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おとぎ話(笑)24 [名作パロディー]

<かぐや姫>

「おや、かぐや姫、もう帰ってきたのかい?」
「月に行ってまだひと月じゃないか」
「だって月って、近くで見たら全然きれいじゃないのよ。ごはんも不味いし、人間が住むところじゃないわね」
「困ったねえ。もうあなたの部屋はないのよ」
「どうして?」
「おじいさんが鶴を助けたら、どういうわけか娘さんが来てね、一緒に暮らしているのよ」
「気立てのいい娘でなあ。きれいな着物を織ってくれるんじゃ」
「話、違ってない?」


<赤ずきん>

こちら、コードネーム赤ずきん。
森でオオカミと遭遇したわ。
ミセス・マミー、あなたの予想通りね。
ええ、大丈夫。気づかれていないわ。
本当にお見舞いに行くと思っているみたい。
騙されたふりで花を摘むわ。
おばあさんに伝えて。安全な場所に避難するようにと。

扉を開けたら、オオカミがおばあさんのふりをして寝ている。
「赤ずきんや、顔を見せておくれ」
下手な芝居だ。声ぐらい変えろ。
「はい、おばあさま」
私はゆっくり頭巾を脱いだ。
「お、お前は!!」
「ふふふ、これが私の正体だ。地獄に落ちろ、悪徳オオカミめ」

全て終わったわ。ミセス・マミー。ええ、おばあさんも無事よ。
えっ、もう次の仕事が?
3匹の子ブタをオオカミから守るのね。ああ、忙しい。
報酬はたっぷりいただくわよ。ミセス・マミー。


<ヘンゼルとグレーテル>

森で迷子になったヘンゼルとグレーテルは、悪い魔女に捕まってしまいました。
魔女は兄のヘンゼルを太らせて、食べようとしているのです。
「さあ、どんどん食べて丸々太れ」
「魔女さん、僕はどんなに食べても太らない体質なんです。ガリガリでちっとも美味しくありません。僕をここから出してくれたら、もっと美味しそうな子供を連れてきますよ」
「本当か? ではお前が帰るまで、妹は預かっておく」
ヘンゼルはグレーテルに「必ず迎えに来る」と言い残し、森を出ました。
しかし何日経っても帰ってきません。
「騙されたのかねえ。あんた、見捨てられたんじゃないの?」
「いいえ、お兄さまはきっと帰ってきます。だって目印のパンくずを撒きながら行ったもの」

「なあヘンゼル。お菓子の家ってどこだよ。おいら腹がへって歩けないよ」
「困ったな。目印のパンくずを鳥に食べられちゃった。僕、方向音痴なんだよ」
ヘンゼルは、再び迷子になっていました。
(教訓:パンくずは目印になりません)

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24作目ともなると、前に書いたものとかぶってしまいそうで怖いです。
まあ、読む方も覚えてないですよね~(笑)

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