距離を2メートル離してあげたよ。ソーシャルディスタンスだ」
「あら、いいことをしましたね。今夜あたり、お礼の品を持ってくるかもしれませんね」
ドンドンドン
「ほら来た。あら、封筒が置いてある。おじいさん、何が入っているんでしょうね」
「どれどれ。あっ、GO-TOトラベルの旅行券だ。ばあさん、どうする?」
「今はやめときましょ」
<白雪姫>
「あれ、小人さん達、お仕事行かないの?」
「うん、今日からテレワークになったの」
「木こり……だよね」
<鶴の恩返し>
「いいですか。決して覗いてはいけませんよ」
スー。
「ちょっと、どうしてふすま開けるんですか!」
「1時間ごとに換気をすることになっているんじゃ」
「ほお、きれいな布だね。余ったらマスクを作っておくれ」
「いや、まず鶴だったことに驚こうよ」
<赤ずきん>
「へへへ、ばあさんの振りをして、赤ずきんが来たら食ってやろう」
トントントン
「おばあさま、お見舞いに来ました」
「お入り」
「いいえ、おばあさま。会って顔を見たいけど、今はやめておきます。もしも私が保菌者だったらおばあさまにうつしてしまうでしょう。だから、玄関先に葡萄酒とケーキを置いていきますね。おばあさま、しっかり食べて免疫をつけてくださいね」
「ああ、なんていい子だ。ばあさんを戻して、森でホームステイしよ」
みなさま、今年は本当に大変な年でしたね。
当たり前のことが当たり前じゃなくなって、いつも何かに怯えていました。
コロナが一日も早く終息するように、出来る限りの感染予防をしましょう。
では、よいお年をお迎えください。
来年もヨロシク!!
こうなったらもう、コロナが吹っ飛ぶように笑い飛ばしちゃいましょう。
<桃太郎>
桃太郎や、鬼退治に行くのは勝手だけどね、頼むから帰省はしないでおくれよ。
あたしたちは年寄りなんだ。感染したら困るだろう。
ああ、でも宝物は送っておくれよ。ちゃんと除菌してからね。
じゃあ行っておいで。はい、黍団子。
ひと口食べるごとにマスクするんだよ。
<かさ地蔵>
「ただいま。峠のお地蔵さんが感染しないように、マスクをかけてきてあげたよ」
「まあおじいさん、いいことをしましたね」
「それから地蔵同士の距離を2メートル離してあげたよ。ソーシャルディスタンスだ」
「あら、いいことをしましたね。今夜あたり、お礼の品を持ってくるかもしれませんね」
ドンドンドン
「ほら来た。あら、封筒が置いてある。おじいさん、何が入っているんでしょうね」
「どれどれ。あっ、GO-TOトラベルの旅行券だ。ばあさん、どうする?」
「今はやめときましょ」
<白雪姫>
「あれ、小人さん達、お仕事行かないの?」
「うん、今日からテレワークになったの」
「木こり……だよね」
<鶴の恩返し>
「いいですか。決して覗いてはいけませんよ」
スー。
「ちょっと、どうしてふすま開けるんですか!」
「1時間ごとに換気をすることになっているんじゃ」
「ほお、きれいな布だね。余ったらマスクを作っておくれ」
「いや、まず鶴だったことに驚こうよ」
<赤ずきん>
「へへへ、ばあさんの振りをして、赤ずきんが来たら食ってやろう」
トントントン
「おばあさま、お見舞いに来ました」
「お入り」
「いいえ、おばあさま。会って顔を見たいけど、今はやめておきます。もしも私が保菌者だったらおばあさまにうつしてしまうでしょう。だから、玄関先に葡萄酒とケーキを置いていきますね。おばあさま、しっかり食べて免疫をつけてくださいね」
「ああ、なんていい子だ。ばあさんを戻して、森でホームステイしよ」
みなさま、今年は本当に大変な年でしたね。
当たり前のことが当たり前じゃなくなって、いつも何かに怯えていました。
コロナが一日も早く終息するように、出来る限りの感染予防をしましょう。
では、よいお年をお迎えください。
来年もヨロシク!!
おとぎ話(笑)24 [名作パロディー]
<かぐや姫>
「おや、かぐや姫、もう帰ってきたのかい?」
「月に行ってまだひと月じゃないか」
「だって月って、近くで見たら全然きれいじゃないのよ。ごはんも不味いし、人間が住むところじゃないわね」
「困ったねえ。もうあなたの部屋はないのよ」
「どうして?」
「おじいさんが鶴を助けたら、どういうわけか娘さんが来てね、一緒に暮らしているのよ」
「気立てのいい娘でなあ。きれいな着物を織ってくれるんじゃ」
「話、違ってない?」
<赤ずきん>
こちら、コードネーム赤ずきん。
森でオオカミと遭遇したわ。
ミセス・マミー、あなたの予想通りね。
ええ、大丈夫。気づかれていないわ。
本当にお見舞いに行くと思っているみたい。
騙されたふりで花を摘むわ。
おばあさんに伝えて。安全な場所に避難するようにと。
扉を開けたら、オオカミがおばあさんのふりをして寝ている。
「赤ずきんや、顔を見せておくれ」
下手な芝居だ。声ぐらい変えろ。
「はい、おばあさま」
私はゆっくり頭巾を脱いだ。
「お、お前は!!」
「ふふふ、これが私の正体だ。地獄に落ちろ、悪徳オオカミめ」
全て終わったわ。ミセス・マミー。ええ、おばあさんも無事よ。
えっ、もう次の仕事が?
3匹の子ブタをオオカミから守るのね。ああ、忙しい。
報酬はたっぷりいただくわよ。ミセス・マミー。
<ヘンゼルとグレーテル>
森で迷子になったヘンゼルとグレーテルは、悪い魔女に捕まってしまいました。
魔女は兄のヘンゼルを太らせて、食べようとしているのです。
「さあ、どんどん食べて丸々太れ」
「魔女さん、僕はどんなに食べても太らない体質なんです。ガリガリでちっとも美味しくありません。僕をここから出してくれたら、もっと美味しそうな子供を連れてきますよ」
「本当か? ではお前が帰るまで、妹は預かっておく」
ヘンゼルはグレーテルに「必ず迎えに来る」と言い残し、森を出ました。
しかし何日経っても帰ってきません。
「騙されたのかねえ。あんた、見捨てられたんじゃないの?」
「いいえ、お兄さまはきっと帰ってきます。だって目印のパンくずを撒きながら行ったもの」
「なあヘンゼル。お菓子の家ってどこだよ。おいら腹がへって歩けないよ」
「困ったな。目印のパンくずを鳥に食べられちゃった。僕、方向音痴なんだよ」
ヘンゼルは、再び迷子になっていました。
(教訓:パンくずは目印になりません)
**
24作目ともなると、前に書いたものとかぶってしまいそうで怖いです。
まあ、読む方も覚えてないですよね~(笑)
「おや、かぐや姫、もう帰ってきたのかい?」
「月に行ってまだひと月じゃないか」
「だって月って、近くで見たら全然きれいじゃないのよ。ごはんも不味いし、人間が住むところじゃないわね」
「困ったねえ。もうあなたの部屋はないのよ」
「どうして?」
「おじいさんが鶴を助けたら、どういうわけか娘さんが来てね、一緒に暮らしているのよ」
「気立てのいい娘でなあ。きれいな着物を織ってくれるんじゃ」
「話、違ってない?」
<赤ずきん>
こちら、コードネーム赤ずきん。
森でオオカミと遭遇したわ。
ミセス・マミー、あなたの予想通りね。
ええ、大丈夫。気づかれていないわ。
本当にお見舞いに行くと思っているみたい。
騙されたふりで花を摘むわ。
おばあさんに伝えて。安全な場所に避難するようにと。
扉を開けたら、オオカミがおばあさんのふりをして寝ている。
「赤ずきんや、顔を見せておくれ」
下手な芝居だ。声ぐらい変えろ。
「はい、おばあさま」
私はゆっくり頭巾を脱いだ。
「お、お前は!!」
「ふふふ、これが私の正体だ。地獄に落ちろ、悪徳オオカミめ」
全て終わったわ。ミセス・マミー。ええ、おばあさんも無事よ。
えっ、もう次の仕事が?
3匹の子ブタをオオカミから守るのね。ああ、忙しい。
報酬はたっぷりいただくわよ。ミセス・マミー。
<ヘンゼルとグレーテル>
森で迷子になったヘンゼルとグレーテルは、悪い魔女に捕まってしまいました。
魔女は兄のヘンゼルを太らせて、食べようとしているのです。
「さあ、どんどん食べて丸々太れ」
「魔女さん、僕はどんなに食べても太らない体質なんです。ガリガリでちっとも美味しくありません。僕をここから出してくれたら、もっと美味しそうな子供を連れてきますよ」
「本当か? ではお前が帰るまで、妹は預かっておく」
ヘンゼルはグレーテルに「必ず迎えに来る」と言い残し、森を出ました。
しかし何日経っても帰ってきません。
「騙されたのかねえ。あんた、見捨てられたんじゃないの?」
「いいえ、お兄さまはきっと帰ってきます。だって目印のパンくずを撒きながら行ったもの」
「なあヘンゼル。お菓子の家ってどこだよ。おいら腹がへって歩けないよ」
「困ったな。目印のパンくずを鳥に食べられちゃった。僕、方向音痴なんだよ」
ヘンゼルは、再び迷子になっていました。
(教訓:パンくずは目印になりません)
**
24作目ともなると、前に書いたものとかぶってしまいそうで怖いです。
まあ、読む方も覚えてないですよね~(笑)